時を超え 正倉院文様その2
こんばんは。
早いもので、もう2月も半ばを過ぎましたね…
と、何でもない振りをしてやり過ごそうと思いましたが
あまりに久しぶりの投稿で、やや勝手がわからない有様の宗流です^^;
本日は久々の投稿、そして前回の正倉院文様その1に続く
その2です。
どうぞよろしくお付き合い下さい^^
さて、前回は正倉院についてのあらましをざっくりとお伝えしたのですが
今回はごくごく一部ですが、正倉院文様の柄をご覧いただきながら
簡単なご説明をさせて頂きたいと思います!
では、まず1点目から♪
こちらは連珠文の中に白虎と朱雀を織り出した文様です。
この「白虎」「朱雀」は虎と鳥を表しています。
そして古来中国では天の四方を司る霊獣とされており、
北の玄武(亀)・東の青竜(龍)・西の白虎(虎)・南の朱雀(鳥)
がそれぞれの方角を守っていると伝えられています。
中国から伝わった正倉院文様は、このような空想上の生物の文様が
多く描かれている事も特徴の一つです。
また画像では判別しかねるのですが、白虎と朱雀を囲む
一番内側の丸い輪は、小さな珠が連なっているような形を
しています。これは「連珠文」と呼ばれる代表的な正倉院の
文様と言われています。
二枚目の画像は、駱駝(ラクダ)に乗って琵琶を奏でる胡人を表しています。
(胡人:中国北西部の遊牧民族といわれる)
画家、平山郁夫さんの絵でもお馴染みですが、ラクダは「砂漠の舟」とも呼ばれ
遥かなシルクロードを旅するのに欠かせない相棒です。
そしてその長い長いシルクロードを経て、正倉院の文様は日本に伝わりました。
この柄などは、まさにそうした古代の風景そのものなのかも^^
また琵琶も図案や楽器として正倉院の宝物の中に
数多く遺されています。
三枚目の画像は、花喰鳥(はなくいどり)を描いたものです。
この花喰鳥、正倉院文様の中でも非常にポピュラーな存在なのですが
実はそれだけでなく、おめでたい吉祥文様としても分類されます。
厳密に言えば、実はこの画像は花喰鳥とも言い難いかもしれません。
花喰鳥とは、花や松などの小枝や綬帯(じゅたい)をくわえた様を
描かれる事が多いのです。
そして名前が表すように、花や唐草・植物の枝などと組み合わされて
描かれています。
吉祥文様というくらいですもの
鳥がくわえる花や枝は、もしかしたら幸福の印なのかもしれません^^
最後の画像は、蜀江文です。
特徴的な八角形と四角形をつないだ形に、唐花などを合わせて
描かれる事が多い文様です。
どことなく、寺院の格天井などによく見られそうな文様でしょうか。
この蜀江とはもともと「蜀」に流れる川をさしていました。
絹織物の盛んだったその地域で織られた錦織は大変美しく、
「蜀江錦」と呼ばれ珍重されていたそうです。
また後にこの文様自体が「蜀江錦文様」と呼ばれるようになったのです。
駆け足で4点のご紹介をさせて頂きましたが
これらは膨大な正倉院文様の中のほんの一部に過ぎません。
どれももともとは異国からやってきた文様ですが
何世紀をも経た現代の中で、これらは今なお生き続けています。
そして私達にその当時の時代を垣間見させてくれるのです。
先人はこうしたものを生み出し、また後世に遺し伝える事で
言葉では表せない何かを私達に伝えるのでしょうか。
そう思うと、こうした文様は民族や時代の垣根を軽々と越え
私達に言葉にならないメッセージなのかな、
そんな風に思う宗流です^^
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