宗流がお届けする小さな豆知識。
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カテゴリ:きもの検定について( 52 )

2010年きもの文化検定終わる その3



こんばんは。
ここ数日、急に冷え込んできましたが、
みなさまお風邪など召されてませんか?
今夜も寒い夜になりそうです。
どうぞくれぐれもご体調にはご留意下さいね^^


さて。
ここ数回、第五回のきもの文化検定のおさらいをお伝えしておりますが
こちらもそろそろ佳境を迎えて(?)まいりました。
今年も昨年に引き続き、難しい問題ばかりでしたがそれも一つの経験です。
教本を読んだり、日々の生活の中ではなかなか知り得ない事柄を
自分のものにできる貴重な機会です。

今回宗流はようやく気付いた事なのですが、やはり色々な書物に目を通す事は
とても大切な事ですね。どうしても教本を中心に知識を得ようとしてしまいますが、
きものを一つの文化として捉えるならば、その時代時代にきものを軸として
様々に織りなされてきた文化を知る事も大切ですものね。
それを広い視点から得るための様々な書物。
一つのものを一つだけの視点から見ようとしても、偏った知識になるのかも^^;
何となくそんな悟り(???)を開いた宗流です!エッヘン

では、本日もまいりましょう~!




第37問目・38問目


昨年もありましたが、今年もやはり出ました!お絵描き問題^^;
出題された文様を簡単に絵に描くという問題です。
今年は、1:流水紋と観世水 2:雪輪と雪花でした。

どうでしょうか? 上手に描けそうでしょうか~?

目で見たり、頭では分かるのですが、いざ描けと言われると難しいものです。
宗流、2の方はたぶん正解だと思いますが、1がビミョーです。。
絵が下手なのはこの際いいとして(…仕事で絵を描く事もあるのに^^;)
時間配分でこれを後回しにしたがために、流水はミミズが数本みたいになるわ、
観世水はナルトみたいになってしまいました(笑)
お見せして笑って頂けない事が、この上なく惜しい宗流です!




第39問目


近江八景とは「比良の暮雪」「八橋の帰帆」「①の秋月」「瀬田の夕日」「②の晩鐘」…
(以下省略)の事をいい、琵琶湖を背景にした景色の良い名所をあらわしたものです。



…答えは、①石山 ②三井 です。
これはもう知っているか知らないかの問題だけですね^^;
しかし、宗流今年の夏に滋賀県の三井寺に行った記憶が不意に浮かんだため、
②は三井寺と書いてしまいました。。あ~「寺」なんて何でつけたのかしら!




第41問目


これも画像をみて答える問題なのですが、今回も出ました!家紋シリーズ!!
昨年は七曜紋、九曜紋の丸は何をあらわすかという問題でしたが、
今年は「毬挟み(まりばさみ)」という家紋が問題でした。
毬挟み…初めて見て聞いた家紋です^^;
もちろん答えられるはずのない宗流でした。




そして、今回も最後に大物が控えておりました!
それが以下の三問です。一気にご紹介してまいりましょう。



第48問目

お宮参りの初着について200字以内で説明しなさい。
(用途の他、形の特徴を3つ以上あげること)



第49問目

東京友禅・加賀友禅・京友禅の特徴と技法の違いを200字以内で説明しなさい。


第50問目

白生地の縮緬、西陣御召の二つの織物はいずれも緯糸の強撚糸によるシボが特徴
ですが、違いがあります。その違いを200字以内で説明しなさい。
(織物の製造工程の違い、きものとしての取り扱いの二点は必ず触れる事)




…どれも難しいですね~^^;

48問目はお宮参りの際の赤ちゃんの衣服ですよね。
模範解答によると、袖が大名袖、表着を折りかえし共の袖口布とし、袖口が広口。
襦袢は用いない。共布で幅の広い紐を付ける。一つ身で背に背守りをつける。
そして参拝の日頃は地域や季節により異なる。
だそうです。
宗流は神社に参拝にするための赤ちゃんのきもの、袖口が広袖、紐をつける、
背縫いのない一つ身で背守りをつける、までは何とか書けましたが、
参拝の日を生後約30日頃としてしまいました…。
でもこれって地方によって違うんですね。。エ~ン


49問目は、東京友禅は東京で染められている友禅で渋くモダン。加賀友禅は加賀五彩を
基調にぼかしや虫食い葉を表現する。京友禅は多色遣いで優美、金銀箔や刺繍を用い
工程が多いというのが模範回答です。
宗流もこの部分は大体こんな感じで書いたように思います。(←唯一好きな友禅のお勉強!)



50問目は…宗流大撃沈です!
時間が全く足りませんでした^^;
模範解答は、縮緬は後練り織物(精錬によりシボがたつ)・御召は先練り織物
(強撚糸を撚り止めをして織り上げてから湯通しでシボをたたせる)、また縮緬は
水分による影響はあまり受けないが、御召は糊成分が残っているため水分の影響を
受けやすい、との事でした。
宗流はちょっとビミョーな解答で、「きものとしての取り扱い」という点が着物地としてなのか、
仕立て上がったきものを指し示すのか解らず、きもの地としてなら差し障りないだろうと
白生地の縮緬は後染めのきもの地・御召は先染めのきもの地、白生地は精錬によって
シボをとる…という点まで書いてタイムオーバーでした^^;
解答を見て、ようやくきものとしての取り扱いという意味が解りましたが、問われていた
要旨とはかなりかけ離れた答えを書いてしまいました。。。



さてさて。
今回の試験の問題はこんな感じでした!
宗流自身の印象としては、やはりツメが甘かったです…^^;
漠然と解っているつもりでは、やはり答え切れない事って多いものです。
来年はそれを少しでも自分の中でまとめ上げられるように
精進していきたいなぁと思っています^^v




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-10-28 22:23 | きもの検定について

2010年きもの文化検定終わる その2


こんばんは。
今週も新しい一週間の幕開けですね。
こちら京都は雨のスタートとなりましたが、
みなさまのお住まいの地域はいかがでしょうか?


さて。きもの文化検定が終わって一週間が経ちました。
ですが、いざ終わってしまうと、一生懸命お勉強したものを、
ものすごい勢いで忘れてしまいそうな宗流です^^;
これでは何のためにお勉強したのやら…コマッタモンデス!
と、いうわけで宗流の健忘症防止(?)のため、
今回も先日の検定のおさらいとまいります。
どうぞよろしくお付き合い下さいね!


前回もちょっと面白い問題や難解な問題を抜粋してお送りしましたが、
今回も試験問題と解答をご紹介してまいります^^
それではまいりましょうか~!!



第九問目

国の重要無形文化財に指定されている染色技術が、世界に認められる技術となっています。
小千谷縮・越後上布は昭和30年に国の重要無形文化財に指定され、平成21年には(  )に
指定されました。結城紬は昭和31年に重要無形文化財に指定され、平成22年に(  )に
指定される予定です。



…答えはユネスコ無形文化遺産です。
世界遺産はユネスコが世界的価値を認めた 文化・自然遺産や複合遺産の総称で、
有形のものだけに止まらず、無形の伝統技術にも認定されるものだそうです。
…だそうです、という時点で宗流は不正解でした^^;
宗流、日本の重要無形文化財ばかり見ていて、全くの盲点でしたね~。
やはり何でも広い視野を持たなくてはいけません!



第二十七問目

戦前までは一般にきものを仕立てる時の寸法に(①)を用いました。
また織物を作るための織機や道具を測る単位は(②)を用いてはかられていました。



…答えは①鯨尺 ②曲尺です。
これはそう難しい問題ではないのですが、織機や道具類は曲尺を使うというお話でしょうね。
でも、戦前に限らず今現在もきものの仕立てには一般に鯨尺が使われる気がします…。
確かにプレタきものの表示には「cm」の表示もありますけどね^^;
ちなみに、鯨尺は一尺でいうと約37.88cm、曲尺は約30.30cmです。




第二十九問目

一つの色を濃い色から淡色へ段階的に重ねて彩色する手法を何といいますか?


…答えは繧繝(うんげん)です。
宗流、匂い重ねかと思ってました^^;
またちょっと調べてみたところ、逆に淡色から濃い色に重ねることを逆繧繝というそうです。
ちなみに、匂いは同系色のグラデーションのようなので、逆繧繝も含まれるのかも
しれませんね。色の濃度を濃い→淡いに重ねるという問いですから、
答えは繧繝となるのでしょうね。ヤヤコシイナァ…


第三十問目

こちらは画像がないのですが、答えを先に言いますと「湯のし」に使用される釜
(円錐形の金属製器具)の道具の写真を何の染色工程で使用するかという問いでした。
宗流は何となく湯のし屋さんで目にしたような微かな記憶があったので、一か八かで
湯のしと書きましたが、とても迷いました。
何しろ湯のしは「染色工程」というよりは、「仕上げ加工」の気がしていたんですね…。
確かに染めに出した生地を「のし」に出して幅を出したりしますが、その染色工程の
仕上げの際の「湯のし」という意味合いだったのでしょうかね^^;
カイシャクッテムツカシイ!



第三十五問目

こちらも画像の問題ですが、馬具についての問いでした。
答えを先に申しますと、「轡(くつわ)」の画像の名前を問われていたのですが、
何となく宗流は馬具といえば、伊勢物語の武蔵野に登場する「鐙(あぶみ)」しか
思いつきませんでした^^;
でも、馬具文様ってひそかにたくさんあるものなんですね!
つくづく日本古来の文化は奥深い!と、思った問題でした。
ちなみに轡とは、手綱をつけるため、馬の口に噛ませる金具だそうです。
へぇ~!



第三十六問目

文様構成の一つで形や大きさの同じ文様と地が交互に入れ替わり、どちらが地なのか
区別がつかないものを何というか?



…答えは入替文様です。
問題にほぼ答えが書いてありましたね^^; なのに宗流、無理にひねって
割付文様かと思ってしまいました。
何となくこの入替文様と割付文様って同じもののような気がしてたんですよね。
でも、よくよく考えると市松文様や鱗文様など、地と文様が全く同じもので
色の組み替えであらわされた文様を問われていたのですよね。
サービス問題だったのに…撃沈!



これで半分少し終わったところでしょうか^^
解答速報を見ながら、宗流が風前の灯状態になり始めた頃です!
今回もやはり難しい問題がたくさん!
でも、これを超えてこその1級ですものね、もっと色んな事を知らなくちゃいけません。
とはいえ、次回の試験までまた一年がかりだなぁ。。頑張らなきゃ~^^;




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-10-25 21:41 | きもの検定について

2010年きもの文化検定終わる


こんばんは。
今年の夏ごろからぼちぼちと更新してまいりました、
「きもの検定について」も、2010年の分は終了となります^^
今年他の級も含め、受験された方はいかがでしたか?
宗流は甘く見れば滑り込みセーフかな?というところですが、
厳正な目で見ると撃沈しそうな様子です^^;
とはいえ、頑張ってお勉強したものはけして無駄になるものでもありません。
今年ダメでも、また来年!と決意新たにした宗流です♪

さて、今日は今回の一級の試験の覚書&復習にいたします。
昨年は始めての経験にかなり戸惑いましたが、今年は戸惑うより先に、
時間が足りなかったのが悔まれました。
やはり知識の吸収と共にそれをきちんと整理して、さっと取り出せないと
いけませんね。。それが今年一番の収穫といえば収穫です!


まずは第一問目。

襲物を着る時、きものや下着を重ねて一度に打ち合わせて着ることを何というか?

…答えは「一つ前」というそうですが、宗流恥ずかしながら初めて聞きました。
これは普通のきものでも言える事なのかしら?
襦袢ときものを重ねて着ると言っても、それぞれ伊達締めや腰紐もしなくちゃいけませんし、
それとも装束に関してだけなのかな???
ちょっと謎が残っちゃいました^^;


第五問目

(七五三の七歳女児の写真あり)
一幅の布を並幅のまま縫わずにしごいて締めるのでこの名がある。
江戸時代には(  )帯といい、おはしょりをとるために腰に締めていた。


…答えは「抱え(帯)」
宗流、画像に惑わされちゃいました。「しごき(帯)」かと…。
しごきの別名が抱え帯と考えていたのですが、よくよく調べてみると少し素材が違うようです。
しごきが柔らかな薄手の錦紗なのに対し、抱え帯は綸子などで芯が入っていたそう。
へぇ~!と思いましたね。でも、それなら七五三の画像はなぜに???
そして、なぜしごきと抱え帯が同じようなものとして扱われるのか謎です^^;


第八問目

現在帽子絞りはビニールシートを使用していますが、30年ほど前には(  )の皮を使用して
おり、当時は皮巻き絞りと呼ばれていた。


…答えは「筍」
筍~!? 竹の皮ではなく、筍~!?
子供(筍)の皮と大人(竹)の皮は別物なのかしら???
一般的に竹皮とはよく聞きますが、筍とは初めて知りました。


第十四問目

( ① )織は世界的にも有名な綴織の一つで、古代エジプトで織られたものです。
日本でも昭和初期にその織をモチーフにしたきものや帯が作られました。
古代エジプトの初期( ② )教の分派である( ① )派の人々によって作られた織物です。


…①はコプト織ですね。
ここまではOKです。でも、コプトの源流が何かなんて考えた事がありませんでした。
②は「キリスト」ですって!へぇ~^^;
宗流、神社の娘なので全くご縁がありませんでした!(←言い訳)


第二十三問目

明治時代に色糊による写し友禅染めが友禅中興の祖と称される(  )によって発明され
「型友禅」として発展しました。


…広瀬治助 (ひろせじすけ )
スミマセン…失礼ながら、どなたなんでしょう???
勉強不足の宗流には問題外の問でした^^; 


第二十四問目

大和和紀の作品(  )によって、若い女性の袴が流行しました。

…はいからさんが通る
スミマセン…マンガだという気はうすうすしていましたが…どなた???
何となく勢いで平安時代の装束の袴かと思って「あさきゆめみし」かと…。
まさかその時代の流行をマンガが作ったはずはないですよね^^;
というか、どなたかわからず、マンガも読まない宗流、これしか思い浮かびませんでした。
ちなみに、あさきゆめみしも全く読んだ事がないんですけどね。
とはいえ、若い女性の流行に「袴」ってあったんですね、知らなかった!
渋谷の街を袴姿でいざ♪ なんてCanCanにでも特集があったのかしら^^


第二十六問目

桃山時代から江戸時代に、ポルトガルやオランダ船によって東南アジア方面の絹織物が
多量に輸入されましたが、その中のインド西海岸地方で産した薄くて軽い縞柄の絹織物が
以降も西陣織りに定着して織られる事となります。和絹多とよばれ、羽織や袴地、表具に
広く用いられました。これは何という織物でしょうか。


…茶宇(ちゃう)だそうです。
インドのチャウル地方から伝わった事からその名前がついたそうです。
わんこのチャウチャウなら知ってますが、初めて聞いた名前の織物でした^^;
これはかなりのへぇ~でした!



…ここまでで約1/3くらいでしょうか?
今回はうっかりミスが多かった宗流、ここまでくるのに大分うっかりしてます。
でも、あとから見直してみると結構面白くなってきました^^
という事で、あと数回今年の問題を見直してまいりたいと思います!
どうぞよろしくお付き合いくださいね~♪



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-10-20 23:50 | きもの検定について

きもの検定 課題図書「源氏物語・花宴」




こんにちは。
連休二日目、みなさまよい休日をお過ごしでしょうか^^
昨日は強い雨の降った地域も多かったのでしょうが
全国的に今日はどうなのでしょうね。こちら京都は気候も爽やかで
よいお出かけ日和になりました^^v

とはいえ…うっかりしていると、きもの文化検定ももう来週です。
10月の声を聞く頃から、宗流は身の周りが慌ただしくなり
いま一つ勉強どころではなかったのですが、それも言い訳になっちゃいますものね。
何かと忙しくされているのは、どなたも同じです。
あと一週間、今年も微妙ながらもう少し頑張ろうと思います!


さて。
もしかしたら検定までのお勉強は今日が最後かもしれませんので、
今まで一度も触れていなかった「課題図書」のお勉強をおさらいしておきましょうか。
今年の1級の課題図書は、瀬戸内寂聴訳「源氏物語・巻二」より「花宴」です。
昨年は「桐壷」でしたが、実は宗流、去年はこの課題図書の存在を全く見落としていて
全く何も手つかず状態でした^^;
あとあと見れば、課題図書からはそれほど難しい問いはされてなかったのに…
と、かなり悔しい思いをしたので、今年はちゃんと見直します^^

「花宴」は、源氏物語の中でもとても短い章ですが、後の源氏の君のお話でも
とても重要な女性となる「朧月夜」との出会いの場面が描かれています。
この朧月夜は、源氏の婿入り先の左大臣と勢力を二分する、右大臣の六番目の娘で、
桐壷帝(当時は東宮)の最初の妃、弘徽殿女御を姉に持つ、とても高貴な女性です。
簡単に源氏と朧月夜の関係を説明すると、源氏の母である桐壷の更衣が桐壷帝に
最も寵愛を受けたのが気に入らない弘徽殿女御の妹君(朧月夜)と、弘徽殿女御に
目の敵とされている源氏の、今でいう「道ならぬ恋(?)」といった所でしょうか。
しかも、この朧月夜は源氏の兄、東宮の婚約者でもあるのです。
ロミオとジュリエットもびっくりの二人の恋ですが
…それってどうなの、源氏くん。と、いう気がしないでもない宗流です^^;

二人の出会いは、当時の二月の下旬。南殿で催された花の宴に始まります。
そこで酒に酔った源氏が、恋焦がれている「藤壺の宮」に出会う隙がないかと邸を
うかがい歩いている際に、「朧月夜に似るものぞなし」と歌を口ずさみむ
一人の美しい女性と思わず(?)関係を結んでしまいます。
そこから源氏の、朧月夜に恋焦がれる日々が始まるのですが、
…たぶん、こうした源氏の色恋話は検定に何ら関わりがあると思えないので
今回は残念ながら割愛させていただきます。

この「花宴」は先にも述べたように、短い章ではあるのですが、
一ヶ所当時の貴族の装いがよくあらわされている場面があります。
それが源氏が藤の花の宴に招かれた際の装いです。



桜襲の唐織物の御直衣に、葡萄染の下襲の裾を長く引いて、他の人は皆、束帯の正装のところへ
しゃれた皇子らしい装いのお姿も優雅に、人々にあがめかしずかれて宴席に入っていらっしゃった
御様子は実に水際立っておられます。(以下省略)




上は「花宴」の一文の抜粋ですが、この源氏の装いを説明させて頂くと
桜襲(さくらがさね)の唐風の衣装=直衣に、葡萄染(えびぞめ=深い赤紫色の染物)
の裾を長く引いた下襲を着用した源氏の様子(大君姿)が描かれています。
そしてその他の者たちは正装である束帯を着用しているのですが、皇子である源氏は
その中でも優雅さが際立っているという意味合いです。

この中で注目して頂きたい幾つかの点があり、まず一つ目は「桜襲」です。
これは生地が重なった様子を示す言葉です。本来「襲のいろめ」というのは上着の表裏、
または衣と衣の重なったもの、生地の経糸・緯糸を示すものです。
この「桜襲」は色の重なりをあらわすと、表が白・裏が紅色をさしています。
(桜襲は表が白で、裏には紅や赤、蘇芳・紫など諸説あります)
そして唐織物は唐から伝わった綾織りの生地をさします。
(本文では省略されていますが、この場面の源氏の直衣は「綺」という生地だそうです)

また葡萄染とは深い赤紫色の染物なのですが、「ぶどう」とは読まず「えび」と読みます。
これはこの紫色が山ぶどうの「えびかずら」から由来された事に始まり、古くはこの
紫色を「えびいろ」といったそうです。
えび=海老と思ってしまいそうですよね。でも余談となりますが「海老色」という色もあるんです。
こちらは紫色ではなく、赤みがかった茶色で伊勢海老の殻のような色合いです。
「下襲の裾(したがさねのきょ)」とは、この直衣の下に着用した裾の長い衣服の事です。

次に束帯です。これは「昼(ひの)装束」ともよばれるもので、天皇以下の公家の正装です。
袍(ほう)とよばれるゆったりとした衣服を、石のついた石帯(せきたい)で着用する事から
束帯といわれています。
この時代は皇族に仕える臣下の方が正装をするため、皇子である源氏の方が幾分気軽な
直衣姿であったのに対し、他のものは束帯で正装していた、という事です。


もしかしたら、以前お話させて頂いた「きものの歴史」の中の直衣の説明をご覧頂いた方が
いらっしゃると、直衣の下に下襲はつけないんじゃない?という方がいらっしゃるかもしれませんね。
確かに通常では直衣の下には下襲は引かないのですが、この下襲の裾を長く引いたものを
直衣布袴(のうしほうこ)といいます。
これは通常、貴族が平服として用いていた直衣の正装スタイルともいうべきもので、
直衣の下に裾をつけた下襲を用い、指貫(さしぬき)という裾を括った袴を着用します。
そこに石帯をしめるのですが、この石帯は省略されることもあるようです。
これが直衣布袴とよばれるものでした。


文章で説明させて頂くと、少しわかりにくいかもしれませんね。
ですが、このあたりは心の目でイメージを膨らませて下さいね^^;
この「花宴」で、きものに関する記述はこのあたりしか見当たりません。
とはいえ、これはあくまでも宗流の解釈ですので当てになさらないで下さいね。



最後に、お話を少し本文へ戻しましょう。
この花宴で関係を持った二人ですが、ここから朧月夜の人生は変わり始めます。
源氏との関係が露呈し、東宮(朱雀帝)の女御としての入宮は解消してしまうのですが、
のちに女官の一つ尚侍(ないしのかみ)として朱雀帝に仕え、帝に寵愛を受ける事になります。
しかし、その後も源氏との関係は密かに続き、やがてとうとう雷雨の夜右大臣によって
その関係が露見してしまいます。
これが源氏の須磨流しへと繋がるのですが、その後朧月夜は朱雀帝への贖罪の日を
過ごしつつも、時を経て三たび二人は関係を結んでしまいます。
こうなると…それってどうなの源氏くん、二度あることは三度あるの?という所です。

しかし、その行き着く先は幸とも不幸とも言えない気がします。
結果的に朧月夜は出家し、引きとめる源氏に「私の幸せを祈っておくれ」と言われるのに対し
「万人の一人としてお祈り致します」(=ざっくりとした意味合いです)
と言い残して源氏の前から姿を消すのです。

輝くばかりの月が、やがて雲を纏って姿を隠す。
朧月夜という女性は、その名の通りの結末を迎えるように思います。
月の光は太陽を反射したものです。
源氏という太陽の光を反射し、その時々に姿を変える月。
その太陽と月の関係を、当時の紫式部は知っていたのでしょうかね…。

源氏物語の魅力は、源氏の美しさもさることながら、こうした朧月夜を始めとする
数々の女性の人生模様が魅力の一つとなって描かれています。
母性としての桐壷、妻としての紫の上、そして源氏と関係を結んだ数々の女性たち。
それらの女性は時に源氏以上の魅力をもって、物語を彩ります。
もし興味をお持ちの方がいらしたら、ぜひ一度手にとってご覧になって
みて下さいね^^


宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-10-10 13:47 | きもの検定について

きもの検定 染めのいろいろ



こんばんは。
本日の京都はお昼過ぎまで晴れていいお天気だったのですが
夕方からは結構強い雨が降り出しました。
この季節の秋雨も雰囲気があっていいものなのですが…
退出勤の時は、できれば自転車で移動したい宗流です^^;


さて、もう試験まで三週間を切ってしまいました!早っ!!
…まだお勉強の1/4すら身についていない気がするのですが、
来年の試験まではあと一年以上ありますしね(?)
と、今年も自信ないモード全開ですが、とにかくできるだけ頑張りましょう!
前前々回のお勉強の中で「織り」についてお話しましたので、
今回は「染め」のお勉強にいたしましょう。
それでは、どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


「染め」のきものと言ってまず思い浮かぶのが「友禅染」かもしれません。
これは直接筆できものに絵を描いていくものと、「防染」という作業を
施しながら絵を描いてしていくものがあります。
そして、染めの方法としてはこれだけではありません。
紅型や伊勢型を使った型染めや絞り、ロウケツ染めなども染めの技法です。
本日はこうした染めの種類を幾つかご紹介してまいります。


・手描き友禅
江戸・元禄時代に、京都の知恩院門前に住んでいた扇面絵師の「宮崎友禅斎」が
考案したといわれる技法です。この友禅染の一番の特徴は「糸目糊」とよばれる
ものです。これはもち米に塩をまぜたもので、これによって隣り合った色同士が
混じり合うことなく、精緻な多色染めが可能になりました。
現在もこの糸目糊を使った友禅染=糸目友禅が行われています。
現在は二種類の糸目糊が使われており、ひとつはもち米に糠・塩・それに赤色の染料である
「蘇芳」を混ぜた糊糸目。そしてもう一つはゴムを原料としたゴム糸目です。
どちらも染料が混ざらないよう防染するためのものですが、ゴム糸目がシャープな線を
描けるのが特徴なのに対して、糊糸目は柔らかな線に仕上がるのが特徴です。
また、ゴム糸目は先に地色を引き染してから彩色するのに対し、糊糸目は先に模様に彩色してから
地色を染めるのも大きな特徴です。



・型染め
型染めは楮などで作った和紙に柿渋を塗り、様々な模様を彫った型紙で染める方法です。
この型染めは、型をおいてそこに丸い刷毛で色を擦り込む摺り友禅、
型紙の上から色のついた色糊をおくもの、型で防染糊を置いて防染によって柄をあらわすものと
色々なタイプに分かれます。
また型染めの中でも多色使いのものは、色の数だけ型紙を必要とし、一枚のきものを染めるのに
何十枚も型紙を要するものもあります。


・絞り
生地を防染したい部分を糸で括ったり、板で締めたりして模様をあらわす技法です。
絞り染めは奈良時代以前から存在した古い染織法ですが、この絞り染めが最も
盛んに行われたのは室町時代でした。その後の友禅染の開発により急速に廃れていくの
ですが、江戸時代には京都で「京鹿の子絞り」という鹿の子を隙間なく施した絞りが
生まれ、それがあまりに華美な染めであったため、何度も奢侈禁止令の対象に
なったといわれています。
また絞りの全盛期、室町時代に生まれた「辻が花染め」は模様の輪郭を絞りで染め、
その内側に更に模様を描き出したものなのですが、室町時代に大流行したものの
桃山時代を過ぎた頃から姿を消したため、幻の絞り染めといわれています。
しかし戦後になり、久保田一竹氏によって復元され、数多く制作されました。


・濡れ描き
糊糸目による防染をしない友禅であるため、「無線友禅」ともいわれます。
絹地に筆で描いた様子は水彩画のような味わいが特徴です。
この技法は、生地に大豆をすりつぶして水を加えた「呉汁」や、海藻を煮溶かした
布海苔を使って生地に染料が染み込み過ぎないようにしてから、水分を補いながら
絵を描いていきます。


・蝋たたき
きものの地などに、粒状の模様を表現するのに用いる技法で、温めた蝋を筆や刷毛に含ませ
専用の棒で蝋を生地の上に叩き落して防染します。


・蒔糊
もち米を竹の皮の上で乾燥させ、それを湿らせた生地の上に蒔いて防染する技法です。
原理的には蝋たたきと材料は違うもののよく似ていますが、蒔糊の糊は角がやや鋭角的に
あらわされるのに対し、蝋たたきの方は雫状に角が丸い点に違いがあります。


・ロウケツ染め
ロウケツ染めの発祥地はインドといわれています。そして中国を経て、その後日本へと伝わりました。
この技法は温めた蝋を筆で生地において防染し、模様をあらわします。同じ防染の技法の糊を
使ったものに対して、蝋は防染力が弱いのですが、それが模様のひび割れやぼかしを生み出し
ロウケツ染め独特の味わいを醸し出します。


・一珍染め
一珍染は江戸前期の日本画家の久隅守影によって確立されたといわれている染め技法です。
糊友禅がもち米のでんぷん糊を防染に用いる友禅に対して、一珍染は小麦扮を原料とした
糊で防染します。この糊は乾くと細かなひぴが入り、そこに染料が入ることで「氷割れ」と
よばれるものがあらわれるのが特徴です。


・堰出し
糸目友禅が細い線で色と色の防染をするのに対し、この堰出しは大きな面を色分けするための
技法です。糊や蝋で堤防のような囲いを模様の周りに作って染料が流れるのを防ぐため、
大胆な模様取りに向く技法です。


・更紗
更紗とは本来南蛮船によってもたらされたインドやアジア・ヨーロッパで制作された文様染めの
事をさします。室町時代の頃、明から渡来したこれらの染物は「古渡更紗」として茶人たちにより
仕覆などに利用されました。これに対して日本で制作された更紗柄を「和更紗」とよび、
安土桃山時代には鍋島更紗が生まれ、その後江戸時代に入ってからも江戸更紗や長崎更紗、京更紗
など、各地で様々な和更紗が制作されるようになりました。この更紗の技法として、手描きや木版、
型紙を用いるものがあり、手描きのものは防染に蝋を使ってあわらします。


・注染
注染は生地を型紙の大きさに折り畳みながら、型で糊置きして何枚も折り重ねて、
上から染液を注いで、ポンプでで一気に染液を下へ抜いて染め上げる技法です。
ゆかたや手拭いなどの生地が多く染められており、生地には染料が上下から通るため
両面に染色されるのが特徴です。長板中形・差分け注染・細川染めなどの種類があります。


いくつか染めの技法をご覧頂きましたが、これらはほんの一部です。
染色には大きく分けて、浸染・引染・捺染などがあります。
浸染とは染液の中に生地や糸を浸して染める方法で、染料を温めたり
媒染剤を使って色素を定着させます。
また引染は友禅染めや小紋染めなどのように、染料を刷毛で塗るもの、
部分染色(ろうけつ染めや手描き友禅)などの捺染などがあります。
一般的に染めのきものは織のきものより格が上だといわれ(結城紬など高価な織りもありますが)
黒留袖や訪問着などの礼装用には染めのきものが用いられます。

とはいえ、何も染めは伝統的なきものだけに限ったものではありません。
私たちの身近な洋服の服地にも捺染はとても多く見られます。
一般的にプリント柄といわれるものは、捺染を使ったものです。
最近はインクジェットや転写機でプリントされるものも多くありますが、
これも捺染の一種です。
いま現在、きものの世界でもインクジェットの染めものが見られますが、
これから先、どんどん技術が進歩した時代のきものの染めはどんな風に変化するのでしょうね。
伝統的なものは残していかなければと思う一方で、新しいものの出現がちょっと楽しみな宗流です。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-28 01:17 | きもの検定について

きもの検定 きものの手入れについて



こんにちは。
今日は絶好のお出かけ日和の京都です♪
こんないいお天気、お家にいるのがもったいない!
…でも、やること(お勉強)やらずにお出かけしちゃうと
あとでがっかりするのは自分ですものね^^;
(↑やってもダメならいざしかたなし!)
本日もお勉強とまいります。


さて、今日はきもののお手入れと、その周辺のお話です。
今までこの分野は全然手をつけてませんでしたが、これも大事なお話。
可能な限りさくっとご紹介いたします。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


きものを着てお出かけすると、ついうっかり!や、帰ってから思いがけない汚れが
きものについている場合があります。
宗流は自他共に認める雑な人間なので、しょっちゅうです^^;
振袖の袖をレストランの椅子でずっと踏みつけてるのに気付かなかったり、
衿元にばっちり食べこぼしをしたりと、数えたらキリがありません。
そんな時に力強いのが「悉皆屋さん」です。
この悉皆という言葉は、一つ残らずことごとくという意味だそうで、
きものに関する相談を一手に引き受けてもらえます。
本日はその中から、洗いや染め変えなどのお話をさせて頂きます。


きものはブラウスなどと違い、着用したら毎回洗うという事はしません。
もちろん汗をたくさんかいたり、汚してしまった場合は別ですが、
着用時の薄い衿汚れなどはベンジンなどで注意しながら落とす場合もあります。
ですが、ひどい汚れや汗じみ・時間の経過によるしみなどは、
私たち素人では手に負えません。
まずはそうしたきものを洗う時のお話です。


きものの洗いには、大きく分けて二つの方法があります。

・丸洗い(京洗い)
・洗い張り     の二つです。

丸洗いは名前の通り、きものをそのまま洗いにかけるのですが、
クリーニング屋さんのドライクリーニングのようなものです。
これは石油系洗剤を用いて、水なしで洗います。

次に洗い張りですが、これは一旦きものを解いてから洗います。
きものは一つの反物から8つのパーツに裁断して仕立てるため、それを
解いてロックミシンなどで端をつなぐと、再び一枚の反物状に戻ります。
これを水洗いや揮発洗い(水ではなく、揮発性溶剤で洗う事)します。
そしてきれいになったパーツを糊で張って再び仕立てます。


しかし、こうした洗いだけでは落ちないしみや汚れが見つかる場合もあります。
また、着飽きたきものの色柄を手直したいという場合もあります。
そんな時は、もとの生地を生かしてそこに加工を施したり、別の色のきものとして
再生させる事が可能です。
では、次にそうした加工の一例をご紹介致します。


・染め替え

色無地などのきものの色を一旦落とし、違う色に染め替えます。
淡色から濃色が一般的ですが、ものや色によっては濃色から別色に染めたり、
薄色に染め替える事も可能です。


・彩色直し
柄に汚れが出てしまったり、年齢の経過によって柄の彩色が派手になって
しまった場合、また逆の場合などに友禅の色などに彩色を施します。


・地色替え
もとの柄をそのままに防染し、地色だけを染め替える事をいいます。
その他に柄をよけて引き染する場合もあります。


・吹雪加工
もとの柄を残したまま、模様のまわりをぼかして全体に吹雪のような加工を施します。


・もやぼかし
もとの柄や、色無地などの色はそのままに、地色全体にもやのような加工を施します。


・目引き染め
元の柄の上に無地染めをします。織物にも色を掛けられます。


・柄足し
しみや汚れ・色やけ部分に新しい柄を足したり箔を置いて柄を新たに足します。


・巻きぼかし
柄伏せをせず、柄の周りをぼかしながら取り巻くように、直接地色を刷毛で染めます。


・金彩色
しみや汚れのある部分に、筆で直接描いたり、金銀箔を散らしたりする方法です。


・刺繍加工
しみや汚れのある部分や柄に、刺繍を施す方法です。


・柄の描き足し
しみや汚れのある部分に、新しくよく似た柄を描き足します。


・色無地から小紋へ
地色をそのままに小紋柄を足す場合と、白生地に戻してから足す場合があります。



…といった具合です。
その他に、きものが汚れる前に撥水・防汚などのガード加工があります。
ですが、その前に一度着用したきものを脱いだ時、きものハンガーなどにかけて
湿気を抜く際にしみや汚れのチェックをしたり、
カビが生えないように、虫干しをすることも大切です。
ちなみに虫干しはできれば年に三回行うのがよいとされており、

・7月下旬~8月下旬 【土用干し】
・10月下旬~11月下旬 【虫干し】
・1月下旬~2月下旬 【寒干し】

以上の時期の晴天が数日続いた午前中から数時間、陽にあたらない風通しのよい場所に
きものハンガーにかけて虫干しするとよいそうです。


きものは高価なイメージがつきものですが、お手入れをすれば長く着られますし
もし汚れが見つかった場合も加工直しなどで再び着られるようになります。
それに、絹ものの原料となる絹糸も天然繊維で地球にも優しいですし、
リサイクルや加工直しを利用すればお財布にも優しい(?)衣類なのかもしれませんね。
ただ…その一枚を仕立てるのが、薄給の宗流には厳しいのですが^^:



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-26 11:11 | きもの検定について

きもの検定 絞り染めについて


こんばんは。
このところ、変則的なお休みでどうも勘が狂いがちな宗流です^^;
みなさんの生活リズムはいかがですか~?
週末も土日がお休みの方も多いのでしょうね、
でも!宗流の会社には、完全週休二日制といった輝かしい制度はありません!
本日も普通にお仕事でした(泣)


さて、今日もさくっとお勉強にまいりましょう。
本日は初めてお勉強する分野「絞り」です。
絞りといえば、みなさままず何を思い浮かべられるでしょうか?
鹿の子絞り、有松・鳴海絞り…たくさんありそうですね。
今日はそうした「絞り」の幾つかをご紹介いたします。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


古くは奈良時代、正倉院の宝物に「三纈」とよばれる技法の染織品が見られました。
これらは夾纈(きょうけち)・纐纈(こうけち)・臈纈(ろうけち)といい、
文様をあらわす染織法でした。
この三つに共通する染織法として、圧力や他の材料によって防染する事により
文様をあらわすという方法です。これらは今なお名称や他の材料を用いて
染織法として使われ続けています。
それでは次に、この三纈のそれぞれをみてみましょう。


夾纈(きょうけち)=板締め絞り

折り目を付けたり、たたんだ布を二枚の板で挟んで染料に浸します。
染め上がった生地には、板で挟んだ部分が防染されて模様をあらわします。


纐纈(こうけち)=絞り染め

布を糸でくくったり、固く縫い縮めて防染して生地を染めると、
その部分が防染され、模様となってあらわれる方法です。


臈纈(ろうけち)=ロウケツ染め

蝋を使って防染する方法で、木版に蝋をつけて、それを布に押し付けたり、
溶かした蝋を筆につけて模様を描いたりした後に染め上げます。
蝋を置いた部分は染料をはじいて模様をあらわします。

と、まずは奈良時代の三つの染色技法をご覧頂きましたが、
その中から本日は「絞り」のお話を主にさせて頂きます。

絞り染めがもっとも盛んに染織法として使われたのが、室町時代から安土桃山時代でした。
この当時はまだ友禅染の技法が確立されておらず、小袖の意匠をあらわしていたのは
主に摺り箔や刺繍、そして絞り染めでした。
その後、元禄時代を迎え友禅染が盛んに用いられるようになり、絞り染めは急速に
衰退していくのですが、その後江戸時代になり現在の愛知県緑区有松・鳴海地区で
尾張藩の保護を受けて絞り染めが行われるようになりました。
これが現在でいう有松・鳴海絞りです。
またその他の地域の絞りでも、京都の「京鹿の子絞り」、岩手県の南部絞り染めが
現在でも行われています。



京鹿の子絞り
小さく総絞りにした様子が、鹿の背中の斑点に似ている事からその名前でよばれ、
疋田絞(ひったしぼり)、疋田鹿の子、一目絞(ひとめしぼり)ともよばれています。
京鹿の子絞りと呼ばれるものは、本来は京都産の鹿の子絞りをさしますが、
現在では京都で絞られる桶絞りや帽子絞りなどを含めた総称となっています。


有松・鳴海絞り
有松・鳴海絞り(ありまつ・なるみしぼり)は愛知県名古屋市緑区の有松・鳴海地域を
中心に生産される絞り染めの名称。
三河木綿の手拭いに絞りを施し、土産物にした事に起源をもつ。


三浦絞り
医師三浦玄忠の妻に祖を持つといわれる絞り染めで、一粒ずつ糸を巻き上げずに、
粒の根元に綿糸を巻きつけるだけで絞り、これで全体をくくって浸し染で染め上げます。
疋田と同じように配例した物を疋田三浦、不規則に絞った物を石垣三浦とよびます。


南部絞り染め
南部絞り染めは、南部紫根染・南部茜染めを総称してのよび方です。
板締め絞りや括り絞り、縫い締め絞りなどの技法を用い、紫草(紫根染め)や茜草
(茜染め)で染められます。


傘巻き絞り
傘が開いたような模様が特徴で、放射状の柄を作り出すため、糸で模様の輪郭線を縫って
引き絞り、根もとから糸を固く巻き上げていきます。それを染料で染めて糸をほどくと傘が
開いたような絞りができます。


蜘蛛絞り
蜘蛛絞りは巻き上げ絞りの一種で、ヒダを十分にとって巻き上げるので、出来上がりが
蜘蛛の巣の形になるところからこのような名前がつきました。


手筋絞り
藁やビニールの太い紐を芯にして、反物を端から縦方向に折り畳んでゆき、木綿の糸を
巻きつけて固定します。それを染めると少しよろけた縦筋の模様ができあがります。


木目絞り
杢目絞りともよばれる縫い締め絞りの一種で、絞る部分をぐし縫いにして、縮めてから
浸染する方法です。染め上がりに不規則なたてじわが木目状にあらわれるところからこの名が
つきました。


帽子絞り
染め分けの部分の大きさによって大帽子、中帽子、小帽子に分けられており、
中帽子以上は中に芯を入れます。帽子の中に入る部分を小さくまとめ、その上を竹の皮や
ビニールで巻いて防染します。丸い水玉模様が特徴です。


板締め絞り
四角くたたんで板に挟み、しっかりと固定して染め液の中に浸して染め上げます。
麻の葉など幾何学的な連続模様などに使われる事が多いのが特徴です。


桶絞り
絞り染め用の桶を使って染め分ける技法で、桶の中に染めたくない部分をいれ、
桶ごと染料に浸して外に出ている部分を染めます。輪郭全体が染め出しされた輪出しと、
斜め段など布幅の端から端まで一色で抜けている段物に分けられます。


辻が花
室町時代から安土桃山時代のごくわずかな時期にあらわれた技法で、辻が花染め、
辻が花模様ともよばれます。絞りを主体に、書き絵で線をあらわしたり、摺り箔など
を加えた美しい模様なのですが、起源や作者などが不明で幻の染めといわれています。



上に挙げた絞り染めは、実はごくごく一部です。
有松・鳴海絞りだけでも、100種以上の種類があるといわれています。
でも考えてみると、絞り染めというものは絞り方や染めの具合により、
一つとして同じものは作られません。同じ染物の型友禅などが、精緻な
美しさを感じさせるのに対し、絞り染めがどこか素朴な雰囲気を醸すのは
こうした手作り感を覚えるからなのかもしれませんね。



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-25 23:38 | きもの検定について

きもの検定 織物のいろいろ2 (帯編)



こんばんは。
今回は織物のいろいろ(帯編)の第二回目です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^

…しかし、帯編と題してお送りしておりますが、
きもの編があるかどうかは謎です。時間があるかしら^^;
とりあえず今回もまいりましょう~!




金崋山織(きんかざんおり)

金崋山織は地を繻子のビロード織にし、紋織りを組み合わせたものです。
緯糸の代わりに細い金属の棒などを織り込んで行き、経糸を浮かせてループ状に織り
それで柄を織り出していきます。製織後に一本ずつ抜き去るとできる「輪」を特徴とし、
重厚な雰囲気を持つ織物です。



風通(ふうつう)

風通は中国から伝わった二重織物の一種で、織り上がった生地の裏表の色が反転して
あらわれるのが特徴です。これは経糸に二色、緯糸に二色の糸を用いて平織にし、
一部を表裏を交換するように織る事で、その効果が得られます。



金欄(きんらん)

名物裂の一つとしてよく知られている金欄は、中国に起源をもつ織物で、
日本では室町・安土桃山時代に茶人たちに珍重されました。
この金欄は繻子地に箔糸や金糸の緯糸を用いて模様を織り出した
豪華な織物で、帯だけでなく、能衣装や神具・仏具、袈裟などにも使われます。



緞子(どんす)

緞子は金襴などと同じ時期に中国から舶来し、繻子地に金糸銀糸で模様を織り出した
もので、五枚繻子の表裏の組織をそれぞれ経糸で繻子地、緯糸で模様を織り出しており
光沢のある豪華な様子が特徴で、金欄と同じく名物裂として知られているほか、
表装具や茶入れ仕覆などに使われています。



二陪織物(ふたえおりもの)

二重織物ともいわれ、平安時代の唐衣や表着などに使われた織物です。
この織物は全面に亀甲や唐草などの連続紋を織り出して地紋とし、その上に
「上紋(うわもん)」という丸文や花鳥文などを地とは別の色糸で間隔を開けて
織り出したものです。
また地紋がなく、絵緯による紋だけをあらわしたものを鎌倉時代以降は唐織物と
呼んでおり、これが能装束の唐織につながっていったといわれています。



紹巴(しょうは)

千利休の高弟だった連歌師の里村紹巴が愛玩した名物裂金襴の一つです。
緯糸が経糸を包み覆うような織り方が特徴で、緯糸によってのみ表面の紋様を
あらわしています。
経緯糸ともに強撚糸を用いるため、比較的しわができにくく、柔らかな風合いで
細かい横の杉綾状、または山形状の地紋も特徴の一つです。



花織(はなおり)

花織は沖縄県で織られている生糸・綿糸を使った平織の織物で、模様を一見すると刺繍の
ようにも見えるのが特徴です。経糸・緯糸を浮かせて模様を織り出し、経糸を浮かせたものを
経浮き花織、緯糸を浮かせたものを緯浮き花織、表裏で両方の糸を浮かせたものを
両面浮き花織、別糸を使って模様を織り出す縫取り花織などがあります。




…やはり宗流、織物は苦手です^^;
と、いうのもなかなか色んな種類を目にする機会がないのと、
頭の中で糸の組織図を組み立てるのがとても難しいからなんですね。
色んな本で織物の写真を目にしても、手触りや細かな組織を体験しないと
それがどんなものか分かりにくいものです。
きっと、この記事をご覧頂いている方々には、なおの事だと思います。
分かりにくい説明になってしまいました、ゴメンナサイ!!




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-23 23:12 | きもの検定について

きもの検定 織物のいろいろ1 (帯編)


こんばんは。
本日は祝日でお休みの方も多くいらしたのでしょうね^^
ゆっくりとお休みを楽しまれましたか~?

宗流はお勉強の一日でしたが、お休みの日はいつもなぜか
眠たくて眠たくて…でも、お昼寝を三十分でもしようものなら
夜、いつもより2~3時間は遅くにしか眠れないので、
明日の仕事に差し障る恐れがあるため、じっと我慢の子でした^^;
お昼寝…この上なく気持ちいいのになぁ…(泣)


さて。泣き言はほどほどに、お勉強にまいりましょう!
日中は自分の好きなお勉強だったので、次はことごとく苦手なものに…。
今回は「織物」についてのお話です。
…宗流、友禅など染めものは何となく好きなのですが、
織物のお話はとてもとても苦手です^^;
きもの好きの方は、紬など織ものがお好きで詳しい方も多いのでしょうが
どうも私は苦手この上ありません。
でも、苦手と言っていては始まりません!曖昧な部分も多いかと思いますが
どうぞよろしくお付き合い下さいね。


今回は織の中でも、これまでのお勉強に登場しなかった帯地の織物を
主体に進めてまいります。



錦織(にしきおり)

錦織は色糸・金銀糸などを使って紋を織り出した紋織物の総称です。
日本では奈良時代頃から織り始められ、その歴史の起源は中国で、
紀元前5世紀にはすでに織られていたといわれています。
もともとこの錦織は、経糸で柄を織り出す経錦でしたが、唐の時代に緯糸で柄を
織り出す緯錦の手法が生まれました。
この錦織を織る織機は、平安時代頃から空引き機という二人がかりで織り手と経糸の
上げ下げをする機が用いられていたのですが、明治時代の産業改革でフランスから経糸の
上げ下げを指令するパンチカードを使う機・ジャガード機が導入されました。
また時代を経てこのパンチカードを使う織機も、それと同じ役割を担うフロッピーディスク
を用いる方法へ移り、それまでの手織りから機械動力を用いた力織機へと変わっていきました。



唐織(からおり)

唐織は中国が明とよばれていた室町時代に日本に伝わり、能装束や帯地には欠かせない
織物です。斜紋織りに色緯糸(絵緯)を浮かせて柄を織り出しているためでその織り方は、
一見すると刺繍のように見えるのが特徴です。
この唐織の地織は目の詰まった斜紋織なのですが、地色になる経糸を水で濡らすながら
織り進められます。またその湿度を保つために、半地下の土を掘ったところに機を置いて
織られる事もあり、そのための機を埋機といいます。



佐賀錦(さがにしき)

草履やバッグなどでもおなじみの佐賀錦は、日本の佐賀鹿島藩・鍋島家中で代々の鍋島家の
夫人たちが工夫を重ねて完成させた織物です。
この佐賀錦の特徴として、経糸に箔を使った糸を用い緯糸に金銀糸や色糸が使われます。
模様をあらわすのは緯糸なのですが、経糸に箔使いの糸を用いるため織物には重厚な輝き
が見られます。以前は鹿島錦と呼ばれていたのですが、明治43年の日英大博覧会に出品
されたのを機に、佐賀錦とよばれるようになりました。



綴織(つづれおり)

綴織は模様を織り出す織物しては最古のもので、世界各国で古くから織られてきました。
エジプトではコプト織、南米アンデスのインカ織、中国の剋糸(こくし)などがその例です。
日本では正倉院などに舶来品の綴織が見られますが、本格的に国内で生産されるように
なったのは、江戸時代といわれています。綴織は地の経糸と緯糸だけで模様を織り出すの
ですが、その特徴として、経糸を包み込むように緯糸を強く織り込むため、経糸は見えなく
なります。
そして緯糸は同じ色の模様部分によって、糸を折り返すようにして模様の形が織られるため、
模様のある部分には織りかえした部分に経糸に沿って隙間ができます。これを把釣孔
(はつりこう)とよびます。
またこの模様を織り出すのに、緯糸を鋸状の爪でかき寄せながら織ったものは本綴(爪綴)と
よばれています。



博多織(はかたおり)

博多織は16世紀の後半、博多の組紐商が中国に渡りその技術を得たもので、
袋名古屋帯や半幅帯などに帯地に使われる独鈷や花皿の柄が織り出されたこの織物は、
張りと適度な固さがあり、締めた時に絹鳴りがするのが特徴です。
中でも「献上」という種類の博多織は、江戸時代に福岡藩主の黒田長政が幕府に献上した
事からその名がつきました。
またこの博多織は、経糸に6000~7000本もの細い糸を使って柄を織り出し、そこに太い
緯糸を強く織り込む事で横に畝が見えるのも特徴の一つです。



紬(つむぎ

紬は帯地の他にもきもの地にも多く使われている織物です。
本来紬糸というものは主に真綿から引き出して撚ったつむぎ糸を使用しますが、
現在は絹糸を用いる事も多く、名称のみが残っている紬織物もあります。
紬糸を使用したものは染めた糸を使って織られる先染めのものと、紬生地を織ってから
後で染められる後染めのものに分かれます。



絽(ろ)

絽は夏物のきものや帯地に使われる織物で、織物に横や縦に筋状の隙間・絽目が見られる
のが特徴です。(帯の場合は主に緯絽)
この絽は二本ひと組にした経糸を使い、それを捩ってできる隙間に緯糸を通して織られます。
その緯糸は必ず奇数で、三・五・七本となり、それぞれ三本絽・五本絽・七本絽とよばれます。
また絽の平織の部分に地紋をあらわしたものを紋絽といい、その他に絽綴や絽唐織などの
種類があります。



紗(しゃ)

紗は絽と同じく二本ひと組にした経糸の間に、一本ずつ緯糸を通して織り上げる捩り織の
一種です。この紗も夏用のきもの地・帯地に使われ、地紋のあるものを紋紗、地紋のないものを素紗とよびます。
また緯糸に色をつけて文様を織り出したものもあります。



羅(ら)

羅は夏の帯地に使われる織物で、夏の薄物の中では最も目が粗いという特徴があります。
羅の歴史は古く、紀元前三世紀頃には中国で生まれ、奈良時代に日本に伝わりました。
絽や紗が二本ひと組の経糸を捩って隙間を作る捩り織なのに対し、羅の捩り織は、
二本の経糸が互いに絡みあったものに、さらに隣の絡み合った経糸を組み合わせて
織られます。その隙間に一本ずつ緯糸を通す織り方とを籠目羅といいます。
またこの一本の絡み合う経糸に対して、二本の綜絖を作用させるのですが、この綜絖を振綜
(ふるえ)といいます。




織物のいろいろ2へ続きます。



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-23 21:13 | きもの検定について

きもの検定 古代色について


こんにちは。
本日は祝日!本来は国民が色々な行事のもとになった出来事に
感謝してお祝いする日なのですが…
不遜にも宗流、休日に感謝している有様です^^;
でも、せっかくの祝日。しっかりお勉強できる事に感謝しなくちゃ!



さて。駆け足でおさらいをしてまいりました検定のお勉強ですが
そろそろ何をすればよいのやら、頭を悩ましている宗流。
まだまだお勉強すべきところはたくさんあるのですが、ちょっと煮詰まり気味…。
こんな時は、ちょっと息抜きに自分の好きな分野をおさらいです^^
本日は「日本の伝統色」のお話です。
色は無数にありますが、その中でも古の日本人が愛でてきた伝統色のご紹介です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。


とはいえ、古代色にも膨大な種類があり、ご紹介できるのにも限度があります^^;
またその色を得る色素も、植物に由来する植物染料、動物の持つ部位から得られる
動物染料、鉱物などから得られる顔料などさまざまなものがあります。そして現代では
化学的に作られた化学染料などもあり、さらに色のもつバリエーションは多数に上ります。
今回は大まかな色系統に分類し、その中の幾つかの古代色の名称と染材をご紹介させて
頂きます!

まずはこれから。



「赤」の系統


赤は私たちの生活や人体にも大きく関わりを持ち、太陽や火・血液の色など、
「生」のイメージを強く与える色です。


紅色(べにいろ) 少し黄がかった鮮やかな赤

紅といえば、紅花が浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。
赤の色素を得るのに、紅花はとても多く用いられています。
しかし、この花に含まれる色素の多くは黄色の色素(サフロールイエロー)で、
微量の赤色の色素(カルタミン)を得るために、アルカリ性の灰汁でさらして黄色の色素を
洗い流し、残った赤の色素で赤を染めます。その際に酸性の強い烏梅の燻製を加え、
酸媒染によって染め上げます。


猩々緋(しょうじょうひ) 鮮やかなわずかに黄がかった赤

赤の色素を得るのは、植物性の染材だけではありません。
この猩々緋は、コチニール(コチニールカイガラムシ)という虫を乾燥させ、熱水につけて
赤の色素を得ています。この色素は染色だけに限らず、食品にも使用されています。
また、熱や水に対しては安定した赤の色素が得られるものの、ph度によって色調が変わり
アルカリ性が強いと赤紫系に、酸性が強いとオレンジ系の色素へと変化します。


茜色(あかねいろ) やや鈍い暗めの赤色

茜色の空というように、暮れかけた暗めの赤色を茜色といいます。
この茜色の色素を得るのは、茜草という植物の根を用います。日本では古くから岩手県で
茜草を使った南部茜染が有名で、この色素は灰汁を用いたアルカリ媒染のよって得られます。


蘇芳色(すおういろ) 紫がかった暗めの赤

蘇芳はマメ科の植物・蘇芳の樹皮を煮出して得られる色素です。
この蘇芳から得た赤の色素を媒染して染めるのですが、媒染材によりアルカリ性の灰汁では
紫がかった赤に、酸性による明礬媒染では紅赤に、鉄媒染では黒ずんだ紫になります。


この他の赤系統の色として、紅梅色(こうばいいろ)・退紅(あらぞめ)
・韓紅花(からくれない)・甚三紅(じんざもみ)などがあります。





「黄」の系統


黄色はそのものだけでも存在感のある色彩ですが、日本の四季の中では
移ろう季節の花や木々の葉の色をあらわすのに、なくてはならない色の一つです。


梔子色(くちなしいろ) 赤みの鮮やかな黄色

梔子は食品の色付けでも多用されるクチナシの実から抽出される黄色を用いて染められます。
クチナシの実を乾燥して水につけるだけでも黄色の色素を得る事が可能なのですが、
色素を安定させるため灰汁を媒染に用いたり、アルカリイオンや酸による媒染により
色相の違いを得る事ができます。


黄檗色(きはだいろ) 鮮やかな黄色

黄檗色はミカン科の植物、黄檗の樹皮の内側にある黄色のコルク層を煮出して得られる色素
によって染められます。防虫効果がある事から古くから中国をはじめ紙製品に多く染められ
てきましたが、赤色などの下染めにも使われます。しかしこの黄檗の染料は酸性のため、
下染めの際にはその成分をよく洗い流さなければなりません。


刈安色(かりやすいろ) 緑みのある黄色

刈安色は日本では奈良時代には存在した、古い伝統色の一つです。この色素は、刈安という
イネ科の植物の葉を煮出して得られるもので、黄色の色素はルテオリンという太陽の紫外線
から身を守る物質からなり、夏の強い太陽光線を最も浴びる八月末のものが使われます。



鬱金色(うこんいろ) やや赤みをおびた鮮やかな黄色

鬱金色の色素は、ショウガ科のウコンから得られ、英名でターメリックといい食品の色付け
や香辛料の一つとしても知られています。江戸時代頃に日本にもたらされたといわれ、
この色素で染められた生地には防虫や殺菌の能力があることから、きものを包む風呂敷や
初着などにも利用されていました。


この他の黄系統の色として、芥子色(からしいろ)・山吹色(やまぶきいろ)・
菜の花色(なのはないろ)・女郎花(おみなえし)などがあります。




「茶」の系統


茶色は土や木の樹皮など、古くから日本の生活様式の中に数多く見られる色です。
またその色にはバリエーションも多く、鼠色とともに江戸時代には「四十八茶百鼠」
といわれるほどでした。

香色(こういろ) ごく薄い黄色みをおびた茶色

香色はその名前のごとく、奥ゆかしさが香り立つような色が特徴で、これは丁子という
香辛料(クローブ)から得られる色素から染められています。
この色の歴史は古く、平安時代には存在していたといわれ、清少納言の枕草子にも
この香色は登場しています。


柿渋色(かきしぶいろ) 鈍さをもつ赤黄をおびた茶色

柿渋は、まだ青い渋柿を自然発酵した液から抽出されるタンニンの一種で、この柿渋は繊維を染める
だけでなく紙にも染められており、その耐水性から型染めに使用される型紙に使われます。
この柿渋で染められた生地には抗菌・防臭・保湿効果があるとされ、古くは酒袋や味噌袋に、また
現在でも反物や普段身につける靴下やハンカチなどにも染められています。


胡桃色(くるみいろ) 灰みをもつ黄褐色

胡桃は食用で知られるほか、その樹皮や果皮を煮て灰汁で媒染した色素は胡桃染めとして
染色に用いられています。古くは奈良時代頃の写経用の紙にも染められており、また
源氏物語の「明石」の段にもこの胡桃で染められた紙についての記述が見られます。


この他の茶系統の色として、路考茶(ろこうちゃ)・団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)・
檜皮色(ひはだいろ)・伽羅色(きゃらいろ)などがあります。



さて、幾つか色の名称が集まってきましたね~。
少し長くなっちゃいましたが、あともう少しお付き合い下さいね。
ここから下は紫・青・緑の色のご紹介です。
ところで、なぜこの色と他の色を分けたかと申しますと、
紫・青に関しては、紫草と藍による染色がとても多く、その中で濃度を変えたり
他の色とかけ合わしたりして染められるものが多くみられるのです。
また緑も黄色と青のかけ合わせによって得られるものが多く見られます。
もちろん、私が知らないだけで他の単体の染料があるのでしょうが、
一般的に知識としてはこの辺りで遜色ないのかなぁ~と勝手に思ってます^^;

それでは、紫からまいりましょう!


紫は紫草と呼ばれる植物の根から色素を抽出するものと、紅花と藍を重ね染めする
方法の二つに大別されます。(その他にムラサキガイからの色素などもあります)
中でも紫草の根は紫根(しこん)とよばれ、この根を砕いて灰汁で媒染して染められる
のですが、この紫根染は色が変わりやすくとても高い技術を要します。ですからこの
紫色は古代より特別な意味合いを持った色とされ、聖徳太子の時代に定められた
冠位十二階でも最上の色として珍重されました。
また紫を染める職人は古くより紫司とよばれ、その色を染める要職といわれていました。

紫色の種類としては
二藍(ふたあい・紅花と藍のかさねぞめ)・滅紫(けしむらさき・染液を一晩おいて黒みがかった
もので染めたくすんだ紫)・葡萄色(えびいろ・熟した葡萄のような深みのある黒みの紫)
などがあります。



次に青色です。この青色は藍の葉から抽出した色素によって染められます。藍の青い色素は
生の葉を用いる生葉染と、発酵させた葉から作られる蒅(すくも)で染める建染(たてぞめ)
があります。この染料の濃度を変え、たくさんの青系統の色が染められています。
本来藍の色素は不溶性のため、アルカリ性の溶媒で藍液を作り、それを使って染められます。
また藍は媒染と必要としませんが、空気中の酸素で酸化しやすいため蒅染などの染液は消石灰
などでph値を保つ必要があります。(また青色には藍銅鉱を用いた顔料もあります)

この藍を使った藍色の種類としては
甕覗(かめのぞき・藍甕を覗いた程度にごく浅く染めた藍色)・縹色(はなだいろ・
本来は露草の花の色であったが、藍の単一染めの青色をさす)などがあります。



続いて緑色です。こちらは葉から染められる草木染めのイメージが強いのですが、
色の安定に乏しく、時間の経過と共に茶色に退色する場合が多いのです。
ですから色調を安定させるために、刈安やクチナシ、ウコンなどで黄色に染めた後に
藍などの青系統を染め合わせて緑色を得ます。

萌黄色(もえぎいろ・新緑の萌えたばかりの緑の葉の色)・若竹色(わかたけいろ・
若い竹の幹に見られるようなさわやかな緑色)・常盤色(ときわいろ・常緑の松などの
葉の緑色)などがあります。



最後に、色の持つ名称はその材料を示すもの、また自然の風物から連想されるもの、
そして特定の人物が作ったり、好んだものがあります。
日本の古代色は西洋の色に比べて、落ち着いて控え目なものが多いのですが、
その名称が示すイメージの豊かさには、西洋の色にないものがあります。
またこれら単色だけでなく、それぞれの色を組み合わされて作られる「襲色目(かさねいろめ)」
は、古の日本人が作り上げた世界に誇れる色彩感です。
色の世界とは不思議なもので、色彩は季節をあらわすだけでなく、それを用いる時の
心情さえもあらわしてくれるものです。
どうぞみなさまも、そうした色に触れる機会がありましたら、それらの色を使って
自分だけの「現代版襲色目」を作ってみてはいかがでしょうか^^




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-23 15:23 | きもの検定について

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