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カテゴリ:きもの検定について( 52 )

きもの検定 文様について5



こんばんは。
本日も京都は昨日に引き続き、涼しく過ごしやすい一日でした。
今日は半袖で出勤していたのですが、行き帰りの空気が
ひんやりとして心地いい事!
空調も必要ないくらいの自然な心地よさを感じるのは
一年の中でもそう多くないような気がします。
中でも私は春の空気より、初秋の爽やかな空気が大好きです^^



さて。
今日も文様のお話が続きます^^
本日は「割付文様」のお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね!


割付文様…きものや文様が身近でないと、少し聞き慣れない言葉かもしれません。
この文様は、絵画的な吉祥文様などの類とは少し異なり、デザイン的な
要素の強い文様です。パターンとしては三角形や四角形、円形などの模様が
前後左右に繰り返された文様をさします。

一見すると単調にも見えるかもしれませんが、その端的な様子の中にも
計算された間の美しさや、古の日本人の美意識の高さが垣間見え、
長い歴史を経てもなお色褪せない魅力を私たちに見せてくれます。
今日はそうした割付文様の中から、デザインとしての文様に加え
特別な意味合いを持つ幾つかの文様をご紹介させて頂きます。




麻の葉文 … 正六角形を基調にした文様で、六個の三角形を組み合わせ、
      それを四方につなげたものです。
      この麻の葉は名前の通り、麻の葉っぱをあらわしたものなのですが、
      麻の葉はとても生育が早い事から、昔は赤ちゃんの初着の柄に使われ
      ました。また江戸時代後期に歌舞伎役者の嵐璃寛が「妹背門松」の
      娘役を演じた際の衣装の柄であったため、この柄は別名「お染形」とも
      呼ばれています。



石畳文 … 色の違う正方形を交互に上下左右に並べた文様で、平安時代には
     「霰(あられ)」とよばれ、有職文様の一つとされていました。
      その後、江戸時代になると上方の歌舞伎役者・佐野川市松が舞台衣装
      にこの柄の袴を愛用していたことから、市松文様と呼ばれるように
      なりました。



鱗文 … 色柄の違う正三角形または二等辺三角形を、各頂点を合わせて連続して
     配置した文様で、その三角形の並ぶ様子から魚や蛇などの鱗に見立て、
     この鱗文という名称がつけられました。またこの鱗文は厄除けの印とも
     知られており、女性の厄年(33歳)にはこの柄の襦袢を身につけ、厄を   
     逃れる風習があります。



亀甲文 … 六角形を上下左右に組み合わせた文様で、その形が亀の甲羅の模様を
      イメージさせることから亀甲文とよばれるようになりました。
      この亀甲文はとてもバリエーションが多く、亀甲の中に花を描いた
      「花菱亀甲」、亀甲を三つつなげた形の「毘沙門亀甲」など、亀甲に他の
      模様を組み合わせたものが多く見られます。



 … 直線の太さや色を変え、平行に組み合わされた単純明解な文様ですが
    縦じまだけでなく、横じまや格子状に組み合わされたものも縞とよびます。
    古くは南方諸島で織られていた木綿の生地が日本に伝わった際、その生地に
    織り出されたこの模様は「島」の字をあてられていました。それが江戸時代
    頃になって「縞」という字があてられるようになりました。
    バリエーションとして太い縞の左右に細縞をもつ「子持ち縞」、太めの縞を
    濃い色から薄色へとグラデーションをつけて並べたものを鰹の体色に見立てた
    「鰹縞」、様々な太さや色の縞を並行に組み合わせた「矢鱈縞」など、その直線
    の組み合わせが生む名称はとても多く存在します。



格子 … 縦と横の方向に線が組み合わされたものを格子とよび、もともとはこれを
     格子縞とよんでいました。この格子柄の特徴として、子持ち縞と同じく
     太い線の横に細い線を合わせて格子に組んだものを子持ち格子と呼ぶように、
     その形状から連想されるものも多いのですが、歌舞伎役者などの演者がその
     名称の由来となるものが大変多く存在します。歌舞伎の演目「勧進帳」で
     弁慶の身につけている濃淡の太い線を格子に組んだもの「弁慶縞」や、
     中村勘三郎が身に着けていた格子「中村格子」、三代目尾上菊五郎の
     「菊五郎格子」や市川団十郎が一谷武者画土産で岡部六弥太に扮した際の
     裃の柄に使われた「六弥太格子」などがあります。



七宝 … 同じ大きさの円を、円周の1/4ずつ重ねた文様で、有職文様では輪違いとも
     よばれています。この七宝はもともと名前の通り、七つの宝物を示す仏教用語で
     金・銀・瑠璃・破璃(はり)・珊瑚・瑪瑙(めのう)・蝦蛄(しゃこ貝)の
     七つをあらわしています。



 … 菱は四本の斜線に囲まれた形で、この菱をつなぐと菱繋ぎや斜め格子、襷文など
    ともよばれます。この菱も有職文様の一つで、菱型の中に花を描いた「花菱」
    羽を広げた鶴が向かい合わせて菱形をかたどった「向い鶴菱」、菱形を四つ
    組み合わせた「四つ菱」、菱形の上に小さな菱形をのせてつないだものが、松の
    表皮に似ているところからついた「松皮菱」など、バリエーションも豊富です。




…今日は少し多めの文様をご紹介できたでしょうか^^
ただ、文章で説明させて頂くだけでは、なかなかイメージがつかみづらいかも
しれませんね。ゴメンナサイ

割付文様は、先にも述べましたがとても簡素な線や面の組み合わせの文様です。
しかし「この簡素な」という点は簡単そうに見えて、とても難しいものかもしれません。
過飾に過ぎないというのは、逆に言えば必要なものを最小限に使うという事です。
ごまかしがきかない、ともいえるかもしれませんね。
Simple is the best だからこそ長く見ても飽きず、応用も効く。
こうしたデザインにおいてだけでなく、色々な面において簡素というものは
基本の概念として持ち続けたい、そう思う宗流です^^




宗流     
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by sou-ryu_mame | 2010-09-16 23:27 | きもの検定について

きもの検定 文様について4


こんばんは。
本日の京都は朝から気候も涼しく、過ごしやすい一日でした。
そして夕方からは雨。今週は少しずつ天候も下り坂となりそうです。
これで少し足踏みしていた秋の歩みも、ゆっくりと近づいて
くるのかもしれませんね^^




さて。
今夜もお勉強とまいりましょう!
本日は文様の中でも、とりわけ華やかさと強い謂れをもつ
吉祥文様のご紹介です。
この吉祥文様もとても多くの種類があり、その全てをご紹介する事は
できませんが、できるだけ多くの種類をご紹介したいと思います。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


以前、植物文様のお話の回で「松竹梅」のご紹介をさせて頂いたのですが
この松竹梅などは、特に吉祥文様の代表とも言えるかもしれません。
またこの回のお話で、松竹梅の日本のおめでたい柄という事と同時に
中国では「歳寒の三友」と言われるというお話をお伝えさせていただきました。

実は吉祥文様という文様は、こうした中国から伝わったものと
日本特有のものと、大きく分けて二つに分ける事ができます。
そして、その意味合いについては若干の差異が生じるものがあります。
例えば、先の「松竹梅」は日本にとっては吉祥文様の代表と言えますが
中国の観点では吉祥の意味合いよりは、清廉の象徴という意味合いが強いのです。
したがって、文様の多くが中国から伝わったものであっても
日本の文様と中国の文様では、その意味合いとモチーフに違いがあると
いう事を先にお伝えして、お話を進めてまいりたいと思います。



吉祥文様とはその名前の通り、吉祥を意味するものなのですが
そこには長寿や子孫繁栄、夫婦和合など様々な慶事への祈りが
込められています。
良く知られたものの中では、長寿の鶴亀などがありますね。
これはもともと中国から伝わったものなのですが、日本でも同じ意味合いで
吉祥の文様としてよく使われています。
実際は定かではありませんが、鶴は千年・亀は万年と申しますものね^^

では、まずは中国から伝わった吉祥文様の幾つかを挙げてみたいと思います。



鳳凰 … 吉祥の兆しをあらわす瑞鳥であると同時に、本来「鳳」は雄、
   「凰」は雌と言われ番(つがい)で描かれる事も多く、婚礼用の衣装にも多用される。


 … 神獣と位置づけられ、水を司る生き物とも言われる。


 … 中国では雲は万物を生むものとされ、神や精霊が宿る神聖なものとされている。


 … 登竜門伝説(鯉の滝登り)でも知られる鯉は、滝を登り切ると龍に変化し
  天へ昇ると言われており、立身出世の象徴とされている。


蝙蝠 … こうもりは中国では漢字の「蝙蝠」が「福」の音につながることから
   吉祥の文様として好まれている。



何となく、中国から伝わった文様はその謂れ自体が大らかな気がしませんか?
広大な大陸気風がそう思わせるのでしょうかね^^
では、次に日本で生まれた吉祥文様を見てみましょう。


貝桶 … 平安貴族の子女の遊びの「貝合わせ」で使う美しい絵柄を描いた
   蛤の貝を入れる容器。この貝合わせは対になった二枚同士しか貝殻が合わないため
   貝合わせの文様は夫婦和合の象徴といわれる。また貝桶自体も吉祥文様。



 … 右近の橘・左近の桜という言葉でも知られる橘は日本生まれの吉祥文様で、
  長寿を招き子宝に恵まれるとの謂れがある。



王朝貴族の調度品 … 貴族の邸にしつらえられた御簾や御所車なども日本では
  吉祥文様として使われる。こうした調度品の類は、謂れを重視するというよりは
  王朝風の雅やかな風情が、華やかなイメージを持つ婚礼衣装などに似つかわしく、
  モチーフの美しさそのものに吉祥文様の雰囲気が重ね合わされたのではないかと言われる。



この他にも、前回ご紹介した「熨斗」や「檜扇」も日本生まれの吉祥文様と
言われています。
今回もあまりたくさんはご紹介できなかったのですが、吉祥文様という概念は
お祝い事を祝う気持ちや、幸せを願う気持ちから生まれたものです。
この吉祥文様は、自分自身に対してという事ももちろんあるのでしょうが、
相手の慶事を願う場においてこそ多様されるのも、そうした気持ちの
表れなのです。
ですから、特に人生において幸せの門出でもある婚礼の際などには、
相手の幸せを願う意味合いを文様に込め、礼装で敬意をはらうという観点から
衣服を正して出席に臨んだのが始まりなのかもしれませんね。

なお、日本生まれの吉祥文様の持つ特徴の一つとして、先に述べた
雅やかな風情を持つ王朝風のものが、吉祥文様とされた所以として、
平安時代中期~後期の国風文化の発達があるのだとされています。
それまで中国の文化が色濃く文化に影響していたものが、独自の国風文化が
花開くことにより、そうした貴族の生活に対しての憧憬の念が吉祥文様として
好まれるようになったのではないかといわれています。


とはいえ…実際にその当時の内情に通じていないので分からないのですが、
でも、優雅で豊かな暮らしぶりというものに憧れを抱くというのも
何となく分かるような気がしますね。
贅沢が幸せの基準ではないものの、気持ちがゆったりとしておっとりと毎日を
過ごせるという事は、ある意味幸せと言える気がする宗流です^^



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-15 23:57 | きもの検定について

きもの検定 文様について3




こんばんは。
本日の京都は気温も相変わらず30℃ほどあったのですが、
真夏日や猛暑日でないだけで、何となくとても涼しい気すら覚えます。
もしかしたら、今年の暑さで体感温度がマヒしちゃってるのかも
しれませんね^^;
こんな時期は体調を崩しやすいものです。みなさまもどうぞお気をつけ下さいね。


さて。
本日も文様のお話シリーズです。
今日は私たちの生活に最も身近な「器物文様」のお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


器物というのは、私たちが生活の中で手にしたり、実際に使用したりする
ありとあらゆる「もの」に対しての総称です。
しかしながら、文様のモチーフとして使われる「器物」は今現在
私たちが日常的に使う事のないものも多く存在します。
本日はそうした日常的になじみ深いもの、そうでないものの
両方を例を挙げながら、ご紹介してまいりたいと思います。



まずは、現在も日常的に馴染みのあるものからまいりましょう。



扇(末広):
きものを着用する際には、欠かせないものの一つかもしれませんね。
また最近では洋服の際にも持てるようなデザインのものも百貨店など
ではよく見かけるようになりました。
扇をモチーフにしたものには、扇文・扇面など扇そのものの形をあらわすもの、
そして扇の骨に張る紙=地紙や、薄い檜材で作られた檜扇(衵扇・あこめおうぎ)
また流水に扇子を流した様をあらわす扇流しなど、幾つもの文様があります。
これらには美しい花柄などがあしらわれ、訪問着などに華やかな雰囲気を
添えています。



団扇:
夏の夕涼みなどに欠かせない団扇は、日本的な風情を感じさせるものですが
もとは中国から伝わったものとされており、中国では老子の弟子で
八仙の一人・漢鍾離(かんしょうり)の持ち物として知られています。
団扇をモチーフにしたものには、円形や相撲の行司さんが持つ軍配のようなもの、
また四角に近い形のものなどバリエーションも豊富で、季節の風物詩といった
イメージも手伝い、朝顔などの夏の花や流水といった夏を感じるものと
一緒に描かれたり、幾つもの団扇を描いた「散らし」といった様子で
あらわされる事の多い文様です。




本(紙製品):
少し意外な気もしないでもありませんが、本も文様にあらわされています。
しかし、これは現在のような製本された冊子ではなく、芳名録で使用されるような
和綴じの冊子で、冊子文(そうしもん)といわれています。
また紙を使った文様には、短冊・色紙・巻紙(巻子)・結び文などがあります。
これらも季節の美しい花々や流水や山河などと共に描かれますが、多くの場合は
一つではなく、幾つかの違う柄で彩られたものが散らしてある事が多いようです。



熨斗:
「熨斗」も普段何気なく目にしているものなのですが、中でも一番身近なものでは
ご祝儀などを入れる「熨斗袋」かもしれませんね。
熨斗は本来、乾燥させた鮑の身を薄く伸ばしたもの(のしあわび)を祝儀に添える事から
端を発したのですが、現在は袋の端にその名残を示すにとどまっています。
この熨斗を束ねた文様を束ね熨斗といい、吉祥文様の一つとして留袖などによく使われます。
また少し形状が異なり、檀紙という紙で花を包んだ文様を花熨斗といいます。
この花熨斗は室町時代頃、七夕の日に禁裏(御所)へ贈る習わしがあったそうです。
また、ここでお話すると少しややこしいのですが、「熨斗目」という言葉があります。
この熨斗目、よく熨斗と混同される事が多いのですが、実は別のものなのです。
これは本来、男性用のきものでよく見られた「段替わり」の模様の事です。
そしてもう一つ。赤ちゃんのお宮参りの時に着せかける、男児用の祝い着も「のしめ」と
呼ばれています。



楽器:
この文様も、今現在も存在するものなのですが、一般にいう西洋の楽器ではありません。
いわゆる雅楽や能楽に使用される和楽器や琵琶・琴・三味線などの楽器をさします。
これも多くの種類があり、鼓・笙(しょう)・篳篥(しちりき)や龍笛(りゅうてき)
などの笛・琵琶・琴などがよく描かれています。
また少し面白いところでは、琴の弦を支えて音の高低を調節するもの「琴柱(ことじ)」
といったものや、三味線の撥(ばち)などの楽器の一部分が文様になったものもあります。



…私たちに馴染みのあるものは他にも嫌というほどあるのですが、
こればかり挙げているときりがないので、この先は少し今の生活では
あまり目にする機会がないものもご紹介してまいりましょう^^;




尽くし:
これはおめでたい器物文様の代表格ともいえるものかもしれませんね。
この宝尽くしは、もともと中国の仏教用語「雑八宝」というものからきたのですが、
室町時代頃に日本に伝わり、少しアレンジが加えられて今の宝尽くしとなりました。
謂れによると、八つとは限らないとの事ですが、
以下にはよくあらわされる代表的なものを挙げてみました。

打ち出の小槌 … 振れば願いが叶うとされた小槌
丁字 … 香辛料で使うクローブ。昔は香辛料の稀少性が尊ばれる
宝鑰 … (ほうやく)宝の蔵を開ける鍵のこと
隠れ蓑 … 天狗が持つと言われる姿を隠すことのできる蓑
隠れ笠 … 隠れ蓑と同じ力をもつ笠
分銅 … 金や銀の重さをはかる金属の重り
方勝 … (ほうしょう)菱形をした首飾り
金嚢 … (きんのう)お金やお守りを入れる袋
宝珠 … 望みのものを出す不思議な珠
宝巻 … (ほうかん)ありがたい経典の巻き物
筒守り … 宝巻を入れるいれもの


たぶん、どれもこれもきっと有難いものなのだとは思いますが…
あまりに馴染みがなさすぎて、イメージがお伝えできない気がする宗流です^^;

しかし、器物文様はさすがに色々な「もの」をあらわすだけあって
ほんの一部しかご紹介できませんでしたね。
この器物文様はまたいつか時間のある時にでもご紹介できればと思っています。
次回はこれまた種類の多い吉祥文様をご紹介したいと思います!




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-14 23:25 | きもの検定について

きもの検定 文様について2


こんばんは。
本日も順調に(?)気温が上がり、もれなく残暑の厳しい京都でした。
明日からは雨になるようで、少し気温も下がるかと期待しておりますが
どうでしょうかね~???


さて。
本日も前回に引き続き、文様のお話をお送り致します。
お勉強は何にしても苦手な宗流ですが、自分の好きな分野は
お勉強もお勉強と感じず、ひたすら楽しいような気がします^^
きもの検定も、自分の好きな分野だったらいいのに…
と、甘い夢を見る宗流です^^;



さてさて。
前回は正倉院文様・有職文様・名物裂文様・琳派文様の四つのグループについて
お話をさせて頂きましたが、本日はまた新たなグループのお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。




植物文様


文様の中には、植物をモチーフとしたものがとても多く見られます。
花開く様子や蕾、結実した実り、葉や植物そのもの、そして違う植物を
組み合わせた文様と、多種多様な様をあらわしています。
特に日本は春夏秋冬の季節がはっきりとした気候のため、四季折々の
植物の文様が私たちの目を楽しませてくれます。
日本における植物をモチーフとした文様で有名なものに「松竹梅」が
あります。きっと誰しも一度はこの名前を耳にされた事がおありだと思います。
名前の通り、松・竹・梅の三種の植物を組み合わせたおめでたい文様ですが、
この一つ一つの植物に対しても、それぞれに謂れがあります。
その謂れは以下の通りです。

松:通年緑の葉を茂らす常盤木と呼ばれ、長寿の象徴
竹:一年を通じて葉・茎と共に常緑を保つ事、その真っ直ぐな姿から高貴なものとされている
梅:冬の寒さに耐え、初春一番に香り高い花をつける縁起のよい花

この松竹梅は、実は日本だけで縁起のよいものではありません。
お隣の国、中国でも「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」とよばれ好まれてきました。

また、植物文様はその植物を見れば季節が分かります。
桜や蒲公英(たんぽぽ)、蓮華ですと春をイメージしますし、
菖蒲や紫陽花、アザミは夏、菊やすすき、桔梗でしたら秋。
椿や梅、橘は冬を連想させる植物です。
そしてそれらに水流や雪、雲や霞などの自然の風物を組み合わせる事も多くあります。

それに加え、植物文様の中でも実のなるもの、瓢箪・葡萄・ザクロなどは
種子が多い事から多産や子孫繁栄の象徴として扱われますし、冬に赤い実を付ける
南天などはそうした謂れと共に「難転=難を転じる」という同音意義の言葉から
縁起の良い植物として知られています。




自然文様


「自然」というものは、花や海川、山や空など形としてあらわされるものや、
景色や天候のように形を限定できないものなど、人の目に様々な形として映ります。
文様では、自然の風物などは比較的形としてはあらわしやすいのですが、
霧やもやなど手に触れにくく目にも分かりづらいものも、文様として
あらわす事があります。
例えば霞。これは地紋や帯・きものの柄として大変多く使われますが、
形のない霞というものを、片仮名の「エ」の形にあらわしたり(エ霞)
雲のように部分的に場を区切ったりする事で(霞取り)文様としています。
また、この自然文様の特徴としては風景として山水や水辺の様子を絵のように
あらわす場合もありますが、流水や雲、雪・波などを表す文様には、デザイン画を
思わせるような大胆なデフォルメが加えられる事が多々あります。

例えば雪輪文様。これは雪印マークでおなじみの雪の結晶にある角のような部分を
丸く落とし、全体を円形に近い形であらわされています。
また流水という捉えどころのないものも、流水紋として存在します。
これは前回ご紹介した琳派文様の中の光琳波や観世水などに代表されます。

そしてもう一つの特徴として、自然の現象や景色は、植物に始めとする
動物や情景の一場面といったものと組み合わせて使われる事が大変多いのです。
その一例を挙げてみます。

茶屋辻文様:武家女性や大奥の女中に好まれた柄で、水辺の風景をあらわす
八橋文様:伊勢物語に由来した柄で、杜若や菖蒲に小川に架かる橋を描いている
花筏:菊や桜などの枝折を筏に乗せて水面を滑る模様




動物文様


動物といって現在の私たちがすぐさま思い浮かべるのは、愛玩用の犬や猫・鳥、
そして動物園で飼育されている動物たちかもしれませんね。
しかし、文様の世界ではこうした実在の動物はもとより、空想上の動物も動物文様と
してあらわされています。
こうした空想上の動物の代表は中国から影響を受けた龍や麒麟、鳳凰などです。
これら空想上の動物に加え、実際に目にすることができる動物や魚・昆虫などを
モチーフにしたものを動物文様といいます。

動物文様に限ったことではないのですが、文様の多くには人々の願いや謂れが
込められたものが大変多いのですが、この動物文様はそれがとくに顕著にあわれて
いるかもしれません。文様の中で、特におめでたい席に相応しい謂れを持つものを
吉祥文様としているのですが、長寿であることでよく知られている鶴亀をはじめ
鳳凰(ほうおう)、鴛鴦(おしどり)などは全て動物をモチーフとしています。

その謂れの一例を以下に挙げてみます。

鶴亀:鶴は千年・亀は万年といわれるように長寿の象徴
鴛鴦:姿の美しさもさることながら、番の仲睦まじさから夫婦和合の象徴
鳳凰:天下泰平を治める名君の世に現れるとされた瑞鳥

この上に挙げた文様は、特に吉祥の意味合いが強いため、婚礼などの留袖の柄に
よく使われます。しかし、動物文様は留袖などの礼装に限らず、小紋や帯の柄にも
多く使われています。
例えば千鳥やウサギ、蝶・鹿などもそうですし、少し珍しいものではこうもりや
魚介類も動物文様の一種です。また昆虫の中ではトンボの柄もよく夏物のきものや
浴衣ではお馴染みです。ちなみにこのトンボ柄。涼やかに水辺を舞う姿は、
女性物の柄として相応しい気がしますが、戦国武将の間でも旗印や陣羽織の柄に
トンボの文様は使われてきました。これはトンボが飛ぶ方向が常に前を向いており、
後ろへ引き返す事をしない事から「勝虫(かちむし)」といわれ好まれてきたのです。
また姫路城の城主、池田輝政の家紋にも揚羽蝶が使われています。蝶といえば、
美しい翅を広げて優雅に舞う姿を想像しますが、この蝶は蛹から蝶へと完全変態をする
生き物で、この蛹から羽化する様子を新しい命の再生として吉祥の意味合いを持つ
ものとされています。(しかしながら地方や時代により吉凶の捉え方は違うそうです)




今回は植物文様・自然文様・動物文様の三種をご紹介いたしました。
ここで、少し不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので補足を。
前回ご紹介しました名物裂文様の中にある鹿をモチーフにした有栖川文様や
正倉院文様の中で触れました樹下鳥獣文様、また荒磯文様、有職文様の向い鶴
(これらはご紹介しておりません)、などは動物をモチーフにした動物文様では
ないの??と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

確かにこれらは動物文様とも言えなくはありません。しかし、これらには
定型の文様のスタイルが存在します。いわばテキスタイルのようなものですね。
それに対して鶴や鹿、鯉などを自由なスタイルで文様に使ったものでは
描かれたり捺染された文様には独自性が加味されます。こうした観点の違いで
それが特定の種類の文様とされたりするのだと思います。
とはいえ、これは宗流の勝手な捉え方ですので、もしかするともっと明確で
分かりやすいものがあるのかもしれませんが^^;




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-12 23:51 | きもの検定について

きもの検定 文様について 古典文様のいろいろ


こんばんは。
ここしばらく…週末のお休みがお勉強とお家のお片付けで
消化されつつあるのが、若干不満な宗流です^^;
しかし、この時期はいたしかたありませんねぇ…。
ぶつぶつ言っても始まりません!
本日もお勉強とまいりましょう^^


さて。
そんなやる気を奮い起そうという時は、自分の好きな分野の
おさらいが一番です。
本日は文様についてのシリーズ第一弾、古典文様のいろいろです。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


文様=模様には、本当に様々な種類のものがあり、
その数たるや恐ろしい数に上ります。
そして、古くから使われている文様には、図柄としての役割だけでなく
その文様一つ一つにちゃんと意味が込められており、
それぞれの場面に相応しい文様を選ぶ事は、その場面、場面で
身につける者の気持ちを、無言のうちに表す事ができます。
今日はそんな文様の中からいくつかの大きなグループに分けたものを
ご紹介してまいりたいと思います^^



正倉院文様


正倉院文様は、奈良時代に建立された東大寺の正倉院に所蔵される
聖武天皇ゆかりの宝物などにあらわされた文様をさします。
これらの宝物は、遠くは西アジアや中国などからシルクロードを経て
日本へと伝来し、国際色豊かな色柄が特徴の一つです。
宝物の中の染織品に至っては、およそ数十万点ともいわれており
現在では損傷の激しいものもありますが、いまもなお当時の色柄を保ち
当時の様子を垣間見る事ができます。
これらの染織品は一般的に「正倉院裂(しょうそういんぎれ)」と呼ばれ
華文・唐草文・唐花などの植物を表したもの、鳳凰・鹿・麒麟などの
動物を表したもの、また動物と人を組み合わせたものなどがあり、
この正倉院文様はその格調の高さから、現在も留袖や袋帯の文様として
好まれてます。

葡萄唐草文(ぶどうからくさもん)
連珠文(れんじゅもん)
狩猟紋(しゅりょうもん)
樹下鳥獣文(じゅかちょうじゅうもん)
宝想華文(ほうそうげもん)       など。





有職文様


有職は平安時代には「有識」の字が充てられていたといいます。
これは博識であり、教養豊かなという意味合いを持っています。
この有職模様は、平安時代の公家階級の装束・調度品・牛車などの
装飾に用いられた伝統的な文様を総称するものです。
有職文様の中でよく知られているものに、小葵や立涌、菱紋や襷紋
などがありますが、これらの多くはもともと中国から伝わったとされ
時を経るに従い、当時の日本人好みにアレンジされたそうです。
また現在でも宮廷行事の衣装などに使用される桐竹鳳凰紋などは
簡素なデザインとはまた違い、天皇家の紋であるとともに社会的に
意味を持つ符号との考え方も存在するそうです。

浮線綾文(ふせんりょうもん)※綾織物の事でもある
窠文(かもん)※中国では水鳥の巣を表す
鸚鵡円文(おうむえんもん)
縦四菱遠文(たてよつびしとおもん)    など。





名物裂文様


茶道に使われる茶器の仕覆(しふく)や掛け軸の表装、袱紗の柄等に
用いられる裂地の事を、名物裂文様と言います。
これらの多くは、江戸時代に日本にもたらされたインド更紗や東南アジア
各国の染織品に強く影響を受けていると言われ、どことなく異国情緒が
感じられる文様です。
この名物裂の特徴の一つとして、利休緞子(りきゅうどんす)や角倉金欄
(すみのくらきんらん)など人物の名前からとられたものが多くあります。
またその由来や柄の名称の後に、その生地の名称がつくものも多くあります。

吉野間道(よしのかんどう)※島原名妓の吉野太夫から
糸屋風通(いとやふうつう)※利休の門人、糸屋宗有から
遠州緞子(えんしゅうどんす)※江戸時代の大名、小堀遠州(小堀 政一)から
有栖川錦(ありすがわにしき)        など。




光琳文様


桃山時代から江戸時代にかけて、本阿弥光悦・俵屋宗達を始祖として
尾形光琳・乾山、酒井抱一らに至る美術系譜を総称して琳派といい
この琳派の作風を持つ文様の事を一般的に光琳文様と言います。
またこれらの文様の特徴として、写実的でありながらもそのフォルムは
計算された簡略化を見せています。

光琳松(こうりんまつ
光琳波(こうりんなみ)
光琳梅(こうりんうめ)          など。




…上に四つの文様のグループを簡単にご説明させていただきましたが
本当に文様の種類はたくさんあります。
できればその一つ一つをゆっくりと時間をかけてご紹介させて頂きたいのですが
何分時間があまりなく、ざっと駆け足でまいりたいと思います。
実はこの文様シリーズ、宗流の唯一得意とする分野ですが、
それに時間を費やしていると、おそらく来年までかかる恐れアリ!
特に上の琳派・光琳文様についてはかなり頑張りそうですが、
それではいけませんので、泣く泣くはしょる事に致します。ザンネン
ですが、あと数回文様のお話は続く予定をしております^^
よろしくお付き合い下さいね。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-12 01:00 | きもの検定について

きもの検定 通過儀礼について


こんばんは。
今週も一週間が終わりました。
明日はお休みだと思うと、前の日の夜は何となく
気分的にほっとする宗流です^^


さて。
前回は年中行事のお話をさせて頂きましたが
今回はその延長で、人生の節目節目で出会う行事、
通過儀礼」のお話です。
少し長いお話となりますので、今日はさくさくとまいりましょう!


人が人として生まれ、その命を全うするまでの期間、
その節目にはそれを祝うための行事がたくさんあります。
そして、そのそれぞれの行事にはその場に相応しい装いもあります。
本日はその中でも子供の行事ときものの関係のお話を中心にお送りいたします。


宮参り


子供が誕生し、最初の通過儀礼が宮参りです。
一般には男児は生後31日目、女児は33日目という地域が多いものの、
現在では約一ヶ月後に行われています。
この時、赤ちゃんには初着を着せ、その上に お祝い着(男児はのしめという)を
着せかけます。
このお祝い着は背縫いをしないで幅いっぱいを身頃に使ったもので
帯のかわりに幅の広い紐が付いています。


※ 子供用の背縫いのない一ツ身の着物を着ると魔が差す、
といわれる事から、子供の着物の背中には「背守り」という背縫いに見せた
縫い目を入れる事があります。また「押絵紋」という花や季節の風物を
モチーフにしたアップリケのようなものを付ける場合もあります。



七五三


毎年11月15日に、三・五・七歳に達した子供に晴れ着を着せ、神社にその成長を
祈願する行事が七五三(地域によっては紐落としという)です。

三歳児の祝いの原型は、平安時代に始まった「髪置き」という儀式に起源を持ちます。
これは男女とも髪を伸ばし始めるという儀式だったと言われています。
現在ではこの三歳の祝いには(女児)、三ツ身の着物に柔らかな生地で作った
兵児帯のようなしごきを締め、その上から被布を着せます。


五歳児の祝いの原型は、平安時代の公家階級で行われていた「着袴(ちゃっこ)」
という儀式から生まれました。これは文字の通り、初めて袴を身につける儀式
と言われています。
五歳児の装い(男児)は、大人のものと同じ五つ紋の羽織袴を身につけます。


七歳地の祝いの原型は、室町時代頃から行われていた「帯解き」と呼ばれる儀式が
起源で、この頃から初めて帯を締める儀式とされています。
七歳児の装い(女児)は被布を付けない四ツ身の長袖の着物姿で、帯解きの由来どおり
子供用の帯を締め、帯下にはしごき、胸元には筥迫(はこせこ)を飾ります。


※ 三ツ身・四ツ身は、身丈の三倍・四倍の布地で身頃を裁つことから
そう呼ばれるようになりました。



十三まいり


十三参りとは数え年で13歳になる男女が虚空蔵菩薩や寺社仏閣にお参りする行事で
18世紀頃から始まったとされています。
この頃の女子の着物は、本裁ちのものを肩揚げし、おはしょりを取って
大人用の帯を締めます。またこの頃の肩揚げした着物を、成人式に着用する
場合もあります。



現在のように、子供が生まれてその子が無事成人する事が当り前では
なかった時代、こうした子供の通過儀礼は特別な意味合いを持っていたようです。
今でこそこうした行事はお祭りのような雰囲気がありますが、
かつては子供の成長を切に願う気持ちが強かったのでしょうね。
現在なら子供が生まれ、その子供が身につける衣服に関しては
着心地が良く、愛らしいものが好まれるのでしょうが、
昔はこどもの初着に麻の葉の柄をよく着せていたそうです。
これは麻の葉が成長が早く、またまっすぐ伸びていく事、
そしてこの柄が魔よけの模様と言われており、親が子供に健やかな
成長を願う事からだそうです。

けれど、子供の健やかな成長を願うのはいつの時代も同じ。
今年もあと二カ月ほどすると、そうした愛情をたくさん受けて元気に笑う
子供たちの姿があちらこちらで見られるのでしょうね^^



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-11 00:33 | きもの検定について

きもの検定 年中行事について



こんばんは。
昨日は台風9号の影響で、豪雨に見舞われた地域もあるようですね。
みなさまのお住まいの地域は大丈夫だったでしょうか?
京都は昨日の朝に強い雨が降ったきりで、
日中はほとんど雨も見られませんでした。

でも、台風が過ぎ去ったせいなのか、今日はとても涼しく
過ごしやすい一日となりました。
雨や台風は時に猛威をふるい、私たちの生活を脅かしますが
気候の中では次の季節を連れてくる、とても大事なものです。
ひと雨ごとに、ひと風ごとに季節は秋へ。
実りの秋は、もうすぐそこなのでしょうか。



さて。
季節のお話から今日は始まりましたが、
本日お伝え致しますお話は、その季節に関するものです。
日本には、毎年特定の時期に行われる伝統的な行事があります。
年間に幾つかそうしたものは見られるのですが、それらを総称して
年中行事といいます。
今日は日本に古くからある年中行事「節句」のお話です。


今日(もう日付も変わりますが)9/9はある節句の日なのですが
この日が何の節句かご存知でしょうか?
本日は重陽の節句です。
日本でいわゆる節句と言われる日は五つあり、これを五節句といいます。

一月七日 人日(じんじつ)の節句
三月三日 上巳(じょうし)の節句
五月五日 端午(たんご)の節句
七月七日 七夕(しちせき)の節句
九月九日 重陽(ちょうよう)の節句  の五つです。


この節句はもともと中国の暦から伝わったもので、
日本の風習や地域性に合わせ、少しずつ変化しながら現在に至っています。
古くは節日(せきちに)といい、朝廷では宴席が設けられていましたが
広く民衆に広まるようになったのは、江戸幕府が公的なものとして
定めてからだと言われています。

この各節句には、それぞれの行事がとり行われ、またその節句には
季節の植物がつきものとなります。
以下にそれぞれの節句をまとめてみましたので、見てまいりましょう。



人日の節句

この日は「七草の節句」とも呼ばれ、古来中国ではこの日七種類の
野菜の入ったとろみのある汁ものを食する風習があり、平安時代にこれが伝わり
日本では七草粥を食し、七草の節句を祝う風習が江戸時代頃に定着しました。

※ 七草→セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ



上巳の節句

三月のこの日の頃は、桃の花の季節というところから、桃の節句ともいわれる。
また三月三日は雛祭りの日として知られるが、この起源は平安時代の両家の子女の
「雛あそび」といわれ、江戸時代には人形遊びと節句が結びついて、行事として
発展しました。



端午の節句

端午の節句は男児の健やかな成長を祝う行事で、尚武の言葉にかけて菖蒲の節句
ともいわれています。


七夕の節句

七夕は織姫・彦星伝説で笹に願い事をかける事でもよく知られていますが
その他に芋の葉の露で墨を摺り、七枚の梶の葉に歌をたむけ、書道の上達を願う
日でもあります。



重陽の節句

陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれており、この頃は
菊の美しい季節でもある事から、菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を
酌み交わして節句を祝ったと言われています。



日本の伝統的な行事は、現在でもその行事自体は残っているものの
その謂れについては、なおざりになっている部分も確かにあります。
ですが、それぞれの節句にはそれが行事となった所以があります。
それら全てを知る事は難しくても、その季節の花や植物であったり
その日に食される食べ物を知る事も、季節を感じる一つではないでしょうか。
節句とは一年の季節を知る行事、そしてその一年の巡りに感謝する日。
古の人々もそんな風に感じていたのではないかしら…宗流はそう思います。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-10 00:08 | きもの検定について

きもの検定 織機について



こんばんは。

この夏、雨が少ないと言われていたのに
台風9号で、大きな豪雨の被害がもたらされた地域の
方もいらっしゃるのですね…。
心よりお見舞い申し上げます。

自然や天災の前では、いかに文明が発達したとはいえ
私たちの生活は脆弱なものなのかもしれませんね。
私たちの心を癒すのも、たくさんのものを奪うのも同じ自然。
その大きさや強さを痛感せずにはいられません。



さて。
本日もお勉強とまいります。
昨日は織の三原則を中心にお伝えいたしましたが、
本日はその織を生む「織機」のお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。


織機と一口に言っても、その種類は様々です。
人の手を主に介するいざり機や高機、動力を介しての力織機など
生産される織物や、その生産性はそれぞれ違いが見られます。
本日はイラストをもとに、「高機」のしくみをご紹介してまいります。

まずは織機のイラストをご覧頂きましょう。



c0163413_23165446.jpg




この織機は高機といい、いざり機(地機)という古式のものから
発達したものだといわれています。
いざり機は織り手が床に座り、機に張る経糸を腰にかけて、
腰の屈伸で糸の張り具合を調節しながら織る織機で、現在も本場結城紬
などはこの機で織られています。
そのいざり機に対し、高機は腰の位置も高くなり、人の身体で調整していた
経糸を動かす作業も、「綜絖」という装置が行います。
これによって経糸の上げ下げが起こり、その間を緯糸が通る事により
生地が織られていくという仕組みです。


では、それぞれの装置の名称と役割を見てみましょう。



1:杼(ひ)

緯糸を経糸の間に通すための道具で、中に管を収納しています。



2:管(くだ)

緯糸を巻く木製の棒で、杼の中にセットされます。



3:千巻(ちまき)

織り上がった生地を巻き取ってゆくローラーのようなものです。



4:綜絖(そうこう)

緯糸が通る杼口を作るため、経糸を上げ下げする装置です。
仕切りのように経糸を通す枠(綜絖枠)に連動しており
機の上部と糸でつなぐもの(糸綜絖)と、細い金属性のもので
つなぐもの(針金綜絖)があります。この綜絖の数は「本」で数え
数が多いほど複雑な模様が織られます。また綜絖枠は「枚」で数えます。



5:千切(ちきり)

経糸となる糸を、織物に必要な本数分準備する「整経」作業の後、
経糸を巻き取る装置です。



6:筬(おさ)

竹や金属の薄い板を櫛の歯のように金等間隔に並べたもので、
経糸が絡まないよう整理するとともの、緯糸を打ち込むために使われます。



7:踏み木(ふみき

綜絖を糸でつなぎ、足で踏んで経糸を上げ下げして杼口を開く装置です。




基本的に織機は、1、経糸を一定の張力で固定する
2、経糸をグループ分けして上下に動かし、杼口を作る
3、杼口に緯いとを通す 4、緯糸を打ち込む
といった仕組みが必要となってきます。現在織物のさかんな京都の西陣でも
このような高機が使われていますが、この高機が使われる以前は、
大きな二階建ての機に一人は織り子として下に座り、二階の部分にもう一人の
人間が経糸を引き上げる役目としていたのです。
これは織り手と綜絖の役目をする、二人ひと組の息があっていなければ
ならないため、歌を歌いながら綜絖の上げ下げや杼を通したと言います。

それは、きっと重労働だったのでしょうね。
でも、機織りのギッコン、バッタンという音と共に、
機織りの歌が聞こえる風景を想像すると、どこかのどかなものにも
思えてくる宗流です。



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-08 23:17 | きもの検定について

きもの検定 織り組織について



こんばんは。
つい週末に京都は39.9℃という、九月では異常な
暑さを記録したと思ったら、週明けからはどうも
空模様が怪しくなってきました。
台風で雨風が強くなってきた地方もあるようですね。
みなさまのお住まいの地域は大丈夫でしょうか?
全国的に大きな被害が出ませんように…。


さて、昨日はお休みしてしまいましたが
本日もお勉強にまいりましょう!
今回は「織り」についてのお話です。
よろしくお付き合いくださいね^^



糸が生地となる「織物」は、縦に並ぶ「経糸(たていと)」と、
その経糸に交差する「緯糸(よこいと)」から構成されています。
この経糸と緯糸の組み合わせにより、生地には様々な織り模様が表れます。
その中でも平織・綾織・繻子織という織り方は、織物の基本となるもので
「三原組織」とよばれています。

以下に簡単な図で各織物の構成を表してみました。
黒色の線は経糸を、水色の線は緯糸で構成していますが
少し解り辛い点はご容赦下さいね^^;




●平織


c0163413_23304271.jpg



織物のもっとも基本的な組織です。
経緯が一本ずつ交互に組み合わされており、
織り上がった生地は表裏が同じ状態になります。
丈夫で多様な織物に利用され、一般的にかたく
平滑なものが織られます。
この平織を利用する生地には、羽二重・縮緬・
御召・紬・浴衣地などがあります。





●綾織(斜紋織)


c0163413_23311580.jpg



経糸または緯糸が浮き、織面に斜めに綾線が
走っている織物です。
別の名称で斜紋織ともよばれています。
平織に較べると柔らかで伸びやすく光沢があり
ますが、耐久性はやや劣ります。
この綾織は能装束に使われる唐織や、綿ネル・
デニムなどがあります。





●繻子織(朱子織)


c0163413_23314444.jpg



経糸・緯糸が五本以上から構成される織物です。
経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸
または緯糸のみが表に表れているように見える
のが特徴で、平織や綾織りに比べると表面が滑らか
で光沢がありますが、強度は劣ります。
この繻子織には綸子や緞子などがあり、サテン
などもその一つです。






以上の三つが織の三原組織とよばれるものです。
それに捩り織という織り方を加えた四種類が織り組織の基本と
言われています。


※ 捩り織は隣接した経糸を互いに捩り合わせた織物で、
からみ織ともいいます。経糸が捩れる間を緯糸を通して織られるため
生地には隙間ができます。通気性の良い夏物の紗・絽・羅などに
この織り方が使われます。




…ところで、これらの生地を織る時に経糸を上げ下げして
緯糸を通す作業の事を綜絖(そうこう)といい、また織機に
備え付けられた装置そのものも同じ呼び方をします。
ですが、この綜絖と織機についてはまた次回のお話で詳しく
ご紹介してまいりたいと思います^^



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-07 23:33 | きもの検定について

きもの検定 絹について その3



こんばんは。

本日はかなりのハイペースで頑張ってます!(←自己満足)
今回は「絹について」糸のお話をお伝えしておりますが
それも今回で第三回目。このシリーズも一旦最終回です!
今回はその総決算(?)、絹糸の色々をご紹介致します。

糸はその製法、また用途によって様々な特徴と名称を得ます。
なかなか糸の状態でお目にかかる機会はないのですが、
まずはその名称と特徴をご覧頂きたいと思います。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^





真綿 …  繭を重層で煮てセリシンを溶かし、広げて乾燥させたもの。
      そのまま防寒用の綿入れなどに使ったり、引き伸ばして
      真綿糸や手紬糸などにします。


繭糸 …  繭を構成する糸、または繭からほどいた糸。シルクの本体であるフィブロイン
      とセリシンで出来ています。



真綿糸 … 真綿を引き伸ばして糸にしたもの。ふっくらと軽く暖かな糸になり、紬織物
      によく使われます。



生糸 …  数個の繭から糸を引きだして抱合し、1本の糸状にしたもの。
      ほとんど撚りはなく、未精錬でゴワゴワと固い手触りです。
      生糸を使った織物を「後練織物」とよび、代表的なものに
      縮緬・羽二重などがあります。


座繰り糸 … 手動式、足踏み式などの伝統的な座繰り機で作った生糸。
      繭を煮て糸をほどきやすくしてから座繰り機を使い、生糸を
      一本ずつ引き出します。手作業のため、機械操糸(製糸)と
      比べて、糸には微妙な太細があり、生地は独特の味わいにな
      ります。代表的なものに牛首紬があります。


手紬糸 … 真綿から手工的に糸を引きだしたもの。唾液をつけながら引き
      出し、撚りをかけずに糸を作ります。糸には節や太細があり、
      空気を多く含むため、織物は独特の風合いがあり暖かいのが特徴。
      現在手紬糸を使うのは本場結城紬のみ。


手紡ぎ糸 … 真綿から手紡機で引き出した糸。節があり、撚りのかかった糸
      になります。手作業なので技術が必要。塩沢紬の糸が代表的。
      手紡機で紡いだ綿糸も同名称。


練糸 …  生糸を精錬してセリシンを取り除き、フィブロインを主体とした糸。
      絹本来の光沢と手触りがあり、精錬の程度によって固さが異なります。
      この糸を使用した織物は「先練織物」とよび、代表的なものには御召
      があります。


節糸 …  ところどころに太細の節のある糸。織物になると布面に表れる節が
      独特の表情になります。太めでやや固いものが多く、紬織物に多様されます。



絹紡糸 … 生糸にできないくず繭や製糸くずを原料とし、紡績機で紡いだ絹糸の事。



玉糸 …  2匹の蚕が作った玉繭(同功繭)から作られた糸。玉繭は糸の出る口が2つ
      あり、片方の繭糸を切りながら作るため、一方の繭糸が絡みついて、節の
      ある太めの生糸になります。織物では牛首紬が代表的。



野蚕糸 … 山野に自生する野生の繭から取った糸。蚕には柞蚕(タッサー)、天蚕(山繭)
      ムガ蚕など。太くて粗硬なものが多いが味わいがあり、絹織物になります。



天蚕糸 … 山繭糸ともいい、野蚕の一種で天蚕の繭から取った糸。繭は黄緑色。稀少で
      「絹のダイヤモンド」と呼ばれ珍重されています。糸は緑がかって独特のツヤが
      あります。


柞蚕糸 … 野蚕の一種でタッサーシルクともいいます。柞蚕繭から操糸した黄褐色の生糸。
      中国やインドが主産地。粗硬で野趣のある絹織物になります。



撚り糸 … 撚りをかけた糸。一般に生糸はほとんど無撚りですが、糸を強くしたり織物の
      味を出すために撚りをかけて使います。撚りをかける回転数によって少ないもの
      から甘撚糸・並撚糸・強撚糸などがあり、撚りをかける方向によってS撚り、
      Z撚りがあります。



片撚り糸 …撚りのない糸に一方向の撚りをかけた糸の事。(S撚り・Z撚りのどちらか)



諸糸 …  同方向の撚りをかけた片撚り糸を2本以上まとめ、さらに逆の撚りをかけた糸。



壁糸 …  撚り糸の一種。細い糸に太い糸が螺旋状に巻き付いて見える糸。強く下撚りを
      かけた太めの糸に、撚りのない糸を引きそろえ下撚りと反対方向に撚りをかけた
      もの。夏物に多く使われ、壁縮緬・壁御召など。


駒糸 …  上撚と下撚が非常に強い諸糸の事。駒撚糸ともいう。撚りの効果で織物の表面
      がなめらかで肌触りがよく、駒絽・駒御召など夏物によく使われます。



                 (きもの文化検定問題集・おさらいコラムより)





宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-06 00:56 | きもの検定について

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