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宗流がお届けする小さな豆知識。
by sou-ryu_mame

高貴な色


こんばんは。
本日の京都はお天気もまずまずでしたが、
暖かな気候の一日でした。
今日は週明け一日目、今週はどんな一週間になるのかな?


さて、本日はいつの間にかシリーズ化した「色のお話」
第三回目です。
今日は「紫色」のお話です。


紫といえば…直接的な色の事ではありませんが春が過ぎる頃になると
天気予報でもよくこの色のついたものが話題に上ります。「紫外線」です。
これは実は直接的でないとはいったものの、紫の色と関係があります。
虹を構成する六色の色(赤・オレンジ・黄・緑・青・紫)のうち、
紫色は光の波長が最も短いそうです。(380~430nm)
そしてこれより波長が短いものを紫外線といいます。
またよく化粧品などに明記される「UV」は
英語の「Ultraviolet」から略されたものだそうです。
これも紫色と関わりがある名称の一つです。

紫外線は殺菌消毒、ビタミンDの合成などに有用なのですが、
皮膚のメラニン色素を沈着させてしまい、それがシミの原因となります。
女性にとってはちょっと怖い物の一つかもしれませんね…。


さて、ちょっと話が逸れましたが、本題に戻ります。
和装などの染色の世界では、紫を染めるのには大きく二通りがあります。
一つは「紫草」と呼ばれる植物の根を用いて染める方法です。
この紫草は北海道、本州・九州の広い地域に自生する植物ですが
特に江戸時代、東北地方の南部藩が幕府・朝廷にこの紫草で
染めた絞り染めを献上したことから、「南部紫根染」「南部絞」と
呼ばれ、現在でも伝統産業の一つとして残っています。
そしてこの「紫根」に含まれる紫色の色素成分を
この植物から名をとってシコニン (Shikonin) と呼ばれています。

またその他の方法では、前回に登場した紅花と
前々回の藍を組み合わせて染めた「二藍(ふたあい)」と呼ばれるものです。
これは「二つの藍色」という意味ではなく、「藍=色」という
意味合いで、赤色と青色自体を指しています。


紫色…この色も大変多くのバリエーションがある色です。
まず大きく分けると、青みの紫と赤みの紫です。
江戸時代頃、紫色には関東と関西がありました。
とはいえ、名称と比較的地域性の好みが現れた、というものですが。
一つは「江戸紫」、もう一つは「京紫」と呼ばれるもので
「江戸紫」は青味のある渋めの紫、そして「京紫」は、赤みの紫です。
これは、江戸の渋好みと京の雅やかな好みが、
色に反映した一つの例といえるのでしょうね。

その他に、「葡萄(ぶどう・えび)色」「菫(すみれ)色」など
自然の持つ色などが名前になったもの、
「二藍」や「消紫(けしむらさき)→染液を一晩寝かせ、色素が分解し
ネズミ色がかったところで染める色」など、染めの方法が
そのまま色の名称となったものがあります。


紫色といえば、やはり高貴な色というイメージがありますね。
これは聖徳太子の時代、身分の階級によって使用できる色を決めた
「冠位十二階」においても最高位の色とされていたからなのですが、
この紫を染める「紫根」がとても高価で染めにも高い技術を要する事も
最上位の色となった理由の一つだそうです。


しかし…
私は今の現代に生まれて幸せだと思います。
そもそも色は染料の安価・高価はあるにせよ
色自体に順位があるわけではありません。
なおかつ身分によって着用してはいけない色があるなんて
現在からみれば滑稽なお話にも思えます。
色の順位ではなく、色の好みで衣服や持ち物が選べる
それができないような不自由な時代に生まれなくてよかったものです。


宗流


和装小物 宗流
http://www.sou-ryu.jp
by sou-ryu_mame | 2009-03-16 22:19 | 色について

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