2010 正倉院展 その1
こんにちは♪
本日は祝日、お仕事もお休みです^^v
今日は「文化の日」ですね。宗流は今日は何も文化的なイベントは
予定しておりませんが、みなさまはどこかお出かけされるのかしら^^
今日も素敵な一日となりますように~!
さて。
今日は「文化の日」という事で、ちょっとした文化の香り(?)漂うお話です^^;
先日の日曜日、宗流は奈良県で開催されている「正倉院展」に行ってきました。
本日はその際に購入した出展目録から幾つかの展示物をご紹介しつつ、
当時の染織品などのお話を中心にお伝えさせて頂きたいと思います。
どうぞよろしくお付き合い下さいね^^
さっそく、まずはこちらから。
こちらは今回の正倉院展の図録の表紙です。
この表紙は「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)です。
今回の出展品の目玉でした。
昨年も見事な螺鈿の琵琶が出展されていましたが、今年のものも
とても美しい細工が施されていました^^
螺鈿は貝殻を切り取ったものを研磨し、漆地などに嵌め込んで
さらに磨きをかけて作られる工芸品です。
この螺鈿は箱ものや家具の工芸品によく見られますが、
帯や着物の装飾としても使われる事がありますね。
お話を琵琶に戻し、次は施された文様についてみてまいりましょう。
ちょっと見えづらいのですが、この琵琶は向って左上のものが面の表で
右下のものが面の裏となります。
面の表にはらくだに乗って琵琶を奏でる人物と唐花文が、
そして画像では判別しにくいのですが、槽には唐花文と含綬鳥(がんじゅちょう)、
雲があらわされています。
唐花文、含綬鳥、雲ともこの奈良時代の文様には多く見られる文様です。
含綬鳥とは、花の枝をくわえた花食鳥とともによく見られるもので、
綬帯(じゅたい)とよばれる紐状の装飾品をくわえてた鳥の事です。
また雲も多くの宝物にあらわされていますが、雲については改めて下の画像で
お伝えさせて頂きますね。
次は生地を二点。
上の青い生地は「浅縹布(あさはなだのぬの)」
下の茶色の生地は「遠江国調黄絁(とうとうみのちょうきのあしぎぬ)」です。
まずは「浅縹布」ですが、こちらは「縹」という色が指し示すように
藍によって縹色に染めた生地に、白の絵具で雲の文様が描かれています。
今現在、藍染めといえば藍甕に生地を浸して染め上げられるものを連想させますが
この生地の染めには、藍による引き染めが施されているそうです。
これは正倉院の宝庫に収められた染織品の中でも、とても珍しいものだそう。
そしてその生地に後から雲の文様を描いています。
この雲の文様は奈良時代に盛んに描かれた柄で、霊茸雲(れいしぐも)・天平雲とよばれ
中国では古くから吉祥の文様といわれています。
一見すると、孫悟空の乗り物の筋斗雲のかたちと似ていますね^^
またきものをお召しになられる方には、有職文様の雲気文様はおなじみかもしれません。
次に「遠江国調黄絁」ですが、この絁という言葉はきものの事を学ばれている方には
美濃絁や常陸絁といったもので耳慣れていらっしゃるかもしれませんね。
日本古来の絁は太い絹糸で織られた紬の原型のようなものとされているようですが、
実際に現存する絁には、平絹物と遜色ないほどの細い糸で織られたものもあるそうです。
そしてこの生地の名前にある「黄絁」、現品は茶褐色を帯びていますが、
染料の調査が行われた結果、現在も黄八丈などに使用される黄色の染料、
刈安が使われていたそうです。
どちらの生地も、千年以上の時を経てなお原型をとどめているなんてすごい事です。
宗流、ごく最近しばらく手入れを怠っていたモスの腰紐を虫食いにやられてしまい、
保存の大切さを身をもって体験しただけに、感心ひとしおです^^;
ちなみに、学校の歴史の授業で「租庸調」という言葉を習った憶えがありませんか?
宗流は今回のお出かけまで、すっかり忘れていましたが、
この展覧会に赴いてようやく思い出しました。
祖=年貢米 庸=徴用 調=献布 の租税制度を併せて租庸調とあらわしますが、
この上の二点の生地は「調」にあたる調布だったといわれています。
ですから、上の「遠江国調黄絁」をわかりやすくあらわすと、
税の一つ、調として遠江国(現在の静岡県の大井川の西部)から都へ献上された
黄色の絹織物(絁)というわけです。
…たった三点ご紹介しただけでも結構長くなっちゃいましたね^^;
まだご紹介したいものが幾つかありますので、この続きはまた次回へ。
そして、今回からお話をさせて頂いた内容から次回のきもの検定まで
ちょっとした練習問題をUPさせて頂こうと思います!
…今回またもや敗戦の色濃い宗流、次回三回目こそはと
ようやくエンジンがかかりました。これが今回から思い立っていたら、
少しは結果が違ったかしら…と、くよくよしていますが、
もしこれから三級、二級、一級(←これはちと微妙)を受験される方が
いらっしゃれば僅かながら参考になるといいな、そう思います^^
1:天平時代を中心に日本に渡来した聖武天皇・光明皇后ゆかりの宝物が
おさめられている倉庫を何というでしょう。またそれらの宝物の染色・工芸品にあらわされている
この時代の文様を総称して何とよばれているでしょうか?
2:天平時代の宝物が中央アジアを経て日本へと渡来する際に通ったとされる
古代の東西交通路を何というでしょうか?
3:実際には存在しない植物ですが、唐花文の中でも華麗な様相を持った
花をあしらった文様を何というでしょうか?
4:黄色の色素を抽出する染料として古くから使われているものの一つに刈安がありますが、
その他に黄色の色素を染めるための染料は何でしょうか?
ちょっと簡単すぎましたかね(汗)
もっとお勉強しなくちゃいけませんね。。
それでは答えです~!
あくまでも宗流の解釈なので、単なる参考でしかないのですが^^;
1:正倉院 (奈良県の東大寺大仏殿の北西に位置する校倉造りの倉庫です)
正倉院文様
2:シルクロード(絹の道ともよばれています)
3:宝想華(既定の形はないそうですが、空想上の花といわれています)
4:たくさんありますが、その一部としてのご紹介です。
ウコン・紅花・くちなし・コブナグサ・キハダ・ツルバミ…などなど。
珍しいところでは、お花のマリーゴールドからも色素がとれるそうです。
宗流
by sou-ryu_mame
| 2010-11-03 12:33
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