きもの検定 きものの仕立てについて2
きものの仕立1の続きです。
前回はきものの各部分の名称をご覧頂きましたが
今回は反物の状態から、各部分を裁断する場面をご覧頂きます。
ちなみに…今回使用する図は、実際の反物の幅と長さの比率が
全く合っておりません。
というのも、きものに使われる着尺の幅は約36~38cm、
長さは約12.5mほどありますので
裁断図をあらわすとしたら、恐ろしく細長いものになります^^;
ですから、今回はイメージ画となりますが、どうぞご容赦下さいね。
みなさまの温かい心の目でご覧いただけますと、
もしかしたら着尺に見えてくる…かもしれません。
まずはきものの表地です。
きものは全部で8つのパーツで構成されています。
1:袖(1) 2:袖(2) 3:身頃(1) 4:身頃(2)
5:袵(1) 6:袵(2) 7:衿 8:掛け衿
これらのパーツをご覧頂くと、袖・身頃・袵のそれぞれが
二枚ずつあります。これはそれぞれが左右に同じもので構成されているためです。
また部分部分に色のついたラインが引いてあるのは、
それがどの部分の縫いか、またはどの位置かを示すものです。
まず袖の中央にあるグレーのライン。
これは袖山をあらわしています。ちょうどこの位置で折ると、
腕を覆う筒型の袖となります。
次に4つの赤いライン。
これは袖山から袖の底までの袖丈の長さをあらわしています。
次に身頃についている青いライン。
これは脇縫いを示しています。例えば左の3の身頃ですと、青いラインが
途切れているのは、そこから肩の位置で前を覆う身頃と後ろを覆う身頃に
なり、それぞれの身頃の脇を縫う位置を示しているのです。
緑のラインは背縫いです。という事は、向って左の身頃は左側が後ろ身頃、
向って右側の身頃は、右側が後ろ身頃となりますね。
続いて、紫の短い線は衿肩あきの位置です。
そして両身頃にわたってついている黄色の線は袵つけの位置です。
袵にまいります。
袵にも黄色の線がありますね。この部分が前身頃について、
きものの完成系で見ると、前身頃の打ち合わせ部分になります。
衿のピンク色の線が衿つけとなります。
ちなみに、図の中で「衿」となっているのが地衿で、短い方のパーツの
掛け衿は地衿の上にかかる衿です。
…基本的に平面図できものの構成をあらわすのは無理があるのですが、
引き続き温かな心の目で見守ってやって下さいね^^;
次は冬物のきものにつける裏地「八掛」の裁断図です。
八掛は本来八つのパーツに分けられていたため、この名前がついたのですが
現在では「袖口」に使うパーツが加わって、全部で10枚となります。
この八掛に使用する生地は一般的に、幅約37cm、長さ約4mと、着尺に比べると
およそ1/3程度の長さとなっています。
1:裾(1) 2:裾(2) 3:裾(3) 4:裾(4)
5:裏袵(1) 6:裏袵(2) 7:袖口(1) 8:袖口(2)
9:衿先(1) 10衿先(2)
八掛は裾が4枚ありますね。これは右前身頃の裏、左前身頃の裏、
右後ろ身頃の裏、左後ろ身頃の裏の計四枚使われます。
またそれぞれのパーツが各二枚ずつあるのも同じく左右に使われるためです。
そして、各パーツの一部分が赤く染まっているかと思いますが、
この八掛は「ぼかし八掛」をイメージしたものです。
八掛は洋服で言うと、スカートなどの裏地にあたります。
しかし、洋服の裏地は表地の色に近いものか、またはその濃淡のものが
使われるのに対し、きものの裏地は同系色とは限りません。
それは袖口などからわざと裏地の色を見せ、表生地のアクセントとする
事があるからです。
表地の濃いものに、濃い色の八掛を使う場合はいいのですが、
表地が薄色の場合、濃い色の八掛を使用すると表地から透けてしまいます。
しかし、裏地はどうしても表から少し見えますので、見える部分だけに
色を挿して、残りの表地の下になる大部分には表地にひびかない色に
する必要があります。
ですが、それぞれのパーツに切り分けてから一部分を染めるのは大変ですので
ぼかしの八掛は予め必要な部分に色が挿し分けられています。
それがこの図の赤い色なのです。
宗流
by sou-ryu_mame
| 2010-09-18 00:13
| きもの検定について
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