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宗流がお届けする小さな豆知識。
by sou-ryu_mame

きもの検定 染めのいろいろ



こんばんは。
本日の京都はお昼過ぎまで晴れていいお天気だったのですが
夕方からは結構強い雨が降り出しました。
この季節の秋雨も雰囲気があっていいものなのですが…
退出勤の時は、できれば自転車で移動したい宗流です^^;


さて、もう試験まで三週間を切ってしまいました!早っ!!
…まだお勉強の1/4すら身についていない気がするのですが、
来年の試験まではあと一年以上ありますしね(?)
と、今年も自信ないモード全開ですが、とにかくできるだけ頑張りましょう!
前前々回のお勉強の中で「織り」についてお話しましたので、
今回は「染め」のお勉強にいたしましょう。
それでは、どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


「染め」のきものと言ってまず思い浮かぶのが「友禅染」かもしれません。
これは直接筆できものに絵を描いていくものと、「防染」という作業を
施しながら絵を描いてしていくものがあります。
そして、染めの方法としてはこれだけではありません。
紅型や伊勢型を使った型染めや絞り、ロウケツ染めなども染めの技法です。
本日はこうした染めの種類を幾つかご紹介してまいります。


・手描き友禅
江戸・元禄時代に、京都の知恩院門前に住んでいた扇面絵師の「宮崎友禅斎」が
考案したといわれる技法です。この友禅染の一番の特徴は「糸目糊」とよばれる
ものです。これはもち米に塩をまぜたもので、これによって隣り合った色同士が
混じり合うことなく、精緻な多色染めが可能になりました。
現在もこの糸目糊を使った友禅染=糸目友禅が行われています。
現在は二種類の糸目糊が使われており、ひとつはもち米に糠・塩・それに赤色の染料である
「蘇芳」を混ぜた糊糸目。そしてもう一つはゴムを原料としたゴム糸目です。
どちらも染料が混ざらないよう防染するためのものですが、ゴム糸目がシャープな線を
描けるのが特徴なのに対して、糊糸目は柔らかな線に仕上がるのが特徴です。
また、ゴム糸目は先に地色を引き染してから彩色するのに対し、糊糸目は先に模様に彩色してから
地色を染めるのも大きな特徴です。



・型染め
型染めは楮などで作った和紙に柿渋を塗り、様々な模様を彫った型紙で染める方法です。
この型染めは、型をおいてそこに丸い刷毛で色を擦り込む摺り友禅、
型紙の上から色のついた色糊をおくもの、型で防染糊を置いて防染によって柄をあらわすものと
色々なタイプに分かれます。
また型染めの中でも多色使いのものは、色の数だけ型紙を必要とし、一枚のきものを染めるのに
何十枚も型紙を要するものもあります。


・絞り
生地を防染したい部分を糸で括ったり、板で締めたりして模様をあらわす技法です。
絞り染めは奈良時代以前から存在した古い染織法ですが、この絞り染めが最も
盛んに行われたのは室町時代でした。その後の友禅染の開発により急速に廃れていくの
ですが、江戸時代には京都で「京鹿の子絞り」という鹿の子を隙間なく施した絞りが
生まれ、それがあまりに華美な染めであったため、何度も奢侈禁止令の対象に
なったといわれています。
また絞りの全盛期、室町時代に生まれた「辻が花染め」は模様の輪郭を絞りで染め、
その内側に更に模様を描き出したものなのですが、室町時代に大流行したものの
桃山時代を過ぎた頃から姿を消したため、幻の絞り染めといわれています。
しかし戦後になり、久保田一竹氏によって復元され、数多く制作されました。


・濡れ描き
糊糸目による防染をしない友禅であるため、「無線友禅」ともいわれます。
絹地に筆で描いた様子は水彩画のような味わいが特徴です。
この技法は、生地に大豆をすりつぶして水を加えた「呉汁」や、海藻を煮溶かした
布海苔を使って生地に染料が染み込み過ぎないようにしてから、水分を補いながら
絵を描いていきます。


・蝋たたき
きものの地などに、粒状の模様を表現するのに用いる技法で、温めた蝋を筆や刷毛に含ませ
専用の棒で蝋を生地の上に叩き落して防染します。


・蒔糊
もち米を竹の皮の上で乾燥させ、それを湿らせた生地の上に蒔いて防染する技法です。
原理的には蝋たたきと材料は違うもののよく似ていますが、蒔糊の糊は角がやや鋭角的に
あらわされるのに対し、蝋たたきの方は雫状に角が丸い点に違いがあります。


・ロウケツ染め
ロウケツ染めの発祥地はインドといわれています。そして中国を経て、その後日本へと伝わりました。
この技法は温めた蝋を筆で生地において防染し、模様をあらわします。同じ防染の技法の糊を
使ったものに対して、蝋は防染力が弱いのですが、それが模様のひび割れやぼかしを生み出し
ロウケツ染め独特の味わいを醸し出します。


・一珍染め
一珍染は江戸前期の日本画家の久隅守影によって確立されたといわれている染め技法です。
糊友禅がもち米のでんぷん糊を防染に用いる友禅に対して、一珍染は小麦扮を原料とした
糊で防染します。この糊は乾くと細かなひぴが入り、そこに染料が入ることで「氷割れ」と
よばれるものがあらわれるのが特徴です。


・堰出し
糸目友禅が細い線で色と色の防染をするのに対し、この堰出しは大きな面を色分けするための
技法です。糊や蝋で堤防のような囲いを模様の周りに作って染料が流れるのを防ぐため、
大胆な模様取りに向く技法です。


・更紗
更紗とは本来南蛮船によってもたらされたインドやアジア・ヨーロッパで制作された文様染めの
事をさします。室町時代の頃、明から渡来したこれらの染物は「古渡更紗」として茶人たちにより
仕覆などに利用されました。これに対して日本で制作された更紗柄を「和更紗」とよび、
安土桃山時代には鍋島更紗が生まれ、その後江戸時代に入ってからも江戸更紗や長崎更紗、京更紗
など、各地で様々な和更紗が制作されるようになりました。この更紗の技法として、手描きや木版、
型紙を用いるものがあり、手描きのものは防染に蝋を使ってあわらします。


・注染
注染は生地を型紙の大きさに折り畳みながら、型で糊置きして何枚も折り重ねて、
上から染液を注いで、ポンプでで一気に染液を下へ抜いて染め上げる技法です。
ゆかたや手拭いなどの生地が多く染められており、生地には染料が上下から通るため
両面に染色されるのが特徴です。長板中形・差分け注染・細川染めなどの種類があります。


いくつか染めの技法をご覧頂きましたが、これらはほんの一部です。
染色には大きく分けて、浸染・引染・捺染などがあります。
浸染とは染液の中に生地や糸を浸して染める方法で、染料を温めたり
媒染剤を使って色素を定着させます。
また引染は友禅染めや小紋染めなどのように、染料を刷毛で塗るもの、
部分染色(ろうけつ染めや手描き友禅)などの捺染などがあります。
一般的に染めのきものは織のきものより格が上だといわれ(結城紬など高価な織りもありますが)
黒留袖や訪問着などの礼装用には染めのきものが用いられます。

とはいえ、何も染めは伝統的なきものだけに限ったものではありません。
私たちの身近な洋服の服地にも捺染はとても多く見られます。
一般的にプリント柄といわれるものは、捺染を使ったものです。
最近はインクジェットや転写機でプリントされるものも多くありますが、
これも捺染の一種です。
いま現在、きものの世界でもインクジェットの染めものが見られますが、
これから先、どんどん技術が進歩した時代のきものの染めはどんな風に変化するのでしょうね。
伝統的なものは残していかなければと思う一方で、新しいものの出現がちょっと楽しみな宗流です。




宗流
by sou-ryu_mame | 2010-09-28 01:17 | きもの検定について

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