宗流がお届けする小さな豆知識。
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カテゴリ:刺繍について( 4 )

糸で描く絵 3


こんばんは。
もう今年もおよそ3/1が過ぎてしまいましたが
まだ今年に入って二度目の「宗流まめ知識」…
「まめ知識」の「まめ」は、まめに頑張るの「まめ」ではなく
「小さい知識」のつもりだったのですが、
それすらも危ういと最近気付いた宗流です^^;

さて。
ちょっとした言い訳はさらっと流し、今日は和装関係のお話から
少し横道を逸れ、「宗流美術館」と勝手に命名しスタートします!
今日は画像がたくさんありますので、宜しければどうぞゆっくりと
ご覧下さいませ!


先日、宗流は仕事のつながりで、とある刺繍屋さんへ行ってきました。
宗流の働く会社も刺繍の仕事がメインなので、いわば同業さんなのですが、
私の会社とは少し趣が異なるため、とても興味深くお話を聞いてきました。
今日はそこで見つけた美術品のご紹介です。


まずは作品をご覧ください。



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一気にUPしましたが、写真が下手で分かりづらいかもしれませんね^^;
実はこの作品群は、全て手刺繍で表現されています。

色を変え、縫い方を変え、一針一針生地に色を挿していく作業は
とてつもなく気の長い作業だったと思います。
絵具を混ぜ合わせ、思う色を作る作業も大変なものですが、
一本一本色の違う糸を細かな針目で組み合わせ、
色を刷いていく事は、技術はもとより色に関しての
センスが問われる作業です。

これらの絵は、全て熟練の職人さんたちが制作されたのですが、
実はこれらは数十年前に製作されたものが多く、
残念な事にその作者さんや職人さん方は
もう既にお亡くなりになられた方も多いそうです。
どんな伝統産業にも共通して言われる事ですが、
こうした技術を要する仕事の多くは、一朝一夕で身につくものではないため
後継者を育成する事が大きな課題となっています。
これからの伝統産業が、後年にも同じかたちで続くのか、
そんな不安を抱える職人さんはきっと数多くいらっしゃるのだと思います。

また、オートメーション化に伴い、伝統産業の活路が狭まるといった
事もあるかと思います。
それは刺繍に関しても同じことが言えるかもしれません。
性能の良いミシンが開発されたり、海外で安価に大量生産が可能になる一方
人の手を介した国内生産のものに対しては、価格の設定や量産の面、
そうした諸々の課題が重責となってきます。
機械化された安定した生産性、一定水準の技術には大きな功績があると思います。
ですが、人の手が作り出す芸術や技術も途絶えていいものではない気がします。

機械の利便性は素晴らしいものです。
それが生む功績というものも確かにあります。
ですが、人の手が生む柔軟性や感性は残念ながら機械に乏しいものだと思います。
何しろ、コンピュータ化された機械が自分で題材を決め、
図案を引き、作品を生み出す訳ではありませんもの。
人が何かに心動かされ、表現したいと思い制作されたものには
機械にはない作り手の体温が宿ります。
人はだからこそ、そうした人の感性や技術に対し感動を覚え
心惹かれるのかな、宗流はそんな風に思います。

どちらかのもの一方のみが発展を見るのでなく
そのどちらともに日が射し、それぞれが人に求められ続ける世の中…
そうした時代がいつか当たり前になってくれればと願います。




西刺繍さん

〒600-8034
京都市下京区河原町松原下ル



宗流

和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-04-16 00:32 | 刺繍について

糸で描く絵 2


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こんにちは。
本日は三連休の最終日。お出かけの方も多いでしょうか?
今日も良い一日となりますように。

さて、今日は連休と同時に、成人式ですね。
新成人の方、ご家族の方、おめでとうございます!
成人式の模様がTVで放映されると、
何となく華やいだ雰囲気が伝わり、見ていてもいいものです。


本日の画像は「刺繍」の一部分です。
この画像は刺繍半襟の一部ですが、
和装小物だけに限らず、婦人・紳士小物ともに
刺繍は誰もがよく目にされるものではないかと思います。

女性はともかく、男性は…?
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、
普段、男性の身につけていらっしゃるジャケットの裏をご覧になってみて下さい。
お名前の「ネーム」が入っていませんか?これも刺繍なのです。
また、靴下のサイドについたブランドロゴ、あれもそうです。


この刺繍の技法、これは日本だけに限らず
世界各国で古くから行われていた技法の一つです。
現代では最も多く目にするのが、フランス刺繍と呼ばれるものかもしれません。
手芸が好きで、ご自身でもなさっているという方も多いと思います。

さて、この刺繍。フランスと日本と国は違えど、実は共通点も多いのです。
もちろん下絵を描いたり針と糸で刺す箇所はそうなのですが
例えば、日本刺繍での平縫い=サテンステッチ
相良縫い=フレンチナッツステッチ、まつり縫い=アウトラインステッチ
など、名称は変わっても、縫いは同じだったりします。
現代では、このフランス刺繍の名称の方が耳慣れているかもしれませんね。


そして、刺繍といえば忘れてならないのが中国です。
中国での刺繍の文化は漢の時代とても古く、日本の刺繍はこの中国より
奈良時代頃に伝わったといわれています。
また、刺繍の三大刺繍というものも(相良・スワトウ・蘇州)
もちろん中国で生まれ、現在でも大変多くの刺繍製品が
日本の和装の中でも流通しているのです。


一方日本の刺繍はどうでしょうか?
日本では平安時代、刺繍をするための職人をかかえる「織部司」
(おりべのつかさ)という部門が置かれたのが発展の始まりとされています。

また室町時代には、豊臣秀吉が都(京都)を整備した際に、
現在の堀川御池にある二条城近くの竹屋町に
刺繍を専門に扱う職人を集めました。
そしてこの竹屋町で制作された刺繍を「竹屋町縫い」と呼ぶようになりました。

日本の刺繍は、江戸時代に「宮崎友禅斉」が友禅染を生むまでは
鹿の子絞りや摺り箔などの加工とともに発展を続けましたが
徐々にその隆盛も友禅染に移り代わって行ったと言われています。

その後、以前は手加工だった刺繍も現在ではミシン加工が主となり、
高度な技法のものも大量生産が可能となりました。
私たちがいま現在、手頃な価格で刺繍の加工製品を入手できるのも
文明の発達の産物なのです。


ですが…
この文明の発達も、今後時を経ていくにつれ現在の形も工程も
また大きく変わっていくのかもしれません。
そして、いまの形を目にしている自分自身が、
その変化を目にすることがあるのかな?と楽しみにもちょっと寂しくも感じます。


宗流


和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame | 2009-01-12 11:56 | 刺繍について

10個で1つ


こんにちは。
本日の京都は晴れたり曇ったり、雨が降ったりと
忙しいお天気の午前中でした。

明日からいよいよ三連休で
京都にお越しの方もおられるかもしれませんね。
明日からは晴れますように…。


さて、本日のお話は昨日に引き続き「刺繍」のお話です。
昨日は糸でしたが、今日はミシンです。

画像は刺繍メーカーさんにある、刺繍を縫うためのミシンです。
ミシンといっても一台づつが独立したものではなく
10台がつながったもので、一度に同じものが10枚できます。

これは家庭用の電動ミシンではなく、動力ミシンです。
また、このミシンを動かしているのはコンピューター。
10台に一枚、フロッピーディスクが搭載されていて
その中に図案を縫うための指示が収められています。

一針一針手で縫う事を思えば、とても画期的なのですが
いまやCDやDVDなど、容量や情報量が大きいものに比べると
まだまだ和装関係はアナログの時代が長かったせいかな、
と思わずにいられません。
それでも、フロッピーが使用される以前は、
紙テープ状のものに、ミシンへの指示を示す穴があいたもの
(織機の紋紙と同じ原理)が使われていました。
そこから思えばかなりの発展です。

またミシンはコンピュータで制御はされていますが、
糸や生地の具合によっては、ミシン糸が切れてしまったり、
針が折れてしまう事があります。
そんな時、頼りになるのはやはり人の手。
自働といってもちゃんとそばにはミシンを見る職人さんがいて
切れた糸をつないだり、生地によっては縫い損じの補修、
またミシンの動きの調整など
しっかりとサポートがされているのです。


このように、刺繍ひとつにも、昨日のお話の配色を担当する人や、
ミシンを操る人、そしてそのもっと以前のお仕事として
下絵を描く人、コンピューターに指令を与えるもとを作る人など
たくさんの人の手が加わり、よりよいものをお使いいただけるようにと、
日々努力をなさっているのです。


宗流


和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame | 2008-11-21 13:52 | 刺繍について

糸で描く絵


こんにちは。
ここ数日、京都はぐんと気温が下がり
急に冷え込むようになりました。
まさに京都の底冷えです。
そして、景気も底冷え…らしいです。


さて、本日は前回の色に続くお話で
「刺繍糸」についてのお話です。

刺繍は呉服関係の中でも、友禅や絞り・金彩などと同じように
着物や和装小物においてとても多く使われている技法です。
また、ハンカチや洋服などにもよく使われているので
みなさまも目にされる機会が多いのではないかと思います。
その中でも今回はミシンで縫う刺繍の糸についてお話します。


本日の画像はその刺繍の糸です。
糸の太さは、家庭用のミシン糸程度とそれほど変わりません。
素材は化繊糸や絹など様々です。
ただ、家庭用のミシンは布と布をはぎ合わせたり
ステッチをかけたりが主な縫い方なのに対し、
刺繍用のミシンは、この細い糸で線だけでなく、
面を糸で埋めて色を生地の上に置いていくため
縫い合わせるミシン糸に比べ、大変たくさんの糸の分量が必要です。

また糸の分量だけでなく、色の数も途方もなくたくさんあります。
絵の具のように混ぜ合わせて新たに色を作るのではなく
一つの色で一本の糸のため、多くの色を使う刺繍には
必然的にたくさんの色糸が必要となってきます。
そのため、刺繍を生業にされるメーカーさんには
膨大な色の糸がストックされているのです。


刺繍の絵に対して、色糸の置き方を考える仕事を「配色」といいます。
この配色は大変なお仕事です。
何しろ膨大な色の中から、色構成を考えるのはセンスが問われます。
また、花の刺繍一つとってみても、そこを単色で縫い上げるだけなら
色を考えるだけで済みますが、花芯の部分や花びらの色の濃淡、
全体の立体感等を考慮しながら色を決めてくため、
頭も目もフル回転しながら作業が行われます。
いってみれば、色のプロデューサー兼職人さんかもしれません。


細い糸が織りなす色や絵は、自由に描ける友禅とは違い
表現にも制約が出てきます。
ですが平面的な絵とは違い、独特の立体感があります。
そしてそれが刺繍の一番の魅力ともいえる気がします。

もし美しい刺繍に出会われた際、その製品のバックグラウンドに
そうした人々が携わっています事をほんの少し思い出して頂ければ
和装の関係に携わる者としてとても幸せに思います。

宗流



和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame | 2008-11-20 17:34 | 刺繍について

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