宗流がお届けする小さな豆知識。
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きもの検定 古代色について


こんにちは。
本日は祝日!本来は国民が色々な行事のもとになった出来事に
感謝してお祝いする日なのですが…
不遜にも宗流、休日に感謝している有様です^^;
でも、せっかくの祝日。しっかりお勉強できる事に感謝しなくちゃ!



さて。駆け足でおさらいをしてまいりました検定のお勉強ですが
そろそろ何をすればよいのやら、頭を悩ましている宗流。
まだまだお勉強すべきところはたくさんあるのですが、ちょっと煮詰まり気味…。
こんな時は、ちょっと息抜きに自分の好きな分野をおさらいです^^
本日は「日本の伝統色」のお話です。
色は無数にありますが、その中でも古の日本人が愛でてきた伝統色のご紹介です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。


とはいえ、古代色にも膨大な種類があり、ご紹介できるのにも限度があります^^;
またその色を得る色素も、植物に由来する植物染料、動物の持つ部位から得られる
動物染料、鉱物などから得られる顔料などさまざまなものがあります。そして現代では
化学的に作られた化学染料などもあり、さらに色のもつバリエーションは多数に上ります。
今回は大まかな色系統に分類し、その中の幾つかの古代色の名称と染材をご紹介させて
頂きます!

まずはこれから。



「赤」の系統


赤は私たちの生活や人体にも大きく関わりを持ち、太陽や火・血液の色など、
「生」のイメージを強く与える色です。


紅色(べにいろ) 少し黄がかった鮮やかな赤

紅といえば、紅花が浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
赤の色素を得るのに、紅花はとても多く用いられています。
しかし、この花に含まれる色素の多くは黄色の色素(サフロールイエロー)で、
微量の赤色の色素(カルタミン)を得るために、アルカリ性の灰汁でさらして黄色の色素を
洗い流し、残った赤の色素で赤を染めます。その際に酸性の強い烏梅の燻製を加え、
酸媒染によって染め上げます。


猩々緋(しょうじょうひ) 鮮やかなわずかに黄がかった赤

赤の色素を得るのは、植物性の染材だけではありません。
この猩々緋は、コチニール(コチニールカイガラムシ)という虫を乾燥させ、熱水につけて
赤の色素を得ています。この色素は染色だけに限らず、食品にも使用されています。
また、熱や水に対しては安定した赤の色素が得られるものの、ph度によって色調が変わり
アルカリ性が強いと赤紫系に、酸性が強いとオレンジ系の色素へと変化します。


茜色(あかねいろ) やや鈍い暗めの赤色

茜色の空というように、暮れかけた暗めの赤色を茜色といいます。
この茜色の色素を得るのは、茜草という植物の根を用います。日本では古くから岩手県で
茜草を使った南部茜染が有名で、この色素は灰汁を用いたアルカリ媒染のよって得られます。


蘇芳色(すおういろ) 紫がかった暗めの赤

蘇芳はマメ科の植物・蘇芳の樹皮を煮出して得られる色素です。
この蘇芳から得た赤の色素を媒染して染めるのですが、媒染材によりアルカリ性の灰汁では
紫がかった赤に、酸性による明礬媒染では紅赤に、鉄媒染では黒ずんだ紫になります。


この他の赤系統の色として、紅梅色(こうばいいろ)・退紅(あらぞめ)
・韓紅花(からくれない)・甚三紅(じんざもみ)などがあります。





「黄」の系統


黄色はそのものだけでも存在感のある色彩ですが、日本の四季の中では
移ろう季節の花や木々の葉の色をあらわすのに、なくてはならない色の一つです。


梔子色(くちなしいろ) 赤みの鮮やかな黄色

梔子は食品の色付けでも多用されるクチナシの実から抽出される黄色を用いて染められます。
クチナシの実を乾燥して水につけるだけでも黄色の色素を得る事が可能なのですが、
色素を安定させるため灰汁を媒染に用いたり、アルカリイオンや酸による媒染により
色相の違いを得る事ができます。


黄檗色(きはだいろ) 鮮やかな黄色

黄檗色はミカン科の植物、黄檗の樹皮の内側にある黄色のコルク層を煮出して得られる色素
によって染められます。防虫効果がある事から古くから中国をはじめ紙製品に多く染められ
てきましたが、赤色などの下染めにも使われます。しかしこの黄檗の染料は酸性のため、
下染めの際にはその成分をよく洗い流さなければなりません。


刈安色(かりやすいろ) 緑みのある黄色

刈安色は日本では奈良時代には存在した、古い伝統色の一つです。この色素は、刈安という
イネ科の植物の葉を煮出して得られるもので、黄色の色素はルテオリンという太陽の紫外線
から身を守る物質からなり、夏の強い太陽光線を最も浴びる八月末のものが使われます。



鬱金色(うこんいろ) やや赤みをおびた鮮やかな黄色

鬱金色の色素は、ショウガ科のウコンから得られ、英名でターメリックといい食品の色付け
や香辛料の一つとしても知られています。江戸時代頃に日本にもたらされたといわれ、
この色素で染められた生地には防虫や殺菌の能力があることから、きものを包む風呂敷や
初着などにも利用されていました。


この他の黄系統の色として、芥子色(からしいろ)・山吹色(やまぶきいろ)・
菜の花色(なのはないろ)・女郎花(おみなえし)などがあります。




「茶」の系統


茶色は土や木の樹皮など、古くから日本の生活様式の中に数多く見られる色です。
またその色にはバリエーションも多く、鼠色とともに江戸時代には「四十八茶百鼠」
といわれるほどでした。

香色(こういろ) ごく薄い黄色みをおびた茶色

香色はその名前のごとく、奥ゆかしさが香り立つような色が特徴で、これは丁子という
香辛料(クローブ)から得られる色素から染められています。
この色の歴史は古く、平安時代には存在していたといわれ、清少納言の枕草子にも
この香色は登場しています。


柿渋色(かきしぶいろ) 鈍さをもつ赤黄をおびた茶色

柿渋は、まだ青い渋柿を自然発酵した液から抽出されるタンニンの一種で、この柿渋は繊維を染める
だけでなく紙にも染められており、その耐水性から型染めに使用される型紙に使われます。
この柿渋で染められた生地には抗菌・防臭・保湿効果があるとされ、古くは酒袋や味噌袋に、また
現在でも反物や普段身につける靴下やハンカチなどにも染められています。


胡桃色(くるみいろ) 灰みをもつ黄褐色

胡桃は食用で知られるほか、その樹皮や果皮を煮て灰汁で媒染した色素は胡桃染めとして
染色に用いられています。古くは奈良時代頃の写経用の紙にも染められており、また
源氏物語の「明石」の段にもこの胡桃で染められた紙についての記述が見られます。


この他の茶系統の色として、路考茶(ろこうちゃ)・団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)・
檜皮色(ひはだいろ)・伽羅色(きゃらいろ)などがあります。



さて、幾つか色の名称が集まってきましたね~。
少し長くなっちゃいましたが、あともう少しお付き合い下さいね。
ここから下は紫・青・緑の色のご紹介です。
ところで、なぜこの色と他の色を分けたかと申しますと、
紫・青に関しては、紫草と藍による染色がとても多く、その中で濃度を変えたり
他の色とかけ合わしたりして染められるものが多くみられるのです。
また緑も黄色と青のかけ合わせによって得られるものが多く見られます。
もちろん、私が知らないだけで他の単体の染料があるのでしょうが、
一般的に知識としてはこの辺りで遜色ないのかなぁ~と勝手に思ってます^^;

それでは、紫からまいりましょう!


紫は紫草と呼ばれる植物の根から色素を抽出するものと、紅花と藍を重ね染めする
方法の二つに大別されます。(その他にムラサキガイからの色素などもあります)
中でも紫草の根は紫根(しこん)とよばれ、この根を砕いて灰汁で媒染して染められる
のですが、この紫根染は色が変わりやすくとても高い技術を要します。ですからこの
紫色は古代より特別な意味合いを持った色とされ、聖徳太子の時代に定められた
冠位十二階でも最上の色として珍重されました。
また紫を染める職人は古くより紫司とよばれ、その色を染める要職といわれていました。

紫色の種類としては
二藍(ふたあい・紅花と藍のかさねぞめ)・滅紫(けしむらさき・染液を一晩おいて黒みがかった
もので染めたくすんだ紫)・葡萄色(えびいろ・熟した葡萄のような深みのある黒みの紫)
などがあります。



次に青色です。この青色は藍の葉から抽出した色素によって染められます。藍の青い色素は
生の葉を用いる生葉染と、発酵させた葉から作られる蒅(すくも)で染める建染(たてぞめ)
があります。この染料の濃度を変え、たくさんの青系統の色が染められています。
本来藍の色素は不溶性のため、アルカリ性の溶媒で藍液を作り、それを使って染められます。
また藍は媒染と必要としませんが、空気中の酸素で酸化しやすいため蒅染などの染液は消石灰
などでph値を保つ必要があります。(また青色には藍銅鉱を用いた顔料もあります)

この藍を使った藍色の種類としては
甕覗(かめのぞき・藍甕を覗いた程度にごく浅く染めた藍色)・縹色(はなだいろ・
本来は露草の花の色であったが、藍の単一染めの青色をさす)などがあります。



続いて緑色です。こちらは葉から染められる草木染めのイメージが強いのですが、
色の安定に乏しく、時間の経過と共に茶色に退色する場合が多いのです。
ですから色調を安定させるために、刈安やクチナシ、ウコンなどで黄色に染めた後に
藍などの青系統を染め合わせて緑色を得ます。

萌黄色(もえぎいろ・新緑の萌えたばかりの緑の葉の色)・若竹色(わかたけいろ・
若い竹の幹に見られるようなさわやかな緑色)・常盤色(ときわいろ・常緑の松などの
葉の緑色)などがあります。



最後に、色の持つ名称はその材料を示すもの、また自然の風物から連想されるもの、
そして特定の人物が作ったり、好んだものがあります。
日本の古代色は西洋の色に比べて、落ち着いて控え目なものが多いのですが、
その名称が示すイメージの豊かさには、西洋の色にないものがあります。
またこれら単色だけでなく、それぞれの色を組み合わされて作られる「襲色目(かさねいろめ)」
は、古の日本人が作り上げた世界に誇れる色彩感です。
色の世界とは不思議なもので、色彩は季節をあらわすだけでなく、それを用いる時の
心情さえもあらわしてくれるものです。
どうぞみなさまも、そうした色に触れる機会がありましたら、それらの色を使って
自分だけの「現代版襲色目」を作ってみてはいかがでしょうか^^




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-23 15:23 | きもの検定について

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