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原点回帰(?) 絹について2 


こんばんは。
本日の京都は一日雨が降ったり止んだりでした。
一雨ごとに、春が近づくと思うとわくわくしますが、
やはり雨は少しうっとうしいです…。


さて、原点回帰、本日はその2です。
(※HPではまだ「こもの屋の小さなこもの展」も開催中です!)
昨日は絹糸の原料となる「繭」についてでしたが
本日はその大元、「蚕」のお話です。
女性の中には虫が大嫌いという方も少なくはないでしょうが
本日は少し我慢して下さいね…。


先ほども触れましたが、絹糸(生糸)は蚕の作る繭から
糸を紡ぎ出し、それを数本集めて糸にします。
そして、蚕をさなぎの状態まで育て、繭を取るお仕事を「養蚕」といいます。
この「養蚕」から糸を取る「養蚕製糸」の技術は、
中国から伝わり、日本では弥生時代頃には
すでに絹織物が作られたという記録があります。


この「蚕」ですが、もとはカイコガという蛾の仲間全般をさします。
そしてこの製糸のために使われる「蚕」には、大きく分けて二つあり
一つは野外でクヌギの葉などを食べて育つ「野蚕」と
人の手で飼育・生育する「家蚕」の二つに分かれます。
本日はその中でも「家蚕」についてお話したいと思います。

「家蚕」は養蚕農家で桑の葉を与えられながら大切に育てられます。
卵から孵化した幼虫は桑の葉を食べながら成長して、
脱皮を繰り返しながら繭を作るようになります。
そしてその繭から細く美しい糸がとれるのです。


ちなみに…
この「家蚕」なのですが、これは完全に
人間の手で作られ、家畜化された生き物なのです。
「家蚕」とよばれる蚕は、野生回帰能力が退化し
人の手がなければ生きていくことができません。
そのため、蚕が一頭、二頭と数えられるのは
家畜と同じ扱いのためだと言われています。

幼虫のうちだと、目立つ体の白色はすぐに捕食の対象となり、
また、腹脚とよばれる胴体の足が退化しているため
木や葉の表面にしがみつく事もできません。
そして、蛹(さなぎ)になる時でも、一つ一つの升目に区分された
まぶしとよばれる蚕のための部屋がなければ繭を作れないのです。
まさに、蚕(家蚕)は絹糸をとるための一生を送ります。


ですが、だからこそ蚕は昔から敬いの気持ちを込め
「おかいこ様・おかいこさん」と敬称つきでよばれるのでしょう。
今でも、地方によっては蚕を神聖なものとして扱う地域もあるそうです。


絹糸はまさに文字通り、「一所懸命」に蚕が作り上げた
芸術品だといっても言い過ぎではないでしょう。
植物繊維や動物の毛繊維などの天然繊維の中で
最も長い繊維を持つ繭糸は、織り方や染色で
様々な風合いや表情をもち、私たちを楽しませてくれます。


食べ物が何かの生命のおかげで成り立つとよく言いますが
繭糸もそうです。小さな蚕の生命のおかげで、
絹製品は成り立って行けるのです。
それに報いるよう、大切に、そして生命の作り上げた芸術を
十分に味わう事が、せめてもの蚕への恩返しなのでは、と思います。



宗流


和装小物  宗流
http://www.sou-ryu.jp
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by sou-ryu_mame | 2009-02-24 19:01 | 絹について

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