原点回帰(?) 絹について8
こんばんは。
本日の京都は午前中から雨が降り出し
今もまだ降り続いています。
一雨ごとに春に近付く、と言われますが
今日はまだ春遠し、といった冷たい雨です…。
さて、今日は「絹について」第八回目です。
本日は図案についてのお話です。
昨日までで大まかに糸の準備が完了したのですが
今度は生地を織るために必要な前作業をお伝えします。
ご自身はあまり着物をお召にならなくても、
TVのCMなどに起用されたタレントさんが着用する
美しい着物や帯を目にされた事のある方は多いかと思います。
古典的で優美な柄や、現代的でモダンな柄など
着物や帯には、絵のように美しい様々な柄が織りあげられています。
この絵(図案)は織物を織る前段階で「正絵(しょうえ)」と呼ばれるもので、
帯や反物の幅にした紙に、柄の配置を考えながら絵を描いていきます。
「正絵」ができあがると、200~300倍に拡大し、
小さなマス目の方眼紙に写し取られます。
柄を方眼紙に写すのには、理由があります。
それは、線で表された「正絵」をマス目の点で表して、
その点が経糸で表すのか緯糸で表すのかを決めるためです。
デジタルカメラをよくご使用になられる方には馴染みが深いと思いますが、
ちょうど「ピクセル」と同じと考えて頂くと解りやすいかもしれません。
パソコン上で画像を大きく引き伸ばしたとき、
画像は色のついた点で表されるように、
方眼紙の上での柄を点で表わすのです。
方眼紙に拡大して写し取られた絵は、その柄を作る糸別に
マス目を塗り分けられます。
いわば織物の設計図といえばいいでしょうか。
このように経糸・緯糸で柄を織り出す織物を総称して
「紋織物(もんおりもの)」と言います。
そして設計図は「紋意匠図」と呼ばれています。
染めたり描いたりして、柄を出すのは絵の技術とセンスを持った
作家さんでしたら一人で行えるのですが、
織り物は各工程にそれぞれの専門家が存在し、
その技が順繰りに送られ、一枚の帯や反物が出来上がるのです。
そう思うと、織物はまさに「チームプレイ」といえるかもしれませんね…。
次にこの紋意匠図を元に、織機にその命令を伝える工程があるのですが
これはまた次回にしたいと思います。
本日はこのへんで…。
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和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame
| 2009-03-03 19:31
| 絹について
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