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by sou-ryu_mame
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きもの検定 文様について2


こんばんは。
本日も順調に(?)気温が上がり、もれなく残暑の厳しい京都でした。
明日からは雨になるようで、少し気温も下がるかと期待しておりますが
どうでしょうかね~???


さて。
本日も前回に引き続き、文様のお話をお送り致します。
お勉強は何にしても苦手な宗流ですが、自分の好きな分野は
お勉強もお勉強と感じず、ひたすら楽しいような気がします^^
きもの検定も、自分の好きな分野だったらいいのに…
と、甘い夢を見る宗流です^^;



さてさて。
前回は正倉院文様・有職文様・名物裂文様・琳派文様の四つのグループについて
お話をさせて頂きましたが、本日はまた新たなグループのお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。




植物文様


文様の中には、植物をモチーフとしたものがとても多く見られます。
花開く様子や蕾、結実した実り、葉や植物そのもの、そして違う植物を
組み合わせた文様と、多種多様な様をあらわしています。
特に日本は春夏秋冬の季節がはっきりとした気候のため、四季折々の
植物の文様が私たちの目を楽しませてくれます。
日本における植物をモチーフとした文様で有名なものに「松竹梅」が
あります。きっと誰しも一度はこの名前を耳にされた事がおありだと思います。
名前の通り、松・竹・梅の三種の植物を組み合わせたおめでたい文様ですが、
この一つ一つの植物に対しても、それぞれに謂れがあります。
その謂れは以下の通りです。

松:通年緑の葉を茂らす常盤木と呼ばれ、長寿の象徴
竹:一年を通じて葉・茎と共に常緑を保つ事、その真っ直ぐな姿から高貴なものとされている
梅:冬の寒さに耐え、初春一番に香り高い花をつける縁起のよい花

この松竹梅は、実は日本だけで縁起のよいものではありません。
お隣の国、中国でも「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」とよばれ好まれてきました。

また、植物文様はその植物を見れば季節が分かります。
桜や蒲公英(たんぽぽ)、蓮華ですと春をイメージしますし、
菖蒲や紫陽花、アザミは夏、菊やすすき、桔梗でしたら秋。
椿や梅、橘は冬を連想させる植物です。
そしてそれらに水流や雪、雲や霞などの自然の風物を組み合わせる事も多くあります。

それに加え、植物文様の中でも実のなるもの、瓢箪・葡萄・ザクロなどは
種子が多い事から多産や子孫繁栄の象徴として扱われますし、冬に赤い実を付ける
南天などはそうした謂れと共に「難転=難を転じる」という同音意義の言葉から
縁起の良い植物として知られています。




自然文様


「自然」というものは、花や海川、山や空など形としてあらわされるものや、
景色や天候のように形を限定できないものなど、人の目に様々な形として映ります。
文様では、自然の風物などは比較的形としてはあらわしやすいのですが、
霧やもやなど手に触れにくく目にも分かりづらいものも、文様として
あらわす事があります。
例えば霞。これは地紋や帯・きものの柄として大変多く使われますが、
形のない霞というものを、片仮名の「エ」の形にあらわしたり(エ霞)
雲のように部分的に場を区切ったりする事で(霞取り)文様としています。
また、この自然文様の特徴としては風景として山水や水辺の様子を絵のように
あらわす場合もありますが、流水や雲、雪・波などを表す文様には、デザイン画を
思わせるような大胆なデフォルメが加えられる事が多々あります。

例えば雪輪文様。これは雪印マークでおなじみの雪の結晶にある角のような部分を
丸く落とし、全体を円形に近い形であらわされています。
また流水という捉えどころのないものも、流水紋として存在します。
これは前回ご紹介した琳派文様の中の光琳波や観世水などに代表されます。

そしてもう一つの特徴として、自然の現象や景色は、植物に始めとする
動物や情景の一場面といったものと組み合わせて使われる事が大変多いのです。
その一例を挙げてみます。

茶屋辻文様:武家女性や大奥の女中に好まれた柄で、水辺の風景をあらわす
八橋文様:伊勢物語に由来した柄で、杜若や菖蒲に小川に架かる橋を描いている
花筏:菊や桜などの枝折を筏に乗せて水面を滑る模様




動物文様


動物といって現在の私たちがすぐさま思い浮かべるのは、愛玩用の犬や猫・鳥、
そして動物園で飼育されている動物たちかもしれませんね。
しかし、文様の世界ではこうした実在の動物はもとより、空想上の動物も動物文様と
してあらわされています。
こうした空想上の動物の代表は中国から影響を受けた龍や麒麟、鳳凰などです。
これら空想上の動物に加え、実際に目にすることができる動物や魚・昆虫などを
モチーフにしたものを動物文様といいます。

動物文様に限ったことではないのですが、文様の多くには人々の願いや謂れが
込められたものが大変多いのですが、この動物文様はそれがとくに顕著にあわれて
いるかもしれません。文様の中で、特におめでたい席に相応しい謂れを持つものを
吉祥文様としているのですが、長寿であることでよく知られている鶴亀をはじめ
鳳凰(ほうおう)、鴛鴦(おしどり)などは全て動物をモチーフとしています。

その謂れの一例を以下に挙げてみます。

鶴亀:鶴は千年・亀は万年といわれるように長寿の象徴
鴛鴦:姿の美しさもさることながら、番の仲睦まじさから夫婦和合の象徴
鳳凰:天下泰平を治める名君の世に現れるとされた瑞鳥

この上に挙げた文様は、特に吉祥の意味合いが強いため、婚礼などの留袖の柄に
よく使われます。しかし、動物文様は留袖などの礼装に限らず、小紋や帯の柄にも
多く使われています。
例えば千鳥やウサギ、蝶・鹿などもそうですし、少し珍しいものではこうもりや
魚介類も動物文様の一種です。また昆虫の中ではトンボの柄もよく夏物のきものや
浴衣ではお馴染みです。ちなみにこのトンボ柄。涼やかに水辺を舞う姿は、
女性物の柄として相応しい気がしますが、戦国武将の間でも旗印や陣羽織の柄に
トンボの文様は使われてきました。これはトンボが飛ぶ方向が常に前を向いており、
後ろへ引き返す事をしない事から「勝虫(かちむし)」といわれ好まれてきたのです。
また姫路城の城主、池田輝政の家紋にも揚羽蝶が使われています。蝶といえば、
美しい翅を広げて優雅に舞う姿を想像しますが、この蝶は蛹から蝶へと完全変態をする
生き物で、この蛹から羽化する様子を新しい命の再生として吉祥の意味合いを持つ
ものとされています。(しかしながら地方や時代により吉凶の捉え方は違うそうです)




今回は植物文様・自然文様・動物文様の三種をご紹介いたしました。
ここで、少し不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので補足を。
前回ご紹介しました名物裂文様の中にある鹿をモチーフにした有栖川文様や
正倉院文様の中で触れました樹下鳥獣文様、また荒磯文様、有職文様の向い鶴
(これらはご紹介しておりません)、などは動物をモチーフにした動物文様では
ないの??と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

確かにこれらは動物文様とも言えなくはありません。しかし、これらには
定型の文様のスタイルが存在します。いわばテキスタイルのようなものですね。
それに対して鶴や鹿、鯉などを自由なスタイルで文様に使ったものでは
描かれたり捺染された文様には独自性が加味されます。こうした観点の違いで
それが特定の種類の文様とされたりするのだと思います。
とはいえ、これは宗流の勝手な捉え方ですので、もしかするともっと明確で
分かりやすいものがあるのかもしれませんが^^;




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-12 23:51 | きもの検定について

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