千年前の恋物語
こんにちは。
そろそろ街もお正月模様が抜け始め、
いよいよ本格的に冬の日常が戻ってきたような気配です。
ちょっと油断をすると、お正月の間なまっていた体が
調子を崩してしまいそうで怖い季節です。
お風邪など召されませんように…。
さて、本日は昨日の「色のお話」から再び逆戻り、
「文様のお話」です。
今日はその中でも源氏物語を主題にした
「文学文様・文学意匠」のお話です。
もう昨年となってしまいましたが、昨年はある記念の年だったのですが、
何の記念年かみなさまご存知でしょうか?
平安時代の女流作家・紫式部によって「源氏物語」が執筆された、
源氏物語・千年紀の年です。
文学作品としての認知度も人気も非常に高いこの「源氏物語」ですが
じつは、着物の意匠としても大変馴染みの深い物語なのです。
着物の意匠の中には、文学から主題をとるものが少なくありません。
八橋の意匠で有名な「伊勢物語」や前出の「源氏物語」は
古くより多くの意匠が残され、現在でも人気の高い意匠の一つです。
当時の雅やかな風情は、着物の意匠としては好適だったのでしょうね。
さて、この「源氏物語」ですが、数々の恋の浮名を流した美形の主人公、
「光源氏」の生涯と、その後の源氏の子孫たちの恋模様を描いた
絢爛豪華な歴史恋絵巻なのですが、
着物の意匠として使用される際は、光源氏の美しい容貌ではなく、
姫君の着物や王朝の建築や風景なども含め、
各場面のハイライトともいえる情景やそれにまつわるモチーフを
源氏物語の意匠として描かれます。
例えば幔幕と楽太鼓、鳥兜のモチーフでは「紅葉賀」
御簾と縁側に猫を配したモチーフは「若菜上」など、
それぞれの巻に登場するモチーフから
その意匠が「源氏物語」である事を暗に伝えるような手法がとられています。
…しかし、千年も経てなお支持される「源氏物語」とは
どうしてこれほど女性の心を強く掴むのでしょうね?
光源氏の美しさや、雅やかな平安王朝の様子も
文字に表される中では、個人の創造力に頼る部分が大きく
きっと形に表した瞬間、個人差が出るものかもしれません。
けれど、夕顔のような佳人薄命的な人生や
花散里のように、容姿より内実に優れた女性というような
登場人物の女性たちの像というものは、
女性であれば共感や関心をひくのかもしれません。
それに…
いつの時代であっても女性は美男子と、
人の恋模様に興味を抱くものなのかもしれませんね。
和装小物 宗流
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by sou-ryu_mame
| 2009-01-08 17:11
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