きもの検定 全国の染織品 北信越地方(新潟・長野)
こんばんは。
前回は全国の染織品シリーズの北海道~東北地方を
お伝えいたしました。
今回は北信越地方の染織品をご紹介いたします^^
8:新潟県 十日町絣(とおかまちかすり)
十日町明石縮(とおかまちあかしちぢみ)
小千谷紬(おぢやつむぎ)
小千谷縮(おぢやちぢみ)
越後上布(えちごじょうふ)
塩沢紬(しおざわつむぎ)
本塩沢(ほんしおざわ)
五泉駒絽・羽二重(ごせんこまろ・はぶたえ)
十日町友禅(とおかまちゆうぜん)
十日町絣は、新潟県十日町周辺で織られる先染めの平絹織物です。
この十日町絣の条件を満たすものは、1、先染めの平織である事。
2、経緯糸ともに絣糸を用いる事。3、絣糸を手作業で絣柄を
織り出す事。4、絣糸の染織は手くびりか擦り込みによる事。
などの厳しい基準が設けられています。
十日町明石縮は新潟県十日町で織られる絹織物です。
新潟県で明石の名前がつく由来として、兵庫県の明石市にルーツを持ち、
経糸に練糸を、緯糸に強撚糸を用いて織った平織の生地を
湯の中でもんで縮特有のしぼを生みます。
この十日町明石縮は、伝統的工芸品に指定されています。
小千谷紬は新潟県小千谷市で織られている絹織物で、伝統的工芸品に
指定されています。原料に玉糸と真綿の手紬糸を使用し、縞や絣柄、
無地紬などが織られており、この絣柄は緯糸のみで模様をあらわす
緯総絣(よこそうかすり)という技術が用いられています。
小千谷縮は新潟県小千谷市で織られている麻の縮織りで、
緯糸に強撚糸を使い、織面に「しぼ」を出した麻縮です。
国の重要無形文化財に指定されているのですが
重要無形文化財に指定されている小千谷縮は苧麻の手績み糸を
地機で織り上げるのに対し、紡績した麻のラミー糸を用いた小千谷縮は
伝統的工芸品に指定されています。
越後上布は新潟県南魚沼市で織られる夏用の平織の麻織物です。
重要無形文化財に指定されている越後上布は、苧麻の手績み糸に
手くびりで絣柄をつけ、地機で織るものに限られています。
また白地の上布を雪の上に晒してオゾンで漂白する作業は
雪晒しと呼ばれています。
塩沢紬は新潟県塩沢地方で織られる絹織物で、伝統的工芸品に指定されています。
塩沢紬は経糸に生糸か玉糸、緯糸に真綿の手紬糸を用い手織されます。
この織物は細かな十字絣や亀甲絣が特徴で、色遣いも控え目な
藍・黒・白等が基調となっており、男性用の着尺としても人気があります。
本塩沢は別名塩沢御召とも呼ばれ、経糸緯糸ともに生糸の御召糸を
使って織られる絹織物です。この本塩沢は越後縮(越後上布の前身)
のようなしぼのある麻織物の技術を絹に生かしたものだといわれており、
しぼを生かした独特のシャリ感が持ち味です。
新潟県五泉市では、滋賀県長浜・京都府丹後地方とともに白生地の
三大産地として知られ、中でも五泉の駒絽は日本一の生産量を誇っています。
またこの地域で織られる白生地(羽二重)は、緯糸を水でぬらして織る事で
密度の高い上質な生地が生まれます。
新潟県は縮や紬、絣の産地として知られていますが、十日町地方では
昭和30年代から京都の友禅染の技術を導入し、40年代に入り
十日町友禅が完成しました。この十日町で染められた友禅は、振袖のほか
留袖や訪問着など多くの着物が染められています。
9:長野県 信州紬(しんしゅうつむぎ)
上田紬(うえだつむぎ)
飯田紬(いいだつむぎ)
伊那紬(いなつむぎ)
松本紬(まつもとつむぎ)
みさやま紬(みさやまつむぎ)
信州友禅(しんしゅうゆうぜん)
信州紬は信州で織られる上田紬、飯田紬、伊那紬、松本紬などを総称して
そう呼びます。信州紬には3つの条件があり、1、経糸に手紡ぎ糸、生糸、
玉糸、山繭糸のいずれかを使う。2、緯糸に玉糸か真綿の紡ぎ糸を使い、
手投げ杼(ひ)で織り上げる。3、絣柄は手くくりによる。この3つを
満たしたものを信州紬と呼び、伝統的工芸品に指定されています。
上田紬は長野県上田市を中心に織られる紬で、大島・結城と並び、
三大紬とも呼ばれ、打ちこみが強くしっかりとした生地が特徴で
裏地を三度変えるほど丈夫な事から「三裏縞(みうらじま)」の
別名があります。縞や格子柄が特徴で、経糸に絹糸、緯糸に
手紡ぎ糸を用います。
飯田紬は長野県飯田市周辺で織られる紬で、飯田格子という呼び名
があるように、素朴な格子柄が特徴です。打ちこみの強いしゃきっと
した風合いが持ち味です。
伊那紬は長野県の伊那地方で織られる紬で、糸に玉糸・真綿糸・天蚕糸に
撚りをかけたものを用います。山野に自生する木々や植物から染料を
抽出し、様々な媒染剤を用いて作られた色で染められた糸で織られた
生地は、柔らかくしっとりとした風合いを持っています。
松本紬は長野県松本市および安曇野地方で織られた紬生地で、
経緯糸に手紡ぎの糸を使って織られます。また松本紬には山繭
(天蚕と呼ばれる野生の蚕)からとった糸で織られたものもあり、
これは山繭紬と呼ばれています。
みさやま紬は、長野県松本市三才山周辺で織られる紬です。
このみさやま紬は山野に自生する草木(栗や桜、山くるみなど)で染めた
糸を用い、経糸には生糸、緯糸には真綿の紬糸を使って織り上げます。
信州友禅は「信州草木染め友禅」ともいい、自然界に自生する草木を
染料にし、様々な媒染剤で発色させた染料を混ぜ合わせて色を作る友禅染です。
…本日は新潟県、長野県以外に石川県や富山県などの染織品を
ご紹介する予定でしたが、両県の染織品がことのほか多いため、
二県以外の染織品は次回のご紹介とさせていただきます。
宗流
by sou-ryu_mame
| 2010-07-28 01:38
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