宗流がお届けする小さな豆知識。
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きもの検定 きもの用語のいろいろ2




前回のきものに関する言葉の続きです。
今回は一つのものに対して、別の言い回しがあるものを
ご紹介させて頂きたいと思います。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


きものや帯、着付けなどに関するもの


●袵先:剣先

(おくみさき・けんさき)
どちらもきものを構成する部分の名称で、袵の先端の部分で
身頃と衿の境にある尖った部分の事です。


●共衿:上衿:掛け衿

どれもきものの衿の名称で、衿の汚れを防ぐために予めきものと
同じ生地で地衿の上に掛ける衿の事です。


●八掛:裾回し

きものの裾や袖口・衿先裏に使われる、薄手の裏地の事です。


●袂:袖形

(たもと・そでなり)
きものの袖口の下の方にある、袋状の部分をさします。


●筒袖:削ぎ袖

筒型の袖で、通常のきものの袖のような袂のない袖をさします。


●裾よけ:蹴出し

(すそよけ・けだし)
和服の下に着用する下着です。腰巻の上から重ねて着ける、足首までの
長さの布をさします。


●通し裏:総裏

肩から裾まで胴接ぎをせずに、同じ布を通して使う裏地の裁ち方で、
男物のきものや丹前・花嫁衣装の打掛などに使われています。


●伊達衿:重ね衿

きものの衿元に重ねる、重ね着をしているように見せる別衿の事です。


●昼夜帯:くじら帯:腹合わせ帯

表と裏に別柄の生地を使って(柄物+黒繻子)仕立てた帯の事をさします。


●付け帯:軽装帯

どちらも帯の腹部分と、形を作ったお太鼓の部分を別々に仕立て、
簡単に着装できるようにされた帯の事です。


●鏡仕立て:開き仕立て

名古屋帯に用いる仕立て方で、裏から見ると帯芯がそのまま見えるのですが
前にくる帯幅を自由に変えられるのが利点の仕立て方です。


●袋名古屋帯:八寸帯:八寸名古屋帯:かがり帯

「袋」という名前がありますが、袋状ではなく帯芯を入れずに端をかがって
仕立てる方法です。綴れ織・紬・博多織などの地厚の生地に向きます。


●のめり下駄:神戸下駄:芝翫下駄:千両下駄

(こうべげた:しかんげた:せんりょうげた)
下駄の形をさすもので、後の歯はまっすぐなのに対し、前の歯を
爪先に向かって斜めに削ったものです。



・染織などに関するもの



●斜子織:魚子織:並子織

(ななこおり)←漢字は違いますが読みは同じで、同じものをさします。
太い糸を使って織られる、ざっくりとした厚地の生地です。
経糸・緯糸を二本並べて織られる生地で帯などに使われます。


●玉糸:節糸

二匹の蚕が一つの繭をつくる(玉繭:同功繭)、玉繭から取られた糸です。
節が多くあり、紬織物を織るのに使用されます。


●注染中形:折付中形:手拭い中形:阪中

(ちゅうせんちゅうがた:おりつけちゅうがた:てぬぐいちゅうがた:さかちゅう)
注染によって染められた中形の事で、浴衣・手拭いなどに使われます。


●筒描き:筒引き

防染用の糊を渋紙で作った筒の中にいれて、先から糊を絞りだして生地に
置いていく作業です。


●練:精錬

絹のセリシンを取り除くだけでなく、毛・綿・麻などの繊維に含まれる
不純物を取り除く作業を総称してさします。


●縹色:花色(花田色

赤みを帯びた深い青色で、藍染めより得られます。
昔は藍ではなく、露草の花から染めたためこの名前がのこっています。


●意匠雛型:模様雛型:小袖雛型:雛型本

(いしょうひながた:もようひながた:こそでひながた:ひながたぼん)
雛型とは小袖の模様を記したもので、肉筆のものや木版画のものがあり、
やく180種が残されています。


●紺屋:染屋:こうかき:こんかき

染物屋の事をさしますが、古くは紅染の紅屋・紫染の紫師と藍染めの職人を
区別するための生まれた言葉ですが、のちに染物屋の総称となりました。


●相良繍:玉繍:こぶ繍:いぼ繍

(さがらぬい:たまぬい:こぶぬい:いぼぬい)
日本刺繍の基本技法のひとつで、生地の上に糸の玉をつくりながら刺繍する
方法です。




…今回は結構ありましたね。ホントはもっとちゃんと探せば、
かなりたくさんのものがあると思いますが、思いつきませんでした^^;
この辺りでご容赦下さいね。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-19 13:56 | きもの検定について

きもの検定 きもの用語のいろいろ




こんにちは。
今日も昨日に引き続き、とてもいいお天気です♪
みなさまよい連休をお過ごしでしょうか^^
宗流はこの連休、普段は仕事でお勉強に時間を取るのが難しいので
しっかりお勉強したいと思います!
ガンバルゾ!!


さて。本日は少し趣向を凝らして(?)きものにまつわる言葉の
同音異義語、また一つのものに対し同じ意味をあらわす言葉をご紹介致します。
きものの世界には、曖昧とまでは言えませんが、そうした言葉が
たくさん存在します。
その中のほんの一部ではありますが、少しでも多くご紹介できればと
思っておりますので、どうぞよろしくお付き合い下さいね^^



まずは同音意義語です。


●熨斗目:のしめ

これは漢字も同じなのですが、一つは赤ちゃんの祝い着、
もう一つは男性の裃や素襖の下に着用した小袖の意匠です。


●熨斗:のし(湯のし

熨斗の方は束ね熨斗など、熨斗模様に使う言葉です。
もう一つは「のし」というより、湯気で反物のしわをのばす「湯のし」や
「手のし」に使う言葉です。


●扱:しごき:扱き

これは三つほどあります。
一つは七五三などで子供の衣装に使われる「しごき帯」や兵児帯の別名。
またおはしょりを取る際につかわれた「抱え帯」の事をさします。
二つ目は型友禅で色を置く時に使われる「扱き糊」または東京小紋などで
ヘラで染めつける作業の事。
三つ目は和裁で縫い目をならすために指で扱く事をさします。


●合着:間着

(あいぎ)合着は冬物と夏物の間の時期に着るものの総称です→単衣
間着は打掛と下着の間に着るきもので、小袖をさします。


●厚板:厚板

(あついた)どちらも同じ漢字を用いますが、一つは厚板織ともいい、
緯糸に生糸・経糸に練糸を用い、地紋を織り出した帯地用の生地をいいます。
もう一つは能装束の衣装の一つの厚地の織物のきものです。


●色直し:色直し

一つは結婚・出産・葬儀の際に白無垢のきものを着用し、それが済むと色もののきもの
に着替える古くからの風習をさしました。
もう一つは現代の披露宴でも見られる色直しですが、以前は結婚式の当日、式服を
脱いで別のきものに着替えた事をそう呼びました。


●浮線綾:浮線綾

(ふせんりょう)一つは有職文様などに見られる、「浮線綾藤の丸」などの
丸い模様の事をさします。
もう一つは古代紋織物の一つで、文様を織り出す緯糸や経糸を地組織から浮かせて
織る織物をいいます。


●衣紋:衣紋

(えもん)本来「衣紋」とは衣紋道といい着付けの事をさしていました。
もう一つは、きものの衿の後部分で、着付けの際に首の後ろを開ける事を
「衣紋を抜く」や「抜き衣紋」といいます。


●お引き摺り:お引き摺り

江戸中期以降、大正時代初期まで上流階級の女性は、おはしょりを取らず室内では
きものの裾を引き摺っており、その着方をさしました。
もう一つは、だらしのない女性に対しての言葉です。


●腰巻:腰巻

一つは室町時代から江戸時代にかけ、武家の女性が小袖の上の打掛を肩脱ぎにし、
腰にから下に巻きつける着方をさします。
もう一つは、現代も使われている女性の肌着の一種をさします。


●石持:石持

「こくもち」と読み、一つは紋を染める場所を白く丸く染め抜いたものをさします。
もう一つは、同じ形の無地の丸い家紋です。



●二陪織物:二重織物

(ふたえおりもの)
平安時代の貴族の装束などに使われた、重めの縫取織物です。
十二単の唐衣や上着などに使われます。



同音、または同じ漢字をあてるものは結構ありますね。
本日は、一つのものに同じ意味をあらわす言葉も一緒にご紹介しようと思ってましたが
案外たくさんありましたので、残りはまた別にご紹介致します。



次回へ続く





宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-19 12:14 | きもの検定について

きもの検定 小袖意匠のいろいろ




こんばんは。
本日二度目のお勉強です^^

前回まででさらっと仕立ての分野のお話を終え、
今回はまた別のお話にまいります。
ホントは仕立てには男物や羽織・コートなど様々なものがあるのですが、
何分先を急ぎますので、また時間のある際にお伝え致します^^;

さて。
本日は前置きもそこそこに本題にまいります!
と、いうのも今回は画像がたくさんありますので、
そちらをご覧頂きながら、ご説明をさせて頂きます。
今回は「小袖意匠のいろいろ」です。


小袖は平安時代の「大袖」に対して生まれた言葉ですが、
袖が小さいからというだけの意味ではありません。
袖口が小さいものという意味があり、この時代には下着の分類でした。
それが時代を経て表着へと変化してゆき、様々な意匠を見るようになりました。
小袖に意匠を凝らすようになったのは、友禅染が発明された事が大きく影響し
江戸時代には現在のテキスタイルブックのような「雛型本」が作成され
多くの流行を生むようになりました。
ここでは室町時代から江戸時代までの幾つかの意匠のあらわし方を
ご紹介させて頂きます。

なお、今回も自作の画像のため前回に引き続きビミョーな箇所もありますが
ひよこを見るような心優しい気持ちで、そうした個所は見逃してやって下さいね^^;
(ピンク地はきものの地色、赤は柄つけをあらわしています)


c0163413_20282158.jpg



まずは肩裾模様です。
室町時代から桃山時代にかけて流行した様式です。
名前の通り、肩と裾に色柄を配しており、能装束にも多用されています。

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こちらは段替わりです。
これも室町時代から桃山時代によく見られる様式です。
こちらも能装束に多く見られる様式で、大きな市松柄がベースとなった風情です。

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こちらは熨斗目模様です。
これは室町時代に生まれた様式で、元来武士が大紋・素襖・裃の下に着る小袖に
見られる柄つけで、後に女性用の小袖にも使われるようになりました。

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こちらは片身替わりです。
これも桃山時代に見られる様式で、能装束にもよく見られます。
背縫いを境に異なる色柄を配すのが特徴です。

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こちらは慶長模様です。
江戸時代直前の慶長の末から江戸時代初期の寛永時代に見られる様式です。
全体の地を染分けや地紋を施し、それを埋め尽くすように模様づけされています。

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こちらは首抜き模様です。
江戸時代初期に見られる様式で、首周りから肩・胸にかけて丸く大きな模様が
つけられているのが特徴です。

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こちらは寛文模様です。
江戸の寛文期に見られる様式で、右肩から円弧を描くように左裾にかけての
動きのある柄つけが特徴です。

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こちらは元禄模様です。
江戸元禄時代には特定の柄つけといった形式はありませんが、友禅染が開発された
事で、大きな面積に絵画を描くような自由な模様付けが生まれました。

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こちらは総模様です。
慶長小袖と同じく、全体を色柄で埋め尽くした様式です。

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こちらは裾模様です。
江戸時代中期以降になると、腰から下に模様をもつ腰模様が生まれ、
やがて裾だけに模様を配す裾模様が生まれました。これは打ち掛けなどの
裾を長く引く着装法が武家女性などに定着した事から見られるようになりました。

c0163413_20325640.jpg


こちらは江戸褄です。
裾模様のバリエーションの一つといわれ、遊里の女性や町人女性などに流行しました。
左右対称の柄つけが特徴で、現代の黒留袖の原型ともいわれています。

c0163413_20332088.jpg


こちらは島原褄です。
江戸時代後期、京都の遊里・島原で流行した模様付けです。
褄にそって胸・裾まで色柄が広がるのが特徴です。

c0163413_2034193.jpg


こちらは裏模様です。
他の模様付けが表地に施されるのに対し、この裏模様は裏地の裾に模様を配しています。
これは「裏勝り」といわれ、裾を長く引き摺る時に、褄から裾にかけての裏がよく見える
事から、裏地に贅を凝らした様式です。





宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-18 20:36 | きもの検定について

きもの検定 きものの仕立てについて3




こんばんは。
連休初日の京都は、日中はお出かけ日和のいいお天気だったのですが、
少し夏の名残りを思わせるような、暑い陽射しが降り注いでいました。
でも、空気はさらりとしていて、爽やかな初秋の気配を
感じる一日でした^^


さて。本日も宗流の苦手な「仕立て」のお話です^^;
仕立ての分野も奥が広いのですが、試験までもうあまり時間が
ありませんので、さらっとおさらいを済ませてしまいましょう!
あっ…けして苦手なので早く済ませたい訳ではありません。(←大汗)


本日はまず、前回の裁断の図から各パーツを裁ち、印つけをした
図からご覧頂きましょう。
今回も自作のビミョーな図ですが、前回に引き続き温かい目で
ご覧頂けますようお願いいたします^^;


c0163413_189110.jpg



図は衿部分を除いた本体部分の裁断図です。
図中に色を変えて、点や線が描いてありますが、これはその部分を
合わせるという意味でお考え下さい。

A:剣先
B:袖付け
C:繰越
D:身八つ口



印つけには「へら」という三味線のバチを小型にして、先を丸くしたような
器具を使い、針で縫う部分に印をつけます。
このへらづけには関西式・関東式があり、縫う前に全ての標をし終えておく
先べら(関西式)と、縫いながら次々にべらを当たって行く後べら(関東式)
があります。


ところで、きものにはこうした各パーツがあることをお伝えしておりますが、
この寸法を割り出すのも、仕立てでは大切な作業です。
次はその各寸法の基本的な割り出し方をご紹介いたします。


身丈:基本的には自分の身長が身丈になります。ただ、ふくよかな体格の場合は
   肩の厚みがありますので、数センチ多めに取ります。


袖丈:基準は身長の1/3程ですが、年齢により若い人はやや長めに、年配の人は
   やや短めに取ります。


身八つ口:13~15cmほどですが、ふくよかな体型の場合はやや多めに取ります。


裄丈:首の付け根から手首の出っ張った骨までの長さですが、身体の厚みによって
   考慮します。


袖幅:裄丈のおよそ1/2ですが、それよりやや広めに取ります。


前幅:前身頃の裾の幅ですが、体型により変わります。


後幅:後身頃の裾の幅ですが、体型により変わります。


衿下:褄幅ともいい、身長の1/2が基準になります。


衿肩あき:首の周りの約1/4が基準になります。


繰越:体型により変わりますが、ふくよかな体型の場合はやや多めに取ります。


袵幅:約15cmほどを基準に、ふくよかな体型の場合はやや多めに取ります。


合褄幅:体型により変わりますが、ふくよかな体型の場合はやや多めに取ります。



最近は既成のきもの、プレタきものも多く出回っており、
ワンピースを購入する感覚で気軽にきものを買うことができますが、
やはり既成のものはそのサイズに近い人全ての体型をカバーする事は難しいものです。
たとえば私自身だと、身丈や身幅はSサイズで大丈夫なのですが、
裄丈はMサイズに近いのです。また最近は羨ましいほどのモデル体型の方も多く、
身丈や裄丈はLサイズでも、身幅などはSサイズといった方もいらっしゃいます。
着付け方である程度それも解消できるのですが、でもやはり体型に合ったきものは
しわも寄らず、着姿も美しいものです。

ご自身の寸法を全て把握されていると、仕立ての際に細かな希望を伝える事ができますが
そうでなくても、ちゃんと仕立ての際に寸法を測り、体型に合わせて
仕立てをしてもらえますので、自分の身体にぴったりとそうきものができあがります。
やはりそれなりにお値段もかかりますが、自分の身に合ったものの
着心地の良さはとてもいいものです^^




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-18 18:11 | きもの検定について

きもの検定 きものの仕立てについて2



きものの仕立1の続きです。



前回はきものの各部分の名称をご覧頂きましたが
今回は反物の状態から、各部分を裁断する場面をご覧頂きます。


ちなみに…今回使用する図は、実際の反物の幅と長さの比率が
全く合っておりません。
というのも、きものに使われる着尺の幅は約36~38cm、
長さは約12.5mほどありますので
裁断図をあらわすとしたら、恐ろしく細長いものになります^^;
ですから、今回はイメージ画となりますが、どうぞご容赦下さいね。
みなさまの温かい心の目でご覧いただけますと、
もしかしたら着尺に見えてくる…かもしれません。



まずはきものの表地です。

c0163413_094853.jpg


きものは全部で8つのパーツで構成されています。
1:袖(1) 2:袖(2) 3:身頃(1) 4:身頃(2)
5:袵(1) 6:袵(2) 7:衿  8:掛け衿


これらのパーツをご覧頂くと、袖・身頃・袵のそれぞれが
二枚ずつあります。これはそれぞれが左右に同じもので構成されているためです。

また部分部分に色のついたラインが引いてあるのは、
それがどの部分の縫いか、またはどの位置かを示すものです。


まず袖の中央にあるグレーのライン。
これは袖山をあらわしています。ちょうどこの位置で折ると、
腕を覆う筒型の袖となります。
次に4つの赤いライン。
これは袖山から袖の底までの袖丈の長さをあらわしています。 


次に身頃についている青いライン。
これは脇縫いを示しています。例えば左の3の身頃ですと、青いラインが
途切れているのは、そこから肩の位置で前を覆う身頃と後ろを覆う身頃に 
なり、それぞれの身頃の脇を縫う位置を示しているのです。
緑のラインは背縫いです。という事は、向って左の身頃は左側が後ろ身頃、
向って右側の身頃は、右側が後ろ身頃となりますね。
続いて、紫の短い線は衿肩あきの位置です。
そして両身頃にわたってついている黄色の線は袵つけの位置です。


袵にまいります。
袵にも黄色の線がありますね。この部分が前身頃について、
きものの完成系で見ると、前身頃の打ち合わせ部分になります。

衿のピンク色の線が衿つけとなります。
ちなみに、図の中で「衿」となっているのが地衿で、短い方のパーツの
掛け衿は地衿の上にかかる衿です。




…基本的に平面図できものの構成をあらわすのは無理があるのですが、
引き続き温かな心の目で見守ってやって下さいね^^;
次は冬物のきものにつける裏地「八掛」の裁断図です。

c0163413_010257.jpg



八掛は本来八つのパーツに分けられていたため、この名前がついたのですが
現在では「袖口」に使うパーツが加わって、全部で10枚となります。
この八掛に使用する生地は一般的に、幅約37cm、長さ約4mと、着尺に比べると
およそ1/3程度の長さとなっています。



1:裾(1) 2:裾(2) 3:裾(3) 4:裾(4)
5:裏袵(1) 6:裏袵(2) 7:袖口(1) 8:袖口(2)
9:衿先(1) 10衿先(2)


八掛は裾が4枚ありますね。これは右前身頃の裏、左前身頃の裏、
右後ろ身頃の裏、左後ろ身頃の裏の計四枚使われます。
またそれぞれのパーツが各二枚ずつあるのも同じく左右に使われるためです。

そして、各パーツの一部分が赤く染まっているかと思いますが、
この八掛は「ぼかし八掛」をイメージしたものです。
八掛は洋服で言うと、スカートなどの裏地にあたります。
しかし、洋服の裏地は表地の色に近いものか、またはその濃淡のものが
使われるのに対し、きものの裏地は同系色とは限りません。
それは袖口などからわざと裏地の色を見せ、表生地のアクセントとする
事があるからです。

表地の濃いものに、濃い色の八掛を使う場合はいいのですが、
表地が薄色の場合、濃い色の八掛を使用すると表地から透けてしまいます。
しかし、裏地はどうしても表から少し見えますので、見える部分だけに
色を挿して、残りの表地の下になる大部分には表地にひびかない色に
する必要があります。
ですが、それぞれのパーツに切り分けてから一部分を染めるのは大変ですので
ぼかしの八掛は予め必要な部分に色が挿し分けられています。
それがこの図の赤い色なのです。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-18 00:13 | きもの検定について

きもの検定 きものの仕立てについて1




こんばんは。
今週のお仕事も終わり、ほっと一息の宗流です^^
この週末は、明日から三連休♪の方も多くいらっしゃるのでしょうね。
宗流も連休は連休なのですが、明日はきもの検定のセミナーで
午後からお勉強です!
とはいえ、普段は仕事があるのでまとめてお勉強できる週末は
貴重な時間。来月の17日は試験の日です。
なかなかお勉強も進みませんが、頑張らないと~!!


さて。
前回まで宗流の大好きな文様のお話をさせて頂いておりましたが
好きな事ばかりおさらいしていてはいけません。
本日からは、全国の染織品に続く宗流の苦手分野、
きものに関する仕立や、和裁関連のお話に入ります。
宗流、洋裁をやっていたのですが、和裁のお話はまるで駄目です^^;
この際ですので、しっかりお勉強したいと思います!



まずは女性用のきものの各部分の名称を見てまいりましょう。
(…急ごしらえの絵ですので、細かな所はご容赦下さい)


きものはほとんどの部分が直線で裁たれており、また仕立合わせた
各パーツを解くと再び一枚の反物状になります。
このパーツはまた後ほどご紹介致しますが、まずはきものとして
仕立てられたものの各部分につけられた名称をご紹介致します。



c0163413_2211872.jpg



あ→袖

い→身頃(前身頃と後ろ身頃があります)

う→袵(おくみ

え→掛け衿(共衿)

お→地衿



1:裄丈

きものの背中心から肩先を通り、袖口までをさします。
この裄は肩幅に袖幅を加えた長さとなり、採寸の際には首の付け根から
手首の骨が出っ張った部分までを測ります。


2:袖口

袖の手先を通す部分。平安装束に見られる大袖に対し、現在のきものの
ような衣服を小袖と称したのは、袖の大きさではなく袖口の小さなもの
という意味合いで「小袖」と呼ばれるようになりました。


3:袖口下

袖口の下から袖の底までの長さをさします。


4:振り八つ口

身頃が袖についた部分(袖付け)の下にある、袖の縫いとめない部分。


5:身八つ口

身頃の脇のあきの部分。袖付けどまりから脇縫いどまりまでの部分をさします。


6:剣先

袵の一番先の尖った部分で、袵と衿の接合部分。袵先ともいいます。


7:袵下がり

衿肩あきの部分から、剣先までの部分をさします。


8:身丈

画像では位置が違うのですが、身丈は身頃を長さをさし、
本来は後ろから見て、衿つけ線から背縫い線を通って裾までの長さを
いいます。

9:合褄幅

衿下と衿先の端の合った部分で袵の幅。


10:立て褄

衿先から褄先までの部分をさし、竪褄ともいいます。


11:衿先

地衿の一番さきをさします。衿は地衿の上に共布で掛け衿をかけます。


12:褄先

「褄」は本来「端」の意味をもっており、袵裾の端の部分を褄先といいます。


13:丸み

袖口の下の部分で、角に少し丸みをつけた部分で、現在ではほぼ同じ角度で
丸みをつけますが、この丸みを深くとる事で袖の名称が変わります。




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-17 22:15 | きもの検定について

きもの検定 文様について5



こんばんは。
本日も京都は昨日に引き続き、涼しく過ごしやすい一日でした。
今日は半袖で出勤していたのですが、行き帰りの空気が
ひんやりとして心地いい事!
空調も必要ないくらいの自然な心地よさを感じるのは
一年の中でもそう多くないような気がします。
中でも私は春の空気より、初秋の爽やかな空気が大好きです^^



さて。
今日も文様のお話が続きます^^
本日は「割付文様」のお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね!


割付文様…きものや文様が身近でないと、少し聞き慣れない言葉かもしれません。
この文様は、絵画的な吉祥文様などの類とは少し異なり、デザイン的な
要素の強い文様です。パターンとしては三角形や四角形、円形などの模様が
前後左右に繰り返された文様をさします。

一見すると単調にも見えるかもしれませんが、その端的な様子の中にも
計算された間の美しさや、古の日本人の美意識の高さが垣間見え、
長い歴史を経てもなお色褪せない魅力を私たちに見せてくれます。
今日はそうした割付文様の中から、デザインとしての文様に加え
特別な意味合いを持つ幾つかの文様をご紹介させて頂きます。




麻の葉文 … 正六角形を基調にした文様で、六個の三角形を組み合わせ、
      それを四方につなげたものです。
      この麻の葉は名前の通り、麻の葉っぱをあらわしたものなのですが、
      麻の葉はとても生育が早い事から、昔は赤ちゃんの初着の柄に使われ
      ました。また江戸時代後期に歌舞伎役者の嵐璃寛が「妹背門松」の
      娘役を演じた際の衣装の柄であったため、この柄は別名「お染形」とも
      呼ばれています。



石畳文 … 色の違う正方形を交互に上下左右に並べた文様で、平安時代には
     「霰(あられ)」とよばれ、有職文様の一つとされていました。
      その後、江戸時代になると上方の歌舞伎役者・佐野川市松が舞台衣装
      にこの柄の袴を愛用していたことから、市松文様と呼ばれるように
      なりました。



鱗文 … 色柄の違う正三角形または二等辺三角形を、各頂点を合わせて連続して
     配置した文様で、その三角形の並ぶ様子から魚や蛇などの鱗に見立て、
     この鱗文という名称がつけられました。またこの鱗文は厄除けの印とも
     知られており、女性の厄年(33歳)にはこの柄の襦袢を身につけ、厄を   
     逃れる風習があります。



亀甲文 … 六角形を上下左右に組み合わせた文様で、その形が亀の甲羅の模様を
      イメージさせることから亀甲文とよばれるようになりました。
      この亀甲文はとてもバリエーションが多く、亀甲の中に花を描いた
      「花菱亀甲」、亀甲を三つつなげた形の「毘沙門亀甲」など、亀甲に他の
      模様を組み合わせたものが多く見られます。



 … 直線の太さや色を変え、平行に組み合わされた単純明解な文様ですが
    縦じまだけでなく、横じまや格子状に組み合わされたものも縞とよびます。
    古くは南方諸島で織られていた木綿の生地が日本に伝わった際、その生地に
    織り出されたこの模様は「島」の字をあてられていました。それが江戸時代
    頃になって「縞」という字があてられるようになりました。
    バリエーションとして太い縞の左右に細縞をもつ「子持ち縞」、太めの縞を
    濃い色から薄色へとグラデーションをつけて並べたものを鰹の体色に見立てた
    「鰹縞」、様々な太さや色の縞を並行に組み合わせた「矢鱈縞」など、その直線
    の組み合わせが生む名称はとても多く存在します。



格子 … 縦と横の方向に線が組み合わされたものを格子とよび、もともとはこれを
     格子縞とよんでいました。この格子柄の特徴として、子持ち縞と同じく
     太い線の横に細い線を合わせて格子に組んだものを子持ち格子と呼ぶように、
     その形状から連想されるものも多いのですが、歌舞伎役者などの演者がその
     名称の由来となるものが大変多く存在します。歌舞伎の演目「勧進帳」で
     弁慶の身につけている濃淡の太い線を格子に組んだもの「弁慶縞」や、
     中村勘三郎が身に着けていた格子「中村格子」、三代目尾上菊五郎の
     「菊五郎格子」や市川団十郎が一谷武者画土産で岡部六弥太に扮した際の
     裃の柄に使われた「六弥太格子」などがあります。



七宝 … 同じ大きさの円を、円周の1/4ずつ重ねた文様で、有職文様では輪違いとも
     よばれています。この七宝はもともと名前の通り、七つの宝物を示す仏教用語で
     金・銀・瑠璃・破璃(はり)・珊瑚・瑪瑙(めのう)・蝦蛄(しゃこ貝)の
     七つをあらわしています。



 … 菱は四本の斜線に囲まれた形で、この菱をつなぐと菱繋ぎや斜め格子、襷文など
    ともよばれます。この菱も有職文様の一つで、菱型の中に花を描いた「花菱」
    羽を広げた鶴が向かい合わせて菱形をかたどった「向い鶴菱」、菱形を四つ
    組み合わせた「四つ菱」、菱形の上に小さな菱形をのせてつないだものが、松の
    表皮に似ているところからついた「松皮菱」など、バリエーションも豊富です。




…今日は少し多めの文様をご紹介できたでしょうか^^
ただ、文章で説明させて頂くだけでは、なかなかイメージがつかみづらいかも
しれませんね。ゴメンナサイ

割付文様は、先にも述べましたがとても簡素な線や面の組み合わせの文様です。
しかし「この簡素な」という点は簡単そうに見えて、とても難しいものかもしれません。
過飾に過ぎないというのは、逆に言えば必要なものを最小限に使うという事です。
ごまかしがきかない、ともいえるかもしれませんね。
Simple is the best だからこそ長く見ても飽きず、応用も効く。
こうしたデザインにおいてだけでなく、色々な面において簡素というものは
基本の概念として持ち続けたい、そう思う宗流です^^




宗流     
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by sou-ryu_mame | 2010-09-16 23:27 | きもの検定について

きもの検定 文様について4


こんばんは。
本日の京都は朝から気候も涼しく、過ごしやすい一日でした。
そして夕方からは雨。今週は少しずつ天候も下り坂となりそうです。
これで少し足踏みしていた秋の歩みも、ゆっくりと近づいて
くるのかもしれませんね^^




さて。
今夜もお勉強とまいりましょう!
本日は文様の中でも、とりわけ華やかさと強い謂れをもつ
吉祥文様のご紹介です。
この吉祥文様もとても多くの種類があり、その全てをご紹介する事は
できませんが、できるだけ多くの種類をご紹介したいと思います。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


以前、植物文様のお話の回で「松竹梅」のご紹介をさせて頂いたのですが
この松竹梅などは、特に吉祥文様の代表とも言えるかもしれません。
またこの回のお話で、松竹梅の日本のおめでたい柄という事と同時に
中国では「歳寒の三友」と言われるというお話をお伝えさせていただきました。

実は吉祥文様という文様は、こうした中国から伝わったものと
日本特有のものと、大きく分けて二つに分ける事ができます。
そして、その意味合いについては若干の差異が生じるものがあります。
例えば、先の「松竹梅」は日本にとっては吉祥文様の代表と言えますが
中国の観点では吉祥の意味合いよりは、清廉の象徴という意味合いが強いのです。
したがって、文様の多くが中国から伝わったものであっても
日本の文様と中国の文様では、その意味合いとモチーフに違いがあると
いう事を先にお伝えして、お話を進めてまいりたいと思います。



吉祥文様とはその名前の通り、吉祥を意味するものなのですが
そこには長寿や子孫繁栄、夫婦和合など様々な慶事への祈りが
込められています。
良く知られたものの中では、長寿の鶴亀などがありますね。
これはもともと中国から伝わったものなのですが、日本でも同じ意味合いで
吉祥の文様としてよく使われています。
実際は定かではありませんが、鶴は千年・亀は万年と申しますものね^^

では、まずは中国から伝わった吉祥文様の幾つかを挙げてみたいと思います。



鳳凰 … 吉祥の兆しをあらわす瑞鳥であると同時に、本来「鳳」は雄、
   「凰」は雌と言われ番(つがい)で描かれる事も多く、婚礼用の衣装にも多用される。


 … 神獣と位置づけられ、水を司る生き物とも言われる。


 … 中国では雲は万物を生むものとされ、神や精霊が宿る神聖なものとされている。


 … 登竜門伝説(鯉の滝登り)でも知られる鯉は、滝を登り切ると龍に変化し
  天へ昇ると言われており、立身出世の象徴とされている。


蝙蝠 … こうもりは中国では漢字の「蝙蝠」が「福」の音につながることから
   吉祥の文様として好まれている。



何となく、中国から伝わった文様はその謂れ自体が大らかな気がしませんか?
広大な大陸気風がそう思わせるのでしょうかね^^
では、次に日本で生まれた吉祥文様を見てみましょう。


貝桶 … 平安貴族の子女の遊びの「貝合わせ」で使う美しい絵柄を描いた
   蛤の貝を入れる容器。この貝合わせは対になった二枚同士しか貝殻が合わないため
   貝合わせの文様は夫婦和合の象徴といわれる。また貝桶自体も吉祥文様。



 … 右近の橘・左近の桜という言葉でも知られる橘は日本生まれの吉祥文様で、
  長寿を招き子宝に恵まれるとの謂れがある。



王朝貴族の調度品 … 貴族の邸にしつらえられた御簾や御所車なども日本では
  吉祥文様として使われる。こうした調度品の類は、謂れを重視するというよりは
  王朝風の雅やかな風情が、華やかなイメージを持つ婚礼衣装などに似つかわしく、
  モチーフの美しさそのものに吉祥文様の雰囲気が重ね合わされたのではないかと言われる。



この他にも、前回ご紹介した「熨斗」や「檜扇」も日本生まれの吉祥文様と
言われています。
今回もあまりたくさんはご紹介できなかったのですが、吉祥文様という概念は
お祝い事を祝う気持ちや、幸せを願う気持ちから生まれたものです。
この吉祥文様は、自分自身に対してという事ももちろんあるのでしょうが、
相手の慶事を願う場においてこそ多様されるのも、そうした気持ちの
表れなのです。
ですから、特に人生において幸せの門出でもある婚礼の際などには、
相手の幸せを願う意味合いを文様に込め、礼装で敬意をはらうという観点から
衣服を正して出席に臨んだのが始まりなのかもしれませんね。

なお、日本生まれの吉祥文様の持つ特徴の一つとして、先に述べた
雅やかな風情を持つ王朝風のものが、吉祥文様とされた所以として、
平安時代中期~後期の国風文化の発達があるのだとされています。
それまで中国の文化が色濃く文化に影響していたものが、独自の国風文化が
花開くことにより、そうした貴族の生活に対しての憧憬の念が吉祥文様として
好まれるようになったのではないかといわれています。


とはいえ…実際にその当時の内情に通じていないので分からないのですが、
でも、優雅で豊かな暮らしぶりというものに憧れを抱くというのも
何となく分かるような気がしますね。
贅沢が幸せの基準ではないものの、気持ちがゆったりとしておっとりと毎日を
過ごせるという事は、ある意味幸せと言える気がする宗流です^^



宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-15 23:57 | きもの検定について

きもの検定 文様について3




こんばんは。
本日の京都は気温も相変わらず30℃ほどあったのですが、
真夏日や猛暑日でないだけで、何となくとても涼しい気すら覚えます。
もしかしたら、今年の暑さで体感温度がマヒしちゃってるのかも
しれませんね^^;
こんな時期は体調を崩しやすいものです。みなさまもどうぞお気をつけ下さいね。


さて。
本日も文様のお話シリーズです。
今日は私たちの生活に最も身近な「器物文様」のお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^


器物というのは、私たちが生活の中で手にしたり、実際に使用したりする
ありとあらゆる「もの」に対しての総称です。
しかしながら、文様のモチーフとして使われる「器物」は今現在
私たちが日常的に使う事のないものも多く存在します。
本日はそうした日常的になじみ深いもの、そうでないものの
両方を例を挙げながら、ご紹介してまいりたいと思います。



まずは、現在も日常的に馴染みのあるものからまいりましょう。



扇(末広):
きものを着用する際には、欠かせないものの一つかもしれませんね。
また最近では洋服の際にも持てるようなデザインのものも百貨店など
ではよく見かけるようになりました。
扇をモチーフにしたものには、扇文・扇面など扇そのものの形をあらわすもの、
そして扇の骨に張る紙=地紙や、薄い檜材で作られた檜扇(衵扇・あこめおうぎ)
また流水に扇子を流した様をあらわす扇流しなど、幾つもの文様があります。
これらには美しい花柄などがあしらわれ、訪問着などに華やかな雰囲気を
添えています。



団扇:
夏の夕涼みなどに欠かせない団扇は、日本的な風情を感じさせるものですが
もとは中国から伝わったものとされており、中国では老子の弟子で
八仙の一人・漢鍾離(かんしょうり)の持ち物として知られています。
団扇をモチーフにしたものには、円形や相撲の行司さんが持つ軍配のようなもの、
また四角に近い形のものなどバリエーションも豊富で、季節の風物詩といった
イメージも手伝い、朝顔などの夏の花や流水といった夏を感じるものと
一緒に描かれたり、幾つもの団扇を描いた「散らし」といった様子で
あらわされる事の多い文様です。




本(紙製品):
少し意外な気もしないでもありませんが、本も文様にあらわされています。
しかし、これは現在のような製本された冊子ではなく、芳名録で使用されるような
和綴じの冊子で、冊子文(そうしもん)といわれています。
また紙を使った文様には、短冊・色紙・巻紙(巻子)・結び文などがあります。
これらも季節の美しい花々や流水や山河などと共に描かれますが、多くの場合は
一つではなく、幾つかの違う柄で彩られたものが散らしてある事が多いようです。



熨斗:
「熨斗」も普段何気なく目にしているものなのですが、中でも一番身近なものでは
ご祝儀などを入れる「熨斗袋」かもしれませんね。
熨斗は本来、乾燥させた鮑の身を薄く伸ばしたもの(のしあわび)を祝儀に添える事から
端を発したのですが、現在は袋の端にその名残を示すにとどまっています。
この熨斗を束ねた文様を束ね熨斗といい、吉祥文様の一つとして留袖などによく使われます。
また少し形状が異なり、檀紙という紙で花を包んだ文様を花熨斗といいます。
この花熨斗は室町時代頃、七夕の日に禁裏(御所)へ贈る習わしがあったそうです。
また、ここでお話すると少しややこしいのですが、「熨斗目」という言葉があります。
この熨斗目、よく熨斗と混同される事が多いのですが、実は別のものなのです。
これは本来、男性用のきものでよく見られた「段替わり」の模様の事です。
そしてもう一つ。赤ちゃんのお宮参りの時に着せかける、男児用の祝い着も「のしめ」と
呼ばれています。



楽器:
この文様も、今現在も存在するものなのですが、一般にいう西洋の楽器ではありません。
いわゆる雅楽や能楽に使用される和楽器や琵琶・琴・三味線などの楽器をさします。
これも多くの種類があり、鼓・笙(しょう)・篳篥(しちりき)や龍笛(りゅうてき)
などの笛・琵琶・琴などがよく描かれています。
また少し面白いところでは、琴の弦を支えて音の高低を調節するもの「琴柱(ことじ)」
といったものや、三味線の撥(ばち)などの楽器の一部分が文様になったものもあります。



…私たちに馴染みのあるものは他にも嫌というほどあるのですが、
こればかり挙げているときりがないので、この先は少し今の生活では
あまり目にする機会がないものもご紹介してまいりましょう^^;




尽くし:
これはおめでたい器物文様の代表格ともいえるものかもしれませんね。
この宝尽くしは、もともと中国の仏教用語「雑八宝」というものからきたのですが、
室町時代頃に日本に伝わり、少しアレンジが加えられて今の宝尽くしとなりました。
謂れによると、八つとは限らないとの事ですが、
以下にはよくあらわされる代表的なものを挙げてみました。

打ち出の小槌 … 振れば願いが叶うとされた小槌
丁字 … 香辛料で使うクローブ。昔は香辛料の稀少性が尊ばれる
宝鑰 … (ほうやく)宝の蔵を開ける鍵のこと
隠れ蓑 … 天狗が持つと言われる姿を隠すことのできる蓑
隠れ笠 … 隠れ蓑と同じ力をもつ笠
分銅 … 金や銀の重さをはかる金属の重り
方勝 … (ほうしょう)菱形をした首飾り
金嚢 … (きんのう)お金やお守りを入れる袋
宝珠 … 望みのものを出す不思議な珠
宝巻 … (ほうかん)ありがたい経典の巻き物
筒守り … 宝巻を入れるいれもの


たぶん、どれもこれもきっと有難いものなのだとは思いますが…
あまりに馴染みがなさすぎて、イメージがお伝えできない気がする宗流です^^;

しかし、器物文様はさすがに色々な「もの」をあらわすだけあって
ほんの一部しかご紹介できませんでしたね。
この器物文様はまたいつか時間のある時にでもご紹介できればと思っています。
次回はこれまた種類の多い吉祥文様をご紹介したいと思います!




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-14 23:25 | きもの検定について

きもの検定 文様について2


こんばんは。
本日も順調に(?)気温が上がり、もれなく残暑の厳しい京都でした。
明日からは雨になるようで、少し気温も下がるかと期待しておりますが
どうでしょうかね~???


さて。
本日も前回に引き続き、文様のお話をお送り致します。
お勉強は何にしても苦手な宗流ですが、自分の好きな分野は
お勉強もお勉強と感じず、ひたすら楽しいような気がします^^
きもの検定も、自分の好きな分野だったらいいのに…
と、甘い夢を見る宗流です^^;



さてさて。
前回は正倉院文様・有職文様・名物裂文様・琳派文様の四つのグループについて
お話をさせて頂きましたが、本日はまた新たなグループのお話です。
どうぞよろしくお付き合い下さいね。




植物文様


文様の中には、植物をモチーフとしたものがとても多く見られます。
花開く様子や蕾、結実した実り、葉や植物そのもの、そして違う植物を
組み合わせた文様と、多種多様な様をあらわしています。
特に日本は春夏秋冬の季節がはっきりとした気候のため、四季折々の
植物の文様が私たちの目を楽しませてくれます。
日本における植物をモチーフとした文様で有名なものに「松竹梅」が
あります。きっと誰しも一度はこの名前を耳にされた事がおありだと思います。
名前の通り、松・竹・梅の三種の植物を組み合わせたおめでたい文様ですが、
この一つ一つの植物に対しても、それぞれに謂れがあります。
その謂れは以下の通りです。

松:通年緑の葉を茂らす常盤木と呼ばれ、長寿の象徴
竹:一年を通じて葉・茎と共に常緑を保つ事、その真っ直ぐな姿から高貴なものとされている
梅:冬の寒さに耐え、初春一番に香り高い花をつける縁起のよい花

この松竹梅は、実は日本だけで縁起のよいものではありません。
お隣の国、中国でも「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」とよばれ好まれてきました。

また、植物文様はその植物を見れば季節が分かります。
桜や蒲公英(たんぽぽ)、蓮華ですと春をイメージしますし、
菖蒲や紫陽花、アザミは夏、菊やすすき、桔梗でしたら秋。
椿や梅、橘は冬を連想させる植物です。
そしてそれらに水流や雪、雲や霞などの自然の風物を組み合わせる事も多くあります。

それに加え、植物文様の中でも実のなるもの、瓢箪・葡萄・ザクロなどは
種子が多い事から多産や子孫繁栄の象徴として扱われますし、冬に赤い実を付ける
南天などはそうした謂れと共に「難転=難を転じる」という同音意義の言葉から
縁起の良い植物として知られています。




自然文様


「自然」というものは、花や海川、山や空など形としてあらわされるものや、
景色や天候のように形を限定できないものなど、人の目に様々な形として映ります。
文様では、自然の風物などは比較的形としてはあらわしやすいのですが、
霧やもやなど手に触れにくく目にも分かりづらいものも、文様として
あらわす事があります。
例えば霞。これは地紋や帯・きものの柄として大変多く使われますが、
形のない霞というものを、片仮名の「エ」の形にあらわしたり(エ霞)
雲のように部分的に場を区切ったりする事で(霞取り)文様としています。
また、この自然文様の特徴としては風景として山水や水辺の様子を絵のように
あらわす場合もありますが、流水や雲、雪・波などを表す文様には、デザイン画を
思わせるような大胆なデフォルメが加えられる事が多々あります。

例えば雪輪文様。これは雪印マークでおなじみの雪の結晶にある角のような部分を
丸く落とし、全体を円形に近い形であらわされています。
また流水という捉えどころのないものも、流水紋として存在します。
これは前回ご紹介した琳派文様の中の光琳波や観世水などに代表されます。

そしてもう一つの特徴として、自然の現象や景色は、植物に始めとする
動物や情景の一場面といったものと組み合わせて使われる事が大変多いのです。
その一例を挙げてみます。

茶屋辻文様:武家女性や大奥の女中に好まれた柄で、水辺の風景をあらわす
八橋文様:伊勢物語に由来した柄で、杜若や菖蒲に小川に架かる橋を描いている
花筏:菊や桜などの枝折を筏に乗せて水面を滑る模様




動物文様


動物といって現在の私たちがすぐさま思い浮かべるのは、愛玩用の犬や猫・鳥、
そして動物園で飼育されている動物たちかもしれませんね。
しかし、文様の世界ではこうした実在の動物はもとより、空想上の動物も動物文様と
してあらわされています。
こうした空想上の動物の代表は中国から影響を受けた龍や麒麟、鳳凰などです。
これら空想上の動物に加え、実際に目にすることができる動物や魚・昆虫などを
モチーフにしたものを動物文様といいます。

動物文様に限ったことではないのですが、文様の多くには人々の願いや謂れが
込められたものが大変多いのですが、この動物文様はそれがとくに顕著にあわれて
いるかもしれません。文様の中で、特におめでたい席に相応しい謂れを持つものを
吉祥文様としているのですが、長寿であることでよく知られている鶴亀をはじめ
鳳凰(ほうおう)、鴛鴦(おしどり)などは全て動物をモチーフとしています。

その謂れの一例を以下に挙げてみます。

鶴亀:鶴は千年・亀は万年といわれるように長寿の象徴
鴛鴦:姿の美しさもさることながら、番の仲睦まじさから夫婦和合の象徴
鳳凰:天下泰平を治める名君の世に現れるとされた瑞鳥

この上に挙げた文様は、特に吉祥の意味合いが強いため、婚礼などの留袖の柄に
よく使われます。しかし、動物文様は留袖などの礼装に限らず、小紋や帯の柄にも
多く使われています。
例えば千鳥やウサギ、蝶・鹿などもそうですし、少し珍しいものではこうもりや
魚介類も動物文様の一種です。また昆虫の中ではトンボの柄もよく夏物のきものや
浴衣ではお馴染みです。ちなみにこのトンボ柄。涼やかに水辺を舞う姿は、
女性物の柄として相応しい気がしますが、戦国武将の間でも旗印や陣羽織の柄に
トンボの文様は使われてきました。これはトンボが飛ぶ方向が常に前を向いており、
後ろへ引き返す事をしない事から「勝虫(かちむし)」といわれ好まれてきたのです。
また姫路城の城主、池田輝政の家紋にも揚羽蝶が使われています。蝶といえば、
美しい翅を広げて優雅に舞う姿を想像しますが、この蝶は蛹から蝶へと完全変態をする
生き物で、この蛹から羽化する様子を新しい命の再生として吉祥の意味合いを持つ
ものとされています。(しかしながら地方や時代により吉凶の捉え方は違うそうです)




今回は植物文様・自然文様・動物文様の三種をご紹介いたしました。
ここで、少し不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんので補足を。
前回ご紹介しました名物裂文様の中にある鹿をモチーフにした有栖川文様や
正倉院文様の中で触れました樹下鳥獣文様、また荒磯文様、有職文様の向い鶴
(これらはご紹介しておりません)、などは動物をモチーフにした動物文様では
ないの??と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

確かにこれらは動物文様とも言えなくはありません。しかし、これらには
定型の文様のスタイルが存在します。いわばテキスタイルのようなものですね。
それに対して鶴や鹿、鯉などを自由なスタイルで文様に使ったものでは
描かれたり捺染された文様には独自性が加味されます。こうした観点の違いで
それが特定の種類の文様とされたりするのだと思います。
とはいえ、これは宗流の勝手な捉え方ですので、もしかするともっと明確で
分かりやすいものがあるのかもしれませんが^^;




宗流
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by sou-ryu_mame | 2010-09-12 23:51 | きもの検定について

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